食べ物を想像するのが好き
先日Audibleで『侠飯』(福澤徹三著)を聴き終わった。
そして勢いそのまま『旅行者の朝食』(米原万里著)を聴き、今は『辛さの文化 甘さの文化』(角山榮著)を読んでいる最中だ。
1年間の中で、食べ物に関するメディアにしか触れない時期がある。
食べ物に関係してさえいればなんでも良く、なんなら食べ物が主題でなくても良い。
お腹が減ったらご飯を食べたくなるのと同じ感覚で、食事のあるメディアを求める。
そういう状態の自分には何が欠けているのだろう。
食事のメディアには食べる描写だけではなく、作る描写が欠かせない。
私は作る描写が一等好みである。ただ作るのではなくて、日々の生活に根差しているとなお嬉しい。
日々の食事を作る立場では無いことに負い目を感じているのか、思った通りに動いてくれない手を恨めしく感じているのか。
食事を作るという立場を他者から奪い取るのではなく、メディアで補完しようとする私は意気地無しかもしれない。
ともかく、食を通すと他者の生活に触れることができる。
人恋しいとき、お腹が空いた時、遠くに行きたい時など、食事の作品が何度も私を救ってくれた。
最後におすすめの作品を5つ紹介して、記事を閉じたい。
映画、ドラマ、アニメ、本と、メディアの種類を散らしておく。
各人の気心が知れているメディアから触れてみてほしい。
①『場所はいつも旅先だった』松浦弥太郎(映画)
旅と食事が結びつくの好きなんだよな。
だからYouTubeチャンネルの「今日ヤバい奴に会った」とかもハチャメチャ好きで、突発的に全部観る。
好きな食事シーンはおじさん3人組がムール貝食べてる所だ。
あと、朗読の声の響きが魅力的。
無理に感情をこめないことで、頭に内容がすっと入って来る。
②『ソウル・キッチン』Fatih Akın(映画)
ドイツ語の勉強といって観たら、ハチャメチャだし下品だったけどとんでもなく面白かった。
シェフ役のBirol Ünelが好きだが、2020年に亡くなってしまい悲しい。
頑固過ぎて社会に適合できていないのがかわいらしかった。
Amazon Prime Videoでの配信が終わってしまったので、見るとしたらレンタルで。
③『À Table!〜歴史のレシピを作ってたべる〜』古見拓真(ドラマ)
私は食事に付随する穏やかな日々を望んでいるのかもしれない。
十分食事に気を使えるだけの余裕がある生活、現代社会において恵まれていることの表れであるから。
このドラマはフィクションではあるのだが、自然な芝居、アドリブが多く、まるで本当に藤田夫妻がいるかのように思わせる。
生活やお互いに対し、小さな違和感があるのも夫婦の実際っぽい。
④『とんでもスキルで異世界放浪メシ』江口連/松田清(アニメ)
異世界転生ものに感じていた苦手意識をあまり感じなかったのは、食事が緩衝材になっていたからかもしれない。
異世界転生だが、主人公がめっちゃ戦ってるとかではないので、「王道」異世界ものを好む人が見たらどういう評価になるのだろう、と気になる。
ごはんは伝説の魔獣フェルを喜ばせるためもあり、肉が多いの嬉しい。
今日の夜ご飯はレッドボア、食べたいな…。
2期観なきゃいけないのすっかり忘れていたので、今途中まで観てる特撮やアニメ、ドラマが一段落したら観たい。
⑤『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都(小説)
中学生くらいに初めて読んだ思い出深い作品。
これをきっかけにして母の日のプレゼントをto doリストのメモ帳にした思い出がある。
食事系の小説はジャケットで読むか読まないか決めがちだ。
貼ったリンクの表紙ではなく、アナログイラストの表紙で読んだ。
あっけらかんとした黄緑と白のコントラストに恋に落ちた。
リストが作ったからと言って終わるわけではない。
リストを一つずつ消していくこと、それ自体よりも、リストを通じて生まれる逡巡によって、明日羽は成長していく。
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