クレジット市場の「100 CLUB」Ⅱ - 「高金利通貨」と「産油国」を狙い撃ち。
今回の「信用リスク・パンデミック」でロシアなどの産油国やいわゆる「高金利通貨」が新たに「100 CLUB」入り。確実に感染は拡がっている。
これらの通貨の動きを見てみると、高くなった円との比較でおおよそ▼10%~▼20%為替レートが下がっている。
これらの通貨にとって▼20%程度の通貨安は驚くに値しないのかもしれないが、投資をしていた日本人には大問題だろう。*トルコリラは2015年には1リラ=45円もしていたのが直近では16~17円とおよそ1/3になっている。
*筆者が退職した2016年にはトルコリラ債を随分売っていたように記憶している。金利は10%を大きく上回っていたので結構売れていたようだが、仮に15%の金利を4年受け取っても元金が1/3になってしまってはどうしようもない。(15%x4x1/3-2/3(66.6%)=▼46.6%、それに手数料。受け取ったリラ建の利息も通貨安で1/3に減価)レアル債とかペソ債も売っていた。
全てを吹き飛ばす「デフォルトリスク」(2020.1.17稿)。この例が示すとおりたとえ4年間儲かっても、たったの1か月で全てを吹き飛ばす威力。投資利益はトントン(=ゼロ)どころか、元金が半分になってしまうこともある。だいたい25年金利の仕事をやってきて「高金利」で儲かった、という話を聞いた事がない。プロの間では「高金利」=「高リスク」が常識である。
読者の方の中にこれらの商品に引っかかった方がいらっしゃたら申し訳ないのだが、残念としかいいようがばい。「信用リスク」が絡む商品はこういう代物である。株のインデックスでさえ、この1か月の動きで2019年の利益ほとんどを吹き飛ばしているわけだから、デフォルトリスクは本当に怖い。
ただここで終わりではない。**きちんと「損切り」している方、あるいはこれから株式投資を始める方は、今の相場を「買い場探し」で見ることが出来る。タイミングを間違えなければ「損切り」分を取り返すどころか「倍返し」で収益を上げることさえ可能だ。直近米国債を急騰させた事が証拠だが、お金は有り余っている。株が戻す時はかなりの急騰になるはずだ。
**厳しいようだが、きちんと「損切り」できずに多額の株を買持ちのままだと、目の前の損失が重荷でこの局面を「買い」で考えられない。暴落の途中で中途半端に「ナンピン買」をしてしまった投資家も同様だ。嫌気がさして相場から目を背けたり、株価の戻りを「祈る」ようになったりすれば「マーケットの迷子」になってしまい、その後の大きなチャンスを逃すことになりかねない。ほんのちょっとした売り買いの手順の違いなのだが、やはり「牌を切る順番」は大切である。
幸い日本も「利下げ」カードより「財政出動」という「正しい処方箋」に向かいつつあるようなので、この3月は勝負の月になるかもしれない。欧米の動向とともに動きを注視したい。
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