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鬼退治2024 - (番外編)タイムスリップカンボジア

カンボジアでこの時期が旬の鬼手長エビ。それを食べるための日帰りトリップに出かけたチーム”鬼退治”は、エビにたどり着く前に、ちょっとだけ観光をしたのですが、それがちょっと面白かったので、番外編として綴っておきたいと思ったのです(鬼手長エビについては前回のお話しにて)。

シェムリアップに行かなくてもアンコールの遺跡

プノンペンから鬼手長エビの名産地タケオに向かう途中、プノンペンから小一時間のところに、Tonel Bati(トンレバティ)という小さな湖があります。そのほとりに、タプロム寺院という遺跡があるんです。タプロムといえば、アンコール遺跡にあって、アンジェリーナジョリー出演の映画の撮影舞台になったりして人気者ですが、こちらトンレバティのタプロム寺院も、アンコールワットと同じ時代の遺跡なんだそうです。あまり知られてないけど。ただ、たたずまいはとても素敵です。一瞬シェムリアップに来たかな、みたいな錯覚感は味わえます。錯覚ですが。

タプロム寺院の正面の入り口

日曜日だけど観光客がいない

我々が訪れたのは日曜日の10時半ころ。観光客は、我々だけ。なんとまぁ貸切ですよ! とバンザイをしていると、数名の若者が寄って来ました。うん、嫌な予感。
「フラワーフォーブッダ、1ドル〜」
やっぱり。予感的中。物売りが寄ってたかって花だの線香だの売りつけてきます。いらないいらないと言っていると。黒いパーカーの若者が、英語で勝手にガイドをはじめました、頼んでいないけどね。ふむふむ、これは頼んでもいないけど後でガイド料を請求するアレだな? なので我々は、「お兄さん、そんなに英語できるなら学校に行きなよ! 」と言うとすぐに切り替えされました。「日曜日は学校休みだよ。」あ・・・、ぐうの音も出ない。そして寺院のなかをくっついてくるオートマチックガイドのお兄さん、と、花を売りたいお姉さんたち。

彫刻も立派。アンコール遺跡によくあるヒンドゥー教の神話「乳海攪拌」。

円陣を組む

遺跡の奥に進んでいくと、今度はおばあちゃんが出現しました。何やら一生懸命話しているのですが、オートマチックガイド曰く、「89歳のおばあさんは目が悪いので目薬を買うためのお金をくださいと言っています。」カンボジアで89歳はものすごい長寿、おばあさん、元気だね、と称賛していると別のおばあちゃん登場。今度は、「歯が悪いので歯医者に行くお金をください」と前歯を、というか前歯があったであろう場所のはぐきを見せて来ます。続いてのはだしのおばさん、「靴を買いたいのでお金をください」。かわいいスカート履いてたし、かっこいいサングラスしてたしね、靴たぶん持ってます。そして最後に少女が登場。「学校に行きたいのでお金をください。」おおそうか、じゃあ、こちらから少女へ質問「何歳ですか? 」。「10歳です。」ええええ? 感嘆する我々。体格のいい少女は中学生以上にしか見えなかったからです。「でも大きいよね? 」という我々への切り返しは「ごはんをいっぱい食べているから」と笑っています。本当にお金に困っているんかいの? そんな感じで次々と新キャラが登場してきまして、我々はキャラの濃い面々に取り囲まれてしまったのです。全員で円陣を組んだような体制になり、もう一同大笑い。気になったのは、登場しては困窮を訴える話を聞きながらずっと笑みを噛み殺していたオートマチック通訳。彼の腹の中を読めました。「(ばあさんたち、お金欲しさにまた同じ話してるよ、くっくっく笑。)」

最初にやって来て目薬ストーリーを語ったおばあちゃん。

現在のカンボジアの観光地では、政府が物乞いを禁止していて、あまり見かけなくなりました。10年ちょっと前などは、アンコールワットでもちょっと歩くと物売りや物乞いの子どもたちに取り囲まれて円陣を組むなんてことにはなりましたが、今となっては昔の話し。しかし、ここでは昔のそれが健在。長くカンボジアに暮らす友人は、「いやぁ、なつかしい、タイムスリップだねぇ」となんだか楽しそうにしていました。

カンボジアタイムスリップを楽しんでから、我々は一路、鬼手長エビとの戦いに望んだのでした。


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