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自分らしい作文とは

自分らしさをあらわすのは?

自分らしさは自分にしか書けない個人的な体験や思考がこめられている作文にあらわれます。俗にいう人柄です。こういうと、凡人は似たような体験をして同じようなことを考えるから差別化にならないし、おもしろくないといいます。
たとえば遠足や運動会の作文、どれも似たりよったりで、誰が書いても同じようなものになるというのです。

自分らしい作文とそうでない作文の違い

確かに小学生や就活生の作文は多少似てしまうところがあるかもしれません。これは単純に場数の問題です。書くことに慣れることを目標にしている時期は書くだけですばらしい。だからそれはそれでいいんです。ただそういう時期というか段階があるということです。
そのうち誰もが書きそうなありふれた作文のままでいることにだんだん物足りなくなってきます。

実際はひとりひとり性格や育った環境、容姿も違います。たとえ同じところで同じことをしたとしても、まったく同じ作文になるほうが不自然です。
見るところも食べたお弁当もかけっこの着順も違うはず。好きなこともきらいなこともきっとバラバラです。そういうことにちょっとずつ気づくようになります。
それで自分の体験したできごとをくわしく思い出したくなるはずです。
これが自分にしか書けない自分らしい作文を書く次のステップです。

振り返って思い出す作業

作文は書く前の作業がわりと大事です。とりあえず書き出して、考えながら書き進められる人もいます。ただまだ書き方が定まっていない場合は、ざっくりとでいい。あらかじめせめてだいたい何について書くか、決めてから書くのがおすすめです。途中で話がぶれにくくなります。
書くことを決めたら、次にそのことにつながるできごとをできるだけくわしく思い出します。五感を意識するのがコツです。見たこと、聞いたこと、におい、触覚・味覚を事細かに思い出してみてください。案外むずかしいことがわかると思います。ふだんただ何となく無意識に過ごしている時間がほとんどだからです。そのために何気ないできごとほど、かんたんに記憶を引き出せないのだと思います。ところが思いがけないときにふっと思い出すところをみると、覚えていないわけではなさそうです。
記憶法のひとつに、関連のない無数のことがらを物語にして覚える方法があります。それにならうと、何気ないできごとをちょっと意識してみる。タグ付けみたいに。<これ、作文に書けそう>と思うだけです。それだけで体験やできごとが印象に残るようになります。忘れたらもったいないと思ってメモする人もいます。
このように作文習慣を身につけることは、記憶の訓練をしているようなものなのです。

ありふれたできごとでいい

凡人の誰もが経験するありふれたできごとは個性的でないから書く値打ちがないと思いがちです。それは大きな誤解です。誰もが思い当たるできごとほど共感をさそうものはありません。

せんぷうき あああああああ おおおおお

子ども歳時記より山本咲良(小3)

あまりのほほえましさに心打たれた一句です。
誰もが「あるある」と思うできごとを自分だけの視点で切り取れたら素敵だと思いませんか。
特別個性的な体験などなくてもいいんです。
ひとりひとり、みんな違うからだを持っています。あなたの五感でとらえたできごとを表現すれば、それはあなただけにしか書けないものになります。

同じできごとは何回書いてもいい

作文には同じことを何回書いてもかまわない。
好きなこと、思い出の体験、何回でも書いてください。
コピーでもしない限り、まったく同じ作文にはならないはずです。試してみてください。
作文が苦手という子たち、しかたなく好きな野球のことばかり書いていました。飼っている犬のこと、今日食べたごはんのこと、みんな苦労して毎回同じことを書きつづけた子どもたちは、みんなもれなく上達しました。
書くたびにまったく別の作文になってしまうことさえあります。ちょっとした表現が違ったり、より細かな描写を思い出したりするだけでなく、視点や思考が変わってしまうこともあります。
だから毎回目新しい題材を見つけて書こうと思わなくてもいいんです。何回同じことを書いてもいいんです。それでも新しい発見、気分や意見の変化、より充実し、さらに洗練されていくのがわかると思います。

書くことと書かないこと

あたりまえのことですが、書きたくないことは書かなくていい。
たまにありのまま全部書かないと自分らしくならないと思い込んでしまうことがあるかもしれません。それは間違いです。また誰かのために、ほんとのことを書かねばならないと背負う必要もありません。その人らしさは何を書かないかでもあらわれるからです。
忘れてはいけないのは、書きたくても書いてはいけないことがあることです。とくに誰が目にするかわからないような公の場で、特定の人を攻撃するようなことを書いてはいけません。そんなことは当然と思うかもしれませんが、公にすることが正義と信じて書いてしまう例は少なくありません。また攻撃するつもりはなかったのに、結果的に相手を傷つけてしまうこともあります。<表現の自由>がどこまで許されるかは決まっていません。書いてはいけないことの判別はかんたんではないんです。
誰でも間違う可能性があることを心に留めておきたい。

作文習慣のすすめ

作文は書けば書くほど上達します。
自分らしさは出そうと思わなくてもあらわれるものといわれています。
作文習慣で自己表現してみませんか。

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