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【復習】タクシー怪談考察①幽霊客のルーツを辿る

今日は、タクシー怪談の考察授業を復習致します。


タクシー怪談の原点

・タクシー怪談の原点と言われているのは、作家:池田弥三郎が『日本の幽霊』という本で発表した話。


・昭和5、6年頃の話。青山墓地から横浜まで着物を着せた娘を乗せる。
・しばらく走ってからバックミラーを見ると女がいない。横目で客席を確認すると座っている。
・臆するものの、指定された家に到着する。女は礼を言って運賃を取ってくると家に入るが出てこない。
・運転手が玄関から声をかけると中年の女性が出てくる。
・事情を説明したら「娘は数日前に亡くなって、その日の昼、青山墓地に埋葬した」と言われる。

・現代まで続くタクシー怪談の原型がこの時点ですでに出来ている。

派生型のタクシー怪談

・有名なところで言うと、バックミラーを見ると女がおらず、振り返ると姿を消している。また、女が座っていたシートがグッショリ濡れているなど。さらにタクシー怪談は恐怖要素がどんどん付け足されていく。

●『ホテルニュージャパン跡地のタクシー幽霊』
→かつて火災のあった赤坂のホテル前で夜、女性を乗せた。
→行き先を告げずに「右に行ってください」「左に行って下さい」と交差点や曲がり角の度に指示があるが一向に到着する気配がない。
→悪戯なのでは?と腹を立て女性を降ろす。
→走らせてバックミラーを見ると、先程の女性が這いつくばって追いかけてくる姿が写る。
→ホテルの火災で煙から逃れるために這いつくばりながら廊下の角を右に行ったり左に行ったりなど彷徨い逃げながら亡くなった人の霊と言われている。

●『人志松本のゾッとする話 千原ジュニアさんの怪談』
→とある夜、人気の無いところで女性を乗せた。目的地を聞くとかなりの山奥。
→タクシーを走らせながら「このパターンは完全に幽霊だ」と確信。しかしバックミラー越しに女性を見るが、まだ消えてはいない。
→途中怪しがりながら何度か見るが女性はいる。
→そのまま走らせ続けるとナビにも出ないような山道に。後部席には、まだ女性はいる。
→さらに山深く進み、これ以上車ではいけないという場所に到着。後ろを向いたら案の定、女性は消えていた。
→後部席を振り向きながら「やはりな」と思っていると、運転手の耳元に「見つけてくれてありがとう」という声が。
→パッと前方を見ると、目の前で女性が首を吊っていた。

・最近ではNETFLIXで配信中の『クェダム: 禁断の都市怪談』というショートホラードラマにもタクシー怪談の話がある。これも恐怖描写が足されているので未見の方はチェックを。


タクシー怪談のルーツ

・タクシー怪談以前にも幽霊が乗り物に乗るという話は昔から存在する。例えば創作だが『真景累ヶ淵』では駕籠に乗った幽霊が登場する。また馬や人力車などのパターンもある。

・作家:一柳廣孝先生の『怪異の表象空間』という本によれば、明治や大正に、人力車に乗せた女性が実は狐・狸が化けたものだったというタイプの話が見受けられる。

・タクシー怪談のフォーマットに限りなく近い話だと、明治16年9月5日付けの大阪朝日新聞に掲載された話。
→夜、大阪の安治川まで人力車で客を送った車夫。その帰り、18歳くらいの娘を乗せて老松町の自宅まで走る。
→娘は「家の門を開けて欲しい」と言うので、家の人を起こし振り返ると娘は消えている。
→男が事情を説明すると、家の人は驚き「娘は先々月、橋から身投げして安治川で遺体が見つかった。このことは新聞にも載った。だから娘が、今頃家に帰ってくるはずがない」と言われた。

・また大正期の東京にも類似怪談が存在する。
→両国の回向院の前で車夫が女性を乗せる。行先は現在の東大前までと告げられる。
→赤門前の米屋の門口に到着すると女性は代金を取ってくると言い、家の中に。しばらくして亭主らしい男が出てきたので代金を請求すると男は驚く。
「先日、妻が赤ん坊を残して死んだが、たった今、枕元で“表に車夫がいるので代金を払って下さい”という声がした。気が付いて傍らを見ると赤ん坊が蚊帳の外で泣いていた。念のため門口を開けたら本当にいた」と言われる。

・このように典型的なタクシー怪談のフォーマットは明治頃からあった。このフォーマットを踏襲しながら時代の流れとともに人力車から自動車や電車に乗り物が変わっていくという構図

・また、乗り物に乗る化け物も狐・狸などは近代になると消えていき、死者の幽霊が実家を目指すタイプが増えていく。

・ちなみに狐や狸などの動物系怪談は、当時、都内にやや残されていた自然が、近代の都市化によって消えつつあることから産まれた副産物的(自然への罪悪感、自然と都市化の葛藤)な怪異譚だと考えられる。それを表す例として赤羽駅から石神井公園まで人力車で移動した大蛇の怪談もある。

・これまでに挙げたいくつかの怪談が昭和初期の「青山墓地のタクシー幽霊」に集約されたのではないか?

・その後、タクシー怪談は様々な発展を遂げていく。戦時下に入ると青山墓地のタクシー幽霊は姿を消していくが昭和30年頃に復活。「シートが濡れている」という要素は、この時代に発生したとされている。

・この「タクシーから幽霊が消えた後にシートが濡れている」という要素の元祖は、京都の深泥池であるという説がある。これは果たして本当なのか?明日はその部分を考察していく。

授業を受けて思った事

タクシー幽霊たちは基本的に深夜に乗車し、かつ大体は遠い場所を指定しますよね。そしてシートが濡れている。そんな深夜料金+遠方の乗車賃+ガソリン代+高速代+シート清掃代+人件費を、タクシー会社はどうしているのでしょうか?

目的地が幽霊の実家の場合、遺族の方が払われているケースをよく見ますが毎度毎度払っていたら、さすがに家計的にも厳しいのではないでしょうか。

本当にこれらの現象が起こるのであれば即刻、幽霊保険をタクシー会社は適応すべきだと思います。会社的にも遺族的にも限界があるでしょうし。

もしこの記事をご覧になられている方でタクシー会社に務められている方がいらっしゃったら詳しい事を教えて下さい。このようなケースが起きた場合どうしているのか?公式TwitterのDMまでお待ちしています。

何卒宜しくお願い致します。


以上。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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