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ハンチバックを読んだ

あらすじ(ネタバレ含む)
重度障害者(側弯症+呼吸障害)である女性がグループホームで過ごしている話。彼女はウェブでアダルト系の子たつ記事を書いて稼いでいる。といっても、彼女の実家は裕福なので稼ぐ必要もないので稼いだお金は寄付している。 障害者は社会の中でいろんな不便を強いられ日々苦しんでいる。妊娠出産では障害がわかった段階で中絶をすることも当たり前になってきている。そんな中で彼女が抱く考えている夢が妊娠して、堕胎すること。 妊娠にはパートナーが必要であるが、パートナーとして選んだのはケア施設で働く男性のヘルパー、彼は自分のことを弱者男性と認識しており、普段から静かに攻撃的な発言をしている。主人公の女性がウェブでエロ系のコンテンツを執筆していることをtwitterから特定もした。入浴介助で彼に裸を見られたこともあって、主人公の女性は1億5千万円でセックスすることに。約束の日、行為は口内で発射することになる。それの結果肺炎になり入院。退院する前に男性のヘルパーはやめてしまう。 物語はここで視点がかわり、あるソープ嬢が客と話すシーンにうつる。嬢は家族について語り、兄が職場(グループホーム)で殺人を犯したことについて触れ、ここでこの本の主人公が殺されたことがわかる。

感想

  • あらすじを書くといろんな細かいニュアンスが失われる。もっと細かい気を使いたいが無理なのであきらめてざっと書いた。

  • 小説の冒頭で、主人公の女性が書いている風俗のレビュー記事の書き方がすごいリアルだった。男性が実際に書いているレビュー記事は、もっと汗臭いというか、湿度のある文章になる。主人公は女性であって、実際に女性が書いていそうな文章になっていると言う点ですごいリアルだった。

  • 作者が実際の障害者で、当事者としてこの文章を書いている。普段小説を読んでいて、作者の経験なのだろうかとか考えたことはないが、今回はどこまで実際の経験なのかとかが気になってしまった。

  • 妊娠して堕胎したいと言う。彼女の夢に関しては共感はできないが、なんとなく理解はできると言う感じがする。ある種のリベンジというか。

  • 田中さん(男性ヘルパー)の発言に含まれるトゲがリアル。読んでいるだけでけっこうドットダメージを食らう。

  • 小説のまとめ方、終わらせ方すごい。どうして田中さんは主人公を殺したのだろうか。お金をもらえなかったから、口に出したことによって肺炎にさせてしまった罪悪感、とか適当に浮かぶ。行為はある種の男性優位のものだったが、そこにいたるまでの流れとかが実質主人公に見下されていたから、とかだろうか。

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