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WTI vs BTC 相場のデジャブ。ー 難しい "適正値" の算定。

 コモディティ(商品相場)が "危ない" のは十分認識していたが、このところ原油相場が激しい一昨日@96台まで急落していたWTIが昨日(7/7)は@104ドル台まで急騰。本領発揮といったところか。

 いままで見向きもしなかったアジアでも売買が活発になり、かつての ”ミセス・ワタナベ” が参戦しているのかもしれない。確かに今のドル円ドカッと一攫千金は難しかろう。「ネットの時代」を象徴するかのようだ。

 コモディティといえば、日本でも古くは "悪名" 高い「小豆相場」で会社が倒産した事もあった。事実筆者が銀行支店で担当した2部上場の食品商社は「冷凍エビ相場」で失敗して会社が "左前" に。大手商社が「銅相場」で数百億円 ”溶かした” こともあり、何かと "危ない" イメージがつきまとう。

 今のWTIは昨年のビットコイン(BTC)↓ を彷彿とさせる。

 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ24 仮想通貨編①|損切丸|note

 BTCは2013年「キプロス危機」時に「お金」を逃避させる手段として使われた事がきっかけで1 BTC=@20ドルから10倍の@200ドルに急騰。事態はこれに留まらず2018年には何と100倍の@20,000ドルを突破「夢の資産」としてブームに火がつき「億り人」なる言葉が流行った。2022年7月には@63,000ドル台を付け、もうこうなると "適正値" の算定など吹き飛んでしまう。まさに「上がるから買う」オプションの起源とされる中世ヨーロッパの「チューリップ相場」もきっとこんな感じだったのだろう。

 そのBTCも今や@20,000ドルを割り込むなど ”意気消沈” の趣だが、WTIの相場付きも何やら似てきた。両方に共通するのがウォール街が ”演出” していること。「儲かりますよ」と多くの素人を引込み、最後にズドン。こういう商売はウォール街の得意とするところだ。

 かつて筆者もドル金利先物等で嫌と言うほど見せられたが、今も続けている事に辟易すると同時に半ば感心する。ドル円、ナスダック、BTC...時代が変わっても人の ”欲望” は変わらないということなのだろう。

 ただ暗号資産FXコモディティの違いは:

 コモディティ:実需と価格の関係
 FX:通貨と通貨の「相対評価」
 暗号資産:??

 荒っぽく言えば原油価格など1バーレル=@50ドルでも@300ドルでも構わない。だがはっきりしているのは@300ドルになれば多くの人が車に乗るのを止めるだろうということ。実際2008年7月に@150ドルに接近して国内のレギュラーガソリンが@180円台になった時は、車の交通量が激減した「車社会」といわれるアメリカにも相当影響があるのは間違いない。最近は「馬に乗り換えた」(テキサス?)なんて話まで出ている。

 この20年で見ても、@100ドル近辺に「需要限界ライン」があるのが見て取れる。産油国としては高ければ高い程いいのだろうが「需要」が死んでしまっては元も子もない。この辺は実需に基づく一種の "適正値" でもあり、暗号資産と違う点。 続・「インフレ」攻防戦。ー "リセッション" で「インフレ」解消?|損切丸|note 「QT」による「流動性適正化」で@60~70ドルを "適正値" と筆者は見ているが、さて...。

 FXには輸出入や資本の動きという実需をベースに、ある程度の変動を経て "適正値" に動くメカニズムが働く1日1兆ドルを超えると言われる「流動性」に加え市場の成熟度が高く、かえって儲けにくい相場になっている。

 暗号資産といえば最近NFTが取り沙汰されているが、これは注意した方がいいブロックチェーンをベースにしているためイーサリアムを使う事が多いようだが、NFTの価値は:

 NFT=暗号資産(イーサリアム)+美術品等の付加価値

 こういう "ハイブリッド型商品" だ。これは筆者の経験した①オプション+債券の「高利回り仕組債」②「投資用アパート」と似ている。どちらも「利回り」というラベルを貼って、そこから ”逆算” で「価格」設定しているが、実は①「オプション」と「債券」②「土地」と「建物」を別々に算定すると売出価格と「乖離」がある事がわかる。即ちそれが売り手の儲け

 NFTも同様で、暗号資産と対象商品の価値は別々に算定した方が "適正"”ぶっ込み価格” はいつも危険であり、税制や手数料、諸経費も気になる。「投資」を考える時はできるだけ「不確定要素」を取り除く事である。

 マーケットの中で最も正確に "適正値" を計れるのが「金利」だろう。特に国債各国中銀の金融政策を軸に考えていけば、2~5年ぐらいまではそれほど「乖離」はない。 ↓ のようにシミュレーションが可能。

 「名目金利」が高くなれば「複利」↓ も必要だし、長期債なら財政や期間リスク社債なら「信用リスク」が加味されるのでより複雑にはなるが、*FXやコモディティ、暗号資産のように「多数決相場」になる事は少ない

 *「コロナ後」の「過剰流動性相場」日本の「バズーカ」のように通貨の発行当局が強烈な買占めを行えば "適正値" を超えて「割高」になってしまう。2018~2021年の金利相場は おかしいのは株価ではない、金利だ!!|損切丸|note 金利トレーダー達には ”まともな取引” を封じられた「受難」の時期だったが、ようやくマーケットが戻って来た。

 巨額の「お金」を動かす「投資」というと華やかなイメージを持つ人が多いが、実際には "適正値" を探すため ”コツコツ” と繰り返す地道な作業が不可欠BTCに次いでWTIも振り回してくる可能性が高いが、「情報」を選別し毅然とした態度で臨みたい。そのために必要なのが ”コツコツ” 。その「量」と「質」が「運用成績」を分ける事になる。


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