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金利は語るⅡ - テスラ、ビットコイン、ナスダック、加権指数(台湾)の ”変な感じ” 。

  "To clarify speculation, Tesla has not sold any Bitcoin." 

 ビットコイン(BTC)が何だか "変な雲行き" である。 ”環境問題” を理由にマスク氏がテスラ社の自動車代金決済にBTCを使用しないと宣言してから動揺が続いている。トレーダー達はその "真意" を図ろうと必死に売買。この土日(5/15・16日)もお休みお構いなしで激しく売買されていた。その中心は中国韓国か、はたまた欧米か - 一昔前の広告風だと:

 「24時間戦えますか?」

 こんなのに付き合っていたら寝る暇も無くて倒れてしまうかも(苦笑)。

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 @$58,000.-~60,000.-でがっちり上値を抑えられているようにも見えるが、何せ「未知の商品」クラシックなチャート理論が通じるかどうか。ただ、同じように ”変な感じ” になっている相場がいくつかある。BTC騒動の張本人テスラ社の株価にナスダック加権指数(台湾)などだ ↓ 

テスラチャート(6M)

ナスダック(6M)

加権指数(6M)

 台湾に関しては「コロナ感染」が材料視されているが、どうもそれだけではなさそうだ。半導体が絡む以上、ナスダックやテスラとリンクするのは当然かもしれない。

 少し趣が違うのがNYダウ。こちらは「コロナ危機」で大きなダメージを受けているボーイングの構成比率(@9%程度)が高いため、チャートの波形もIT関連とは少し違う動きになっている。

NYダウ(6M)

NYダウ指数構成(2019)

 では「金利」は何を語っているのか

 やはり目立つのは米国債と中国国債の ”GDP世界1位&2位” コンビの金利低下基調だ。米国ではバフェット氏率いるバークシャーが現金比率を高める、という記事を目にしたが、この ”変な感じ” が原因かもしれない。富裕層の「退避資金」が比較的金利の高い10年米国債に流れ込んでも不思議はないし、こうなると売り向かうトレーダーは分が悪い

 同じくBTCに向かっていた中国富裕層の「退避資金」が中国国債に流れ込んでいる可能性もある。

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 いずれも「お金持ち」の天敵「インフレ」の動向を見極めようというものだろうが、彼らも金利上昇リスクは十分認識している。あくまで ”一時退避” が基本で、特に長期債を持ち続けるとも思えない株等の相場が十分に調整してバリューが復活すれば戻る可能性も高い

 ひとつ面白いのは欧州国債が売り基調を継続していること。殆どの国のCPIがプラスゾーンに入る中、ECBの政策金利@▼0.50%はいかにも低い低金利で「実弾」も入って来にくいので売りを手掛け易い事もある。*金利差縮小を狙った "欧州国債売-米国債買" のスプレッド取引も流行っていそうで、これも現在の米国債の底堅さに貢献している。ただし、この取引を「利確」「損切り」で閉じる時は米国債の売りを加速させるので注意が必要だ。

 *堅調なユーロドルに鑑みると、欧州の実需の投資家が為替リスクを負って米国債を買っている訳ではなさそうだ。さすがにCPI@+4.2%を見せつけられると、とてもじゃないが10年@1.62%では買えない。その辺り「お金持ち」は金利にはかなりうるさい

  こういう時一番気をつけなければならないのは、「一時退避」のつもりが「大相場」に化けるケース。いわゆる「ブラックスワン」パレスチナでは実弾=ミサイルが飛び交っているし、アジアでは英仏独の軍艦がやって来るなど、中国を巡る安全保障の状況が緊迫度を増してきている。偶発的な ”事故” が起きる確率はここ数十年来になく高い ”変な感じ” の背景の1つとして頭に入れておく必要があるだろう。

 思えば2019年以降、欧米の投資家やヘッジファンド、トレーダー達は「投資」の "3車線" 。(5/14 ↓ )の中で "追い越し車線" を突っ走ってきた。

 スピードは150㎞から180㎞へとどんどん上がり、このままでは危ないと感じながらも車線変更など出来ない状態に陥りつつある。そんな中、一部の余裕のあるドライバーが普通車線に変更しているのは無視できない事実だ。少し休みたいだけなのか、はたまた「大クラッシュ」の予兆か。

 筆者の専門は「金利」なので、専門外の株やBTCよりも米国債や日本国債(JGB)などからのメッセージを丹念に拾っていこうと思う。今の堅調な米国債の動きはデフレ初期の ”売っても売っても下がらない(=金利が上がらない)JGB” を彷彿させるところもあり、少し ”変な感じ” になっている。

 今後もまだ金利上昇相場を想定しているが、場合によっては「インフレ取引」の終わりを告げる可能性も@10%程はありそうなので、緊張感を持って見守っている。株やBTCがかなりの高値なのはみんな意識しているはずなのに、最近「買われ過ぎ」「バブル」「割高」などの声が聞こえなくなっているのも気になる本物の ”狼” はやってくるだろうか。

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