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動き出したら止まらない「金利市場」。ー 「ショート」の踏み上げに次ぐ踏み上げの連鎖。

 2021~2022年は米国債トレーダーにとっては「教科書的相場」。経験の浅いトレーダーは3回ぐらい天国と地獄を往復したかもしれない(苦笑)。

 2021年9月:「まさか@3%なんて...」 ↓ e.g. 10年米国債@1.43%

 おかしいのは株価ではない、金利だ!!第Ⅳ部 -「金利上昇」は次の局面に。|損切丸|note

 2022年6月:「さすがに@2.5%は…」 ↓ e.g. 10年米国債@3.28%

 
大事なのは「先を読む目」。ー もっと大事なのが「一歩踏み出すこと」。|損切丸|note

 <エリオット波動の3つの原則>
 ルール①:第2波動が第1波動の安値を割らない
 ルール②:第4波動が第1波動の高値を割らない
 ルール③:第3波動が上昇波動のなかで最も短くならない

 <解釈1>
 
(第1波動)2020年4月@0.50%台 → 2020年11月@1.14%に上昇
 (第2波動)2021年12月に@0.92%まで低下
 (第3波動)2021年3月に@1.74%まで上昇
 (第4波動)2021年7月に@1.21%まで低下
 (第5波動)@2.00%まで上昇 =今回の上昇波動

 <解釈2 ー 長期的波動>
 (第1波動)2020年4月@0.50%台 → 2021年3月@1.74%に上昇
 (第2波動)2021年7月に@1.21%まで低下
 (第3波動)2021年7月~に@2.40%まで上昇 =今回の上昇波動
 (第4波動)@1.80%まで低下
 (第5波動)@3.00%~まで上昇

 <解釈3 ー 長期的波動そのⅡ>
 (第1波動)2020年4月@0.50%台 → 2021年3月@1.74%に上昇
 (第2波動)2021年7月に@1.21%まで低下
 (第3波動)2022年6月FOMC直後に@3.28%まで上昇
 (第4波動)@2.80まで低下
 (第5波動)@4.80%~まで上昇?

 <解釈4 ー 長期的波動そのⅢ>
 (第1波動)2020年4月@0.50%台 → 2021年3月@1.74%に上昇
 (第2波動)2021年7月に@1.21%まで低下
 (第3波動)2022年6月FOMC直後に@3.28%まで上昇
 (第4波動)@2.50まで低下
 (第5波動)@4.0%~まで上昇

 長期的金利見通しを語るために「エリオット波動」を利用したが、見立てはそれ程間違ってはいなかった。2019年以前「金利は死んだ」とまで言われていたが、その後の米国債の動きは「これでもか!」と言わんばかりの大相場"マグマ" が貯まっていた証拠だろう。「金利の怖さ」をまざまざと見せつけた。動かない時は動かないが、一度動き出すと誰にも止められない程一方方向に動く中銀の金融政策にそういう性質があるからである。

 さて10年米国債はあっという間に@2.54%。こうなると実際に米国が ”リセッション” 入りするかどうかはもう関係ない@2.7~2.8%で入った "ニュー・ショート" (売り=金利上昇方向)は踏み上げに次ぐ踏み上げの連鎖に巻き込まれてしまった。お気の毒だがここは抗っても無駄。下手に頑張ると傷が大きくなるので、早く「損切り」で逃げた方がいい(体験談。笑)。「10年米国債は@2%目指し」なんて言うエコノミストまで出てきた。

 やはり 「インフレ」転換点? ー 米フィラデルフィア連銀・製造業景況指数をきっかけに急伸した米国債。|損切丸|note が相場の「曲がり角」だったわけだが、たくさん痛い思いをすると逃げ足だけは速くなる(苦笑)。ポジションの大きくない若手トレーダーには良い教訓になったはず。

 「利上げ」予報では「9月に+0.75%利上げで政策金利@3%で打ち止め。その後利下げ局面入り」の ”超決め打ち” ↓ 。納得いかないかもしれないが、これも相場だ。

 筆者は原油価格が@50ドルに落ちても、米CPIが@+5%になっても、人口動態に起因する人手不足による「インフレ」は不変e.g. 米ベビーブーマー4,000万人の引退、の立場は変えていない。FRBの政策金利が2023~2024年に@4.0~4.5%目指しになるのが依然メインシナリオだ。

 しかし「金利が主役」の今、 "米国債の大暴れ" に付き合わされる株式市場やFX、暗号資産、コモディティは大変@139円台→@130円台に急落したドル円が象徴的で、他通貨に比べてももはやそれほど「円安」でもない

 おまけに「QT」(量的引締)で使える「お金」は減る一方QT(量的引締)が引き起こす「お金」の大移動 Ⅱ 。ー 中国株 → ナスダック → ビットコイン → ? 「レパトリ」(損失穴埋め)で原油、ドル円も売り?|損切丸|note で「お金」が壮絶な奪い合いになるのは必定。どこかが上がれば、必ずどこかが割を食う。

  "米国債のマグマが貯まっていた"

 こういう言い方をしてふと思い当たった。30年以上も「金利が死んだ」状態のJGB(日本国債)が蓄積したエネルギーはどれ程のものだろう。想像すらつかないが、タダでは済まないことぐらいはわかる。 "マグニチュード" は今回の米国債と同等か、あるいはそれ以上か "天変地異" 同様、いつ起きても不思議ではないので、常に頭の片隅には入れている。

 最新の「日銀バランスシート」@7/29を見ても、「貸出」120兆円と「当座預金」120兆円はいわゆる「両建て」で見かけ上膨らんでいるだけ。「日本の資金繰り」にかつてほどの余裕はない無担保コールO/N再度@0.00%に接近しているのがその証拠。 "天変地異" はそれ程先の未来ではないかもしれない。

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