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#13 シナイ山で死にかけた話⑧

バスはカイロ市内を抜けて一路東へ。
 
過疎地を除いて概ねだらだらと街並みが続いている日本と異なり、海外は街、無人地帯、街、とメリハリがしっかりしているケースが多いです。国土面積と人口の問題ですかね。
 
カイロ市内を抜けたバスは、茶黄色な砂と土と石の世界を進み、時折ある街や集落で停車、乗客の乗り降りと乗客と運転手の休憩がおこなわれます。当然我らがバスにトイレなんぞはついていません。

長距離バス休憩タイムの過ごし方

私は実はどこの国でもこの休憩タイムが好きです。特に集落での休憩が。
 
集落のバス停留所では、掘っ立て小屋の売店と外にチープなテーブルと椅子が置いてあるようなスタイルがほとんど。バスの乗客はこの売店で飲み物を買ったり、食事を頼んで腹を満たしたりします。あとはトイレに行ったり身体を伸ばしたりですかね。
 
私たちはちょっと贅沢するときはコーラ、節制時は水を買い、エジプトであればまあコシャリで腹を満たします。
 
停留所には、バスの乗客相手の物売りや、物乞い、そしてよそ者に興味深々丸なキッズ達が集まってきます。

物売りや物乞いとの絡みは面白かったりしんどかったりするけれど、キッズとの絡みはひたすらに楽しい。
 
天真爛漫にキラキラした目で人懐っこく絡んできて、膝の上に勝手に座ってきたりします。まあ、バスの中では膝の上にはエジプト兵の頭があるのですが、、、
 
コーラやコシャリを少しわけてあげるだけで大喜びするし、ボールペンでも何でも珍しい物、おもちゃになりそうな物をあげると狂喜乱舞して喜びます。
 
もしも今から途上国、特に途上国の田舎に行く人がいれば、竹とんぼでもコマでも、キッズのおもちゃになりそうなものを忍ばせておくことをお薦めします。一瞬でヒーローになれますよ。
 
女性にはシャンプーをあげると非常に喜ばれましたが、これは20年前の話なので、流通が進化した今では通用しないかもしれません。おじさんにはタバコをあげとけばいいです。
 
あくまで私のイメージ、欧米人の旅行客やエジプト人の乗客は子供相手にも塩対応、嫌な顔をして手でしっしと追い払うケースが多いです。なんでやろ。途上国に日本贔屓の人が多い理由はこんなところにもある気がしますが、なめられる理由も同じくここにありそうです。

MADなDOGもILLからな

あとプラスでいるのが、これは停留所だけではなくいたる所に、これぞくたびれた雑種のお手本のような犬や、その他動物。野良か半野良の牛や馬などもよくいます。
 
これはご存じの方も多い話、犬がいても「あら可愛い」と触りにいってはいけません。日本ではまず無い、狂犬病のリスクが海外ではかなり高いです。

医者じゃないのでよく知りませんが、狂犬病は犬を筆頭に動物から感染し、発症すると未だにほぼ100%で死に至る病気です。日本では1956年を最後に人の発症例は無いそうですが、海外では年間5万人以上が亡くなっているようです。
 
犬はいても近づかず、それだけではなく挙動を意識して噛まれないようにするのが海外サバイバルの基本です。
 
同時に挙動を意識しておかないといけないのが、バスの運転手。油断していたら問答無用でバスを出発させて走り去ってしまいます。
 
置いて行かれないように乗車、バスは更に進みます。
 
エジプト兵はまたピーナッツを買っている。どんだけピーナッツ食うんや!!

美しき紅海(スエズ湾)

バスはいよいよシナイ半島に突入。
 
途中絶対地理的にスエズの街を通ったはずなのでそのレポートもしたかったけれど、全く記憶がない。通ってないのか、寝ていたのか、通ったけれどもデリートレベルの記憶だったのか、今となっては定かではありません。
 
記憶に鮮明に残っているのは、紅海(スエズ湾)の美しさ。
 
シナイ半島西側を南に向けて走るバスの車窓からは、左手に砂漠地帯、そして真ん中には延々と続く整備がイマイチな道路、そして右手には砂漠から続く手つかずの人工物が全くない砂浜とエメラルドグリーンの海。

美しい。
 
こんなに美しいならリゾート開発したら良さそう、でもインフラ引くのが大変だったり、客が集まらないのかなと思ったら、今調べると結構あるみたいです。しかもオールインクルーシブでこの値段は安い!

紅海リゾート

20年前はそんなに無かったのか、当時の私たちが貧乏ったれ過ぎて全く気付かなかったかは謎です。
 
皆さん、紅海リゾートを楽しんだついでにシナイ山にも登ってみる旅はいかがでしょうか?(あ、今シナイ半島は危険地域指定されているのかな?)

途上国移動あるある

長距離バスはシナイ山まで行かないので、どこかで乗り換えです。過去記載した通り、どこで乗り換えたかは全く記憶がありません。
 
長距離バスのここで降りろという地点で降りて、シナイ山まで行く移動手段を探していると、一台のワゴン車が「行くよ」と言う。
 
乗り合いタクシーみたいな形式なので、値段も私たちだけでタクシーを使うよりも安い。それに僻地で悪質タクシーにやられたらリアルに命の危険もあるので、他に客がいた方が安心。まあ、客が客のテイでグルだったら試合終了ですが。
 
このワゴン車に決めました。
 
ワゴン車は大きめのワゴン車で、後部座席は席が向かい合う配置になっており、6~10人くらいが乗れる仕様です。定員数はよく解りません。
 
海外あるあるですが、移動手段には往々にして、「おまえ絶対金払ってないよね?」「払ってても絶対俺らより無茶苦茶安いよね?」と断定できる現地の人が乗っています。
 
厚かましく席に座っていたり、荷物を積むところに収まっていたり、荷台に乗ったり、さらには車の屋根の上に乗っていたりします。
 
乗客の身なりや、言葉は全く解らないけれど、ドライバーと乗客の会話のトーンでなんとなく解ります。
 
ドライバー
「ええよええよ、どうせそっち方面いくし、こいつら(外国人客)からたっぷり貰ってるから乗って行きな。」
 
そんな雰囲気をビンビンに感じます。
 
義賊的な世界観がここにはあります。

神との接触

発車する頃にはワゴン車の中はすし詰め状態です。

正規料金(何が正規料金かは謎)を払っている私たちは一応シートには座れているものの、3人掛けくらいと思われるシートは詰めて詰めてと5人くらい座っている。ワゴン車なので荷台はなく、今回は屋根の上には人は乗っていませんが、車内後部の荷物置きにも隙間に現地の方が複数人収まっている。
 
ちゃんとお金を払っているのにこっちが荷台というパターンも往々にしてあるので、今回はまだラッキーな方です。
 
ワゴン車は海岸沿いを走りだす。外の素敵な風景とは裏腹に車内はカオス。
 
現地の方達はこちらに興味津々。何人(なにじん)か、どこから来たのか、どこに行くのか、とエンドレスに質問攻め。
 
外なら適当なところで切り上げれるものの、密閉空間では逃げ場がない。これが数時間続くのかと思うと憂鬱です。でも頑張る。日本人に良いイメージ持って欲しいもん。
 
とは言えバレないように軽くため息をつきながら視線を真ん前に持っていくと、そこには神々しい光景が、、、

本当は今回でシナイ山まで着く予定だったのですが、適当に書いているともう1話分の自分的文字数制限を迎えつつあるので、続きは次回とします。
 
そもそも1話1500文字くらいが適正らしいのに、1話3000文字くらいにしてしまっている。ダビデの絵に助けられています。
 
次で絶対シナイ山にたどり着く!はず!!

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