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「行って欲しくない方に動く」相場の原理Ⅲ。ー 「インフレ」はまだまだ続く。

 「行って欲しくない方に動く」相場の原理。ー 「損切り」が動かすマーケット。|損切丸 (note.com)
 「行って欲しくない方に動く」相場の原理Ⅱ。ー 「何もしない」を許さないマーケット。|損切丸 (note.com) からの続編。

 9月米雇用統計:
 失業率 @3.8% 予想 @3.7% 前月 @3.8%
 非農業部門雇用者数(NFP)+33.6万人 予想 +17万人 前月+22.7万人 ← +18.7万人
 平均時給(年率) +4.2% 予想 +4.4% 前月 +4.3%
 週平均労働時間 34.4時間 予想 34.4時間 前月 34.4時間

 「もう勘弁してくれ...」

 米銀の米国債担当者の偽らざる心情だろう。米国債市場としては価格にして▼50%程の史上稀に見る ”大暴落” であり、株式市場になぞらえれば2000年代初頭の「ITバブル」のクラッシュに相当する。これだとどこかの中堅銀行がまた経営危機に晒されるかもしれない。FRBも目が離せなくなる。

 気が付けば「逆イールド」「利下げ」期待は吹き飛び、5~30年は綺麗な「順イールド」を形成しつつある。これだと1~2年ゾーンから「利下げ」を経ずに「順イールド」化する ≓ 5~30年の@5%台が定着する可能性すらある。米国債を保有している銀行、ファンド、投資家は恐怖で一杯なはず。

 「損切丸」でずっと言ってきたが、やはりベビーブーマー▼4,000万人の抜けた穴は大きい「人手不足」はちょっとやそっとでは埋まらない。日本も含め世界では▼8,500万人と言うから「インフレ」はまだまだ続く

 これで一部にあった11月FOMC「利上げ」見送りは可能性が低下FRBにとってもここでもう1回スキップするメリットは何もない「利上げ終了宣言」も到底出せず、@4.5%以下への政策金利引下げは見えてこない

 S&Pの「イールドスプレッド」がほぼ@0%に張り付いたまま ↓ で「割高感」が解消されない米株には引き続き売り圧力がかかる。これだけ金利上昇が早いとついて行けないということもある。

 米国債主導でここまでドル建アセット(資産)が売られると、単純に金利上昇→「ドル買い」とはいかなくなる。今週(10/2~6)日本も「円安・JGB安・日経平均安」のトリプル安に見舞われたが、こうなるとドルと円とどちらの状況が悪いのかの比較になる。

 11月決算の米銀やファンドも多く、ここまで市況が悪いと「ボーナス」どころではない”首” をかけて勝負に出るトレーダーも必死。米国債も急落後に強烈なショートカバー → 再度売り直しともう滅茶苦茶株もドル円もWTI(NY原油先物)も振り回されている「介入」もへったくれもない。まああと1ヶ月程すれば彼らの命運も決するので、12月頃には何もなかったようにシーンとなるかもしれない。

 FRBもECBも、そして日銀も「インフレ」を甘く見たツケが回ってきている不況に喘ぐドイツも2桁金利の負担と「通貨安」に喘ぐブラジル、トルコ、ロシア(半分は戦争を起こした自己責任)も「もう勘弁」。だが「低金利時代」を謳歌した代償は大きく、 ”山高ければ谷深し”

 そして "ブラックホール" の中心にいる中国のマーケットが週明け再開する。「インフレ」をも飲み込んで世界を大不況に陥れるのか、それとも「資金繰り」を回すために「人民元」大増発して「通貨価値」の希薄化を引き起こすのか。 ”行くも地獄、戻るも地獄” 。悲観論ばかりに傾くのも避けたいが、どうしても "悪夢" が脳裏をよぎる。

 希望があるとすれば「リーマンショック」後の銀行規制強化でクラッシュは格段に起きにくくなっていること。シリコンバレー銀行(SVB)の破綻ぐらいで済んでいるのが奇跡であり、それ以降FRBも規制を再強化している。ただ独裁国家群はブラックボックス化されており予想が立たない

  "ウルトラC" があるとすれば、東欧の「戦争」の急転直下の終戦。このところ米中で何やら交渉が行われているが、「戦争」をバックアップしている中国を説得できれば可能性はなくはない。アメリカとしても来年の大統領選を控え "返り血" は避けたい。ロシアも微妙に態度を変えてきている(もっともドル・ルーブルが@100.00を超えて、財政的に余裕もなくなっている)。

 こういう流れの中、日本は微妙な立ち位置。1つはっきりしているのは、何もしなければ「円安」も「インフレ」も解消しないこと。ここはこの究極の局面を上手く生かす工夫が必要だ。40年JGBは遂に@2%に達したが、日銀も日本人も+2%の「利上げ」は覚悟した方がいい。厳しい事をいうようだが、それで破綻するような「投資」や「事業」はあきらめるしかない。それで初めて "次の芽" が育つ。

 「お金」があって「インフレ」の進行がマイルドな分、日本が相対的に有利なのは間違いない。あとは「やってみなはれ」(松下幸之助)。増えているベンチャー然り、次の世代にきちんとバトンを渡したい。

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