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プログリット(Progrit)のマーケティングトレース

2019年末からプログリット(Progrit)と言う英語コーチングのサービスを利用してまして、だいぶ英語力を向上できました。このnoteを書いている時点(2020年5月)でも、未だにお世話になっています。

詳細は個人ブログの方で書いてます。

プログリットを半年ほど利用してるんですが、知れば知るほど、マーケティングの上手いな〜と感じるこの頃。プログリット社のマーケティング戦略を、一人の受講者、そして一人のマーケターとして分析してみます。 

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0.プログリットの概要

そもそもプログリットは何の会社かというと「英語コーチングスクール」になります。英語学習のサービスを提供してるんですが、ポイントは「レッスン」がなく、勉強方法や学習プランの提供、モチベーション管理などの「コーチング」に重きを置いていることです。

ミッションは「世界で自由に活躍できる人を増やす」。マッキンゼー出身の創業者が、グローバル環境でビジネスを行うにあたり、ぶち当たった英語の壁、その後の学習過程などがベースとなっています。

日本では「英語コーチング」が全く浸透していなかった2016年に創業されましたが、現在では全国に12ヶ所の拠点が開校され、一気に拡大している業界のリーディングカンパニーです。

では、プログリットはどうして急速に拡大できたのでしょうか?

1.PEST 

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まずは外部環境を見てみます。

「英語学習」のニーズは、はるか昔から存在しています。昨今、社内環境や事業のグローバル化が進むにつれて、じわじわとニーズは高まってきています。とはいえ、業界を一変させるほどの急激な環境変化が起こったとは考えにくいです。

直近の外部環境の大きな変化は「コーチング」の浸透にあるのではないかと思います。特に、ライザップの台頭により、目に見えるものだけではなく、モチベーション管理の価値が認められたのが大きな変化かと思います。

現実的には、まだまだコーチングは価値が認識されにくい分野ですが、プログリットは「第二言語習得の科学」のコピーを随所に用いることで、コーチングのある種の胡散臭さを中和させている印象です。

2. 競合分析

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競合としては、直接競合にフィットネス事業から発したライザップ、予備校事業から発したEnglish Companyらがいます。価値競合は、従来の英会話スクールやオンライン英会話。英語圏への語学留学も含まれるでしょう。

「英語学習」という広い領域で見れば、英語コーチング系サービスそれ自体が、ここ2・3年で出てきた新規参入市場に位置付けされます。

3. ターゲティング

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ターゲット層は、「英語でのキャリアアップを狙っているガチガチのビジネスマン層がメインターゲット」の印象です。

ターゲット選定の時点で「英語しゃべれるようになりたいな〜」という緊急性の低い層ではなく、「外国人の部下ができた!」「海外赴任が決まった!」といった緊急性の高い層に、標準を絞っているのがポイントです。

4. ポジショニング

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ポジショニングを図示してみると、プログリットは競合と明らかに差別化できていることがわかります。

プログリットは、ビジネスで英語を使う上級レベル層がメインターゲットとなっているので、受講開始以前での英語レベルがとても高いです。イメージとしては、「TOEIC800点以上を持っているけど、もっと流暢にしゃべりたい」という層が多いです。逆に、1日3時間の自習が課されたりと、あまり初心者向きのプログラムにはなっていません。

また、一切の「レッスン」を省いて、「コーチング」に特化したのもポイントです。ここで従来の英会話スクールとは全く違った方法で〜という、今まで強力な訴求を可能にさせています。

5. 4P

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4Pで注目したいのは、PriceとPromotionです。

まず、Price。高い。従来の英会話スクールと比べると、倍近いです。…とはいえ、海外語学留学するよりは安いでしょう。

プログリットは業界の新規参入者であったこともあり、プライスリーダーになることができました。つまり、比較対象のいない新しいサービスだったので、強気の価格設定ができたわけです。その分、プロモーション予算を確保でき、有名人を起用した大規模な広告戦略を取ることができました。

2019年になって、English Company社がプログリットの類似サービスを、プログリットの半額近い価格で提供を始めました。ライバルの低価格戦略により、業界構造にどのような影響を与えるのか注目したいです。

もう1点、Promotionで注目したいのが、Twitterでの口コミ創出です。 #プログリット #progrit 等のハッシュタグを見てみると、受講者が自主的に勉強過程をツイートしています。僕自身、これらのツイートがプログリット受講の大きなきっかけとなりました。

プログリットは、日々の英語学習が徹底的にタスク化されています。それにより、ビジネスマンが日報を書く感覚で、受講者が自主的にツイートする流れができているのが秀逸です(偶然なのか必然なのか)。

6.成功要因

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成功要因は大きく2つ。

英語学習において緊急性の高いビジネスマン層をターゲットに捉え、かつ業界でカバーしきれていなかった、上級者&コーチングの領域のポジションを取れたことです。結果、強気の価格戦略&広告戦略が可能となりました。

また、若くてストイックなビジネスマンをターゲットとした頃から、自然と毎日Twitterで学習報告する流れを作れたのも、副産物的に成功要因と言えそうです。

7. 僕がCMOなら

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最後に、僕がCMOだったら…ということですが、独自の「英語コミュニティ」を作る施策を行います。

プログリットは3ヶ月プランで約56万円かかることもあり、働き盛りのビジネスマンとは言え、さすがにポンとお金を出すことはできません。そこでプログリットは気になるけど、流石に高いなぁ…と感じている層に向けて、そこで「英語コミュニティプラン」を1〜3万円/月で提供します。

コミュニティでは、全体チャット形式で、教材提供や大まかな学習プランの提供等を行います。卒業生や受講生も招待して、コミュニティ内で学習報告や、受講者同士の交流を可能とします。メソッドの一部を体感したり、受講生と交流する中で、よりパーソナライズされたサービスを提供したいと感じさせることができれば、自ずと上位プランへの移行を促せるはずです。

プログリットのメインプランへの集客減や、ブランドイメージダウンの懸念はあります。とは言え、数万円のコミュニティとなると高級の部類ですし、サブスクリプションの強固な収益基盤を作ることもできます。

業界に同様の英語学習コミュニティがないこともあり、日本の英語学習を根本から覆すようなインパクトがだせるのでは?と考えています笑

終わりに

今回のデータは、受講者としての肌感で、ほぼほぼデータ・ドリブンせずに書きました。荒削りかもですが、まぁまぁ的は射てるはず。

今後もプログリット受講者の一人として、ひたすら英語にコミットしていこうかと思います。ついでに、マーケティング面も少し学ばせていただきます!

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