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僕が地方議員になる前にやったこと(心の準備編)

こんにちは。
兵庫県の新温泉町議会議員の岡坂りょうたです。
2021年10月の選挙で当選し、同年11月から地方議員として活動しています。
32歳、町議会で最も若い議員として活動し、約半年が経過しましたが「よく議員になろうと思ったねぇ」と周りの方からよく言われます。
そこで、議員になる前に考えたこと(議員になるに至った思考の経緯)をここにまとめてみたいと思います。
※「志」のような根本の話ではございません。

アリかナシかの基準

考えるべきことはいろいろありますが、議員という仕事がアリかナシかは己の素質に関係なく判断されるものかなと思います。

・議員という仕事の価値を確認

価値を感じなければ議員になろうと思いません。
私は10年ほど町に関わる仕事や企画をしており、行政や町議員ともお話する機会がありました。
その中で、議員の発言から行政がアクションを変えるところも見てきていますので一定の影響力があることは実感していました。同時に、議員による一声から職員が苦労するのも少なからず目の当たりにしており、議会を良くする必要性も感じていました。
個人・企業・行政・政治、それぞれにキーパーソンが居た方が、面白いまちづくりになると考えていたので、議員の仕事あるいは役割に価値を見出しておりました。

・家族の了解

議員というのは何をするにしても世間の目が向けられるものですので、自分だけでなく家族の了解が必須です。
妻の了解を得たあと、実家およびその親族、妻の実家およびその親族に挨拶に伺いました。
実際のところ、妻には数年前から「議員になる可能性はある」と伝えて、許可が降りたのは選挙の2〜3ヶ月前。親族には選挙の1.5ヶ月前に挨拶に行きました。了解が降りたというよりも「本人の意志が決まってるなら止めようがないじゃん」状態でした。
一般的には選挙の1,2年前には了解を取るようです。

具体的な想定

議員の仕事に価値を見出しても、「自分がやる」ことに価値を見い出せるかは別です。
以下の5つの項目で「自分がやるべきなのか」を検討しました。

1.暮らし方と働き方がマッチするかの確認

地方議員は兼業できます。町村議員は家族を養うだけの報酬は無いので、むしろ兼業しなければ厳しいです。
私は学習塾経営やデザイン業をしているので、議員の仕事を始めた場合に継続できるのかを確認しました。
議会の定例会は3,6,9,12月。臨時会や研修、その他公務がちょくちょくあります。基本的には9時からはじまって17時には終わります。稀に延長することもありますが、18時くらいまでだと。
会期中であっても日中は議会、夜は塾(17:40〜)とできますので、一応大丈夫そうです。デザイン業は仕事を減らしたりして調整できるので大丈夫です。
他に気をつけることと言えば、住民や知人と「議員ー住民」という関わり方になること。まぁ大丈夫だろう、と楽観視することにしました。

【実際のところ】
12月3月定例会で延長は4回ほどで、そのうち18時頃まで延びたのは1度だけなので塾経営にほぼ影響はありません。
遠出するような研修等はだいたい神戸に行きます。新温泉町からだと片道3時間&研修は午後設定が多いので、研修の日は塾をお休みにしたり代理講師を入れますが、頻度は少ないのでセーフです。
住民との関わり方は、まだ掴めておりません。自分の顔をまだ覚えられてないので、議員として見られることは稀です。もっと認知されて色々相談された方が議員として充実するのになぁ、と思ったりしてます。

2.議員としての自分に価値があるのかの調査

「あんなのが議員してるなんてダメだ」と言われたくないので、客観的に見て、議員としての自分に価値が生まれるのか考えました。最終的には以下の点で、価値があるのではないかと判断しました。

  1. 平均年齢60歳くらいの議会に、「32歳」が加わること

  2. 数年前から議員からデジタル化等について相談を受けていたため、その領域においては必要とされているだろうこと

  3. 議会タブレット導入において、同僚議員をサポートできる人が必要とされること

【実際のところ】
やはり「若い」ということは大きいようです。
同僚議員からも住民からも「若い人の意見を言ってくれてありがとう」と言われます。
「若い人」「女性」はそれだけで価値があると思います。

3.一般質問を作れるかの確認

議員の花形と言われる一般質問。一人あたり40分の時間が与えられており、一問一答で町長・当局とやりとりします。
新温泉町の場合、ウェブで公開されております。
住民に見られる機会のある一般質問なので、みっともないことになりたくありません。そこで、まずは一般質問における議論の進め方を調べ、質問したいことをいくつか考えました。それらをある程度の時間でしっかり主張できるのかチェックしました。
知識不足で質問のジャンルに偏りはあるものの十分に質問できそうだと感じましたので、OKとしました。

【実際のところ】
12月3月定例会で一般質問しました。新人のわりにはしっかりとできていると思います。
40分では足りない程度に質問したいことはありますが、ネタは確実に消費されてきています。日々勉強と情報収集しなくては枯渇していまいます。

4.選挙で勝てる見込みがあるのかの調査

選挙で勝たなくては議員になれません。
新温泉町の場合、投票率8割、約10,000票で争われます。ボーダーラインは300〜400票。
普通は「票読み」をするようです。親族や友人、集落、同業者など票を一人ずつ積み上げて票を予想するそうです。
私はそのようなことをせずに、「自分に限らず『若い人』が出れば一定の票数は見込めるだろう」という予想で動き出しました。人口分布と町議会への住民の意見から、若手へのニーズはあるだろうと考えていたためです。
私の他に30代が出馬するようであれば、戦略を変える心積もりだけはしていました。

【実際のところ】
選挙直前、「ちゃんと票読みしなさい」と自陣から指摘を受けたので、結局しました。ただ、その票読みが正しくできていたのかはわかりません。
2期3期と期を重ねると読みが正確になるようです。
選挙の結果は、2位の678票でした。「若い人が出れば一定の票数は見込める」という予想は甘かったなと、結果が出た瞬間に思いました。若い議員に期待することと、若い議員に票を入れることは別物かもしれません。

5.議員になって出来なくなることはないかの確認

議員は公職選挙法によって制限されることがいくつかあります。
その制限によって、やりたいことが出来なくなる可能性があるため確認しました。
あいさつ状の禁止、寄付行為の禁止(割り勘もダメ)などありますが、その辺りは問題ないと判断しました。
兼業禁止規定のなかに、当該地方公共団体に対する請負ができなくなるものがあるのですが、私は移住コーディネーターを請負契約していたので契約解除することにしました。コーディネーターとしての仕事は大方片付いていたので、大丈夫と判断しました。
まちづくりをする上で活動を制限されることはほぼありません。

【実際のところ】
議員だから遠慮しなければいけない場面もないことはないと思います。一方で、議員だからやりやすいこともあります。一長一短ですが、議員だから完全に活動しづらくなるということはありません。

以上です。
長期的にみて自分がどうなるかよりも、長期的にみてこれからの4年間、町議会に一人も30代が居ないことに危機を感じました。そのうえで、自分が出て良いものか判断し、立候補しました。

今後、若い議員が増えると思いますが、この記事がその一助になればと願います。

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