目次2

「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ14 保険編①

 <保険って何?-何かあるといけないから?>

 割と身近で気づかずに長期に多額の金額を投下しているものに「保険」がある。皆さん、「保険」って何かきちんと理解しているであろうか?例えば20代で月2万円、40年の終身保険に入ったとすると総額は960万円にも上り、立派な車が2,3台買える額に及ぶ。保険は立派な投資、しかも「前払い」である。それなのに、ただなんとなく「何かあるといけないから」という理由で保険に入っていないだろうか? 「何か」ってなんだろう

 わかりやすいのは自動車保険。確かに死亡事故を起こせば数千万から場合によっては億円単位の賠償を迫られるリスクがあるため、月々数万円の負担なら入っておくというのは理にかなう。保険会社は事故確率などを計算し、彼らが損をしないであろう金額をはじき出し、それに一定の利益分を載せて保険者に請求してくる。まあ、これが保険の基本的仕組みであり、それ自体は(保険会社の利益分が妥当であれば)必要な物だと思う。

 では、最近広告などを目にする「80代から入れる入院保険」はどうだろう。私見だが国民皆保険が普及している日本ではこれはどうかと思う。かえって老後の生活資金を圧迫しないだろうか。年金生活をしている私の老齢の母にも不要な保険は解約した方がいい、と勧めている。


 <まとまった資金が必要な時、不要な時>

 生命保険やがん保険、入院保険などはある時期、特に30~50代の働き盛りで子供の教育費や住宅ローンの支払いがかさんでいる家計にはある程度は必要だと思う。なぜなら、家計の負担は両親が働いて得る収入に依存しているため、病気や事故でそれが突然途絶える事態に備えておく必要があるからだ。ただ、その保険料負担も不要に家計を圧迫しすぎないよう、よくよく契約内容を考えておくことが肝要であろう。

 それでは子供達が自立したり住宅ローンを退職金で返し終わったりした場合、保険は必要か? 筆者はお葬式代ぐらい担保できていれば後はまとまったお金は必要ないと思う。それ以外は基本解約して、その分日々の生活に回した方が懸命。病気や介護は国民保険でほぼ賄われるため、保険料は払い過ぎになる可能性もある。

 人生設計は一人一人違う。保険はコストの前払いであるのだから、お金を何のためにどれくらい必要なのか、事前に個々のケースに当てはめて考えておくことが大切である。

 其ノ15では、保険会社をはじめ日本の金融機関の運用について。保険発祥の地、イギリスの例も交えて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?