シーソー

空も飛べるはず -「株安」と「金利低下」の「シーソーゲーム」@米国市場。

 さて休場明け2/18のNY市場。とりあえず今回の株安は「アップルショック」が原因、とのことなのでさすがのNYダウやナスダックも「定石通り」下げてオープン。ここから「株と金利のシーソーゲーム」が始まった。

 まずはNYダウが▼200ドル強下落したことから金利が低下し始める。米国債の10年が@1.54%(前日比▼-0.02%)、5年債は@1.38%と昨年10月以来の@1.40%割れにトライ。しかし「金利の壁」は厚く、跳ね返された。

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$  FF- 2- 5- 10yr  (グラフ)

 ヨーロッパなどでもさすがにこれ以上の金利低下には歯止めが掛かっている。日本もそうだが、仮に景気が悪化しても「預金課税の強化」的な側面のある「マイナス金利の深掘り」は景気に逆効果になる恐れがあるからだ。

実質金利G7 @19Feb20

 NYダウが▼1,000ドル下落するなどすれば、FRBに対しての「利下げ催促」相場も有り得るが、今回は全く実感がない。@29,000ドル台の高値を維持している以上、利下げに現実味がないのは当然だろう。結局終値は少し戻して▼165.89で引けたが、力強さには欠ける。

 既にお金の量的側面からは、昨年9月のレポ金利が10%に急騰して以降、銀行に対する規制を一部緩めるなどしている。↓ そもそもこの短期金利の急騰は市場の「弾切れ」を示す兆候の1つでもあるのだが、一応その対策は取って銀行の「蛇口」は緩めている

 こういった株と金利の「シーソーゲーム」「損切丸」も実は何度か見てきた。「景気が悪くなると金利が下がるから株が上がる」という理屈。まるで2人でどんどんシーソーをこげば「空も飛べるはず」といった論理だ。実際にはどちらかが高く飛んでももう一方は地面に落ちるわけで、まるで無理な話なのだが、なぜかマーケットではこれが度々巻き起こる。

 こういう時の「シーソー理論」は誰かの「都合」である。こういう声が巻き起こる時は大概株が上がって欲しい勢力が多数になっている時。つまり投資家やファンドが米株のロング(買い)にかなり傾いていると考えた方が良さそうだ。この数年、マーケットでまとめて儲ける術が他になかったともいえるのでやむを得ない部分もあるが、少し風向きが変わるかもしれない。

 さはさりとてアメリカは大統領選もあるのであの手この手を使って株が上がる施策を打ってくるかもしれない。しかし「無理は通っても無理」「損切丸」座右の銘)。山が高ければ谷も深くなる。仮にFRBが不合理な利下げをするような展開になっても、物価上昇のような形で市場の逆襲があるかもしれないし、減税などの財政出動も長期金利の上昇を招きやすい。

 2/19東京市場のオープニングではとりあえず日経平均は反発して始まっている。同時に国債市場は反落して10年債は+0.02%の@-0.05%。ここでも「シーソーゲーム」は展開している。今後は景気が持ち直したことで金利上昇が進み、株価が下げ始める「逆シーソーゲーム」が始まる可能性も。市場はみんな(多勢)が行って欲しくない方向に動くものである

 ちなみに...たまたま有名曲のタイトルと被ってしまったが、筆者はスピッツやミスチルのファンではない。念のため悪しからず(笑)。

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