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「着飾る恋には理由があって」がどうしてこんなに刺さるのか

今日は、現在TBSで火曜夜10時に放送中のドラマ「着飾る恋には理由があって」が好きすぎて、140文字のツイートには到底収まりそうになかったのでnoteを書くことにした。最初に言っておくが、私はただの大学生であり、ドラマ評論家ではない。そのような方々に比べ圧倒的にインプットもアウトプットも足りていないし、「評論」なんておこがましいことをするつもりもない。ただただ、何で私がこのドラマが本当に好きなのかを述べるだけである。ドラマを見ている人に、ちょっと共感してもらえれば十分だ。
また、このnoteはドラマ全体というよりは最新話である7話の内容を主に取り上げる。まだ見れていない人はTverで7話だけでも見てもらえると、ちょっとは面白く読んでもらえるのではないだろうか。

表紙を含め、この記事の写真はすべて公式Twitterからお借りしている。撮影現場の和気藹々とした雰囲気が伝わってくるのでぜひ見てみてほしい。

ざっくり内容紹介

主人公は、“着飾る女”真柴くるみ(川口春奈)。インターネット通信販売で若者から支持を集めるインテリアメーカー「el Arco Iris」(エル・アルコ・イリス=スペイン語で“虹”の意)の広報として、プレスリリースやメルマガの作成、メディアの取材対応、広告宣伝のPR活動を担当。「el Arco Iris」を興した社長・葉山祥吾(向井理)からも一目置かれている。会社に貢献したいと宣伝を兼ねて始めたSNSでは10万人近くのフォロワーを持ち、インフルエンサーとしても活躍。会社のため、フォロワーのため、そして密かに想いを寄せる葉山社長のため、「憧れの存在」であり続けようと背伸びし努力する日々——。
そんな真柴だが、日々業務に追われマンションの契約更新を忘れていたせいで部屋を追い出されてしまう。彼女に手を差し伸べたのは、カフェでバイトしていた頃に仲良くなった常連さんで、真柴の唯一の女友達であり、「姉御」と慕う人気フードスタイリスト・早乙女香子(夏川結衣)。香子の計らいで真柴が行き着いた先は、表参道の一等地に建つ彼女のマンション。表参道の高級マンションで優雅な一人暮らし!と思いきや…そこにいたのは既成概念を覆す、カオスなメンバーたち。自由気ままに好きな時だけキッチンカーでバルを営業する料理人で、シンプルな生活を追求する超マイペースな性格のミニマリスト・藤野駿(横浜流星)。駿のはとこでオンラインカウンセラーとして悩み相談を請け負っている関西人・寺井陽人(丸山隆平)。近所の高級スーパーでデリバリーのバイトをする傍ら、現代アートの絵画やオブジェを作るアーティストの卵・羽瀬彩夏(中村アン)。この3人に真柴と香子という、縁もゆかりもない、年齢も職種もバラバラの5人でルームシェアがスタートするのだった。(公式HPより引用)

はい、初っ端からHPの1話のあらすじをまるっまる持ってきました。自分で書こうと思ったけど、公式のあらすじのほうが分かりやすくない?と思い、お借りしました。公式HP、サンキュー。

このあらすじの後、突然社長(向井理)が辞任して行方不明になり、真柴(川口春奈)は傷心。「社長に貢献したい」という思いで頑張ってきた仕事にも身が入らなくなっていく。しかし、同居人で隣の部屋に住む藤野(横浜流星)の優しさに救われ、社長がいなくなったことも受け入れていく。また自分自身の仕事を愛する気持ちに気づいたことで前向きに過ごせるようになる。同時に藤野と惹かれ合い、両想いとなり付き合ったところで突然社長が戻ってきて、社長も一緒に同居…なんてありえん激ヤバ展開になる。今回取り上げる7話はそのあとの話だ。(見たくなってきた?)

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ちなみに、向井理演じる社長が真柴たちの住むシェアハウスに転がり込んできた6話では、向井理がスーツ・Tシャツ・パジャマ・パーカーと洋服を変えるのだが、どれも似合っていてめちゃくちゃカッコいい。あ、顔もスタイルもいいと服の形とか関係ないんだな…と思ったし、向井理は顔が小さいのに肩幅が広いからsattouさんのイラストみたいになってた。向井理は私が2番目に好きな俳優(1番は皆さんご存知、窪田正孝である)なので、6話以降たくさん出てきて本当に嬉しい。特に8話以降は横浜流星とバチバチしちゃうみたいなので、この2人が自分を取り合うってどういう世界線~?と思いながら楽しみたいと思う。

求めるのは前を歩く人ではなく、となりを歩いてくれる人

さて、話が脱線してしまったが、いよいよ本題である7話について話していきたいと思う。細かい内容を洗いざらい書いていくと卒論レベルの長文になってしまいそうなので、結構割愛して参ります、レッツゴー!

真柴(川口春奈)は10代のころからカリスマバイヤーである社長の葉山(向井理)に憧れを抱いてきた。しかし、入社後は広報の仕事に忙殺され、インフルエンサーとなったこともあり異動もない。自分の夢を諦めかけていた真柴だったが、そんな真柴を「やりたいことはやれ。見たいものは見に行け」と藤野は勇気づける。(6話参照)

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よって、7話では真柴が、自身の夢であるバイヤーになる第一歩として、地元初島の工房を訪れる。母がインスタグラムで紹介していた、貝殻でできたランプに惚れ込んだためである。こういう風に、主人公が勇気を出して挑戦をする場合、大体の恋愛ドラマではうまくいって、主人公の望み通りになって、「あなたが励ましてくれたおかげ」なんて言って、背中を押してくれた相手との距離が縮まるものである。しかし、このドラマの場合は真逆なのだ。
真柴は貝殻のランプを自社で販売すべく、職人のもとを訪ねる。名刺を渡し、多くの人のもとに届けたいと熱意を伝えるが、取り合ってもらえない。しかし、頑張り屋の真柴は徹夜で販売計画をPPTにまとめ、翌日また職人のもとを訪れる。次こそ説得完了なるか!?と思いきや、なんと職人は「興味がない」と一蹴。真柴の努力は泡となって消えるのだ。

結局交渉はうまくいかず、貝殻のランプは諦めることに。言ってしまえば、真柴は挫折をするのである。夜中、1人で落ち込んでいると、恋人である藤野が隣に座る。真柴が上手くいかなかった悔しさを吐露するも、藤野は何も言わない。「こういう時、いつも何にも言わないよね」と言う真柴に対し、藤野は「何を言っても嘘っぽくなるでしょ。その代わり、隣にいるよ」とほほ笑む。落ち込む主人公に対して、恋人は何を言うわけでもなく、ただ「となりにいる」だけ。
これも、ちょっと前の恋愛ドラマなら、恋人が良いアドバイスをくれて結果的に大成功するのがセオリーで、万が一うまくいかなかった場合には恋人がカッコいいことを言って抱きしめるとか、なんかそういう感じのストーリーになるんじゃない?と思う。

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そして、主人公の相手の選び方も違う。頑張る真柴には、ずっと追いかけていた憧れの社長より、価値観は正反対だけど同じ目線で、対等な立場で背中を押してくれる藤野が必要だった。主人公が求めるのは、前を歩いて道を開き導いてくれる人ではなく、隣を歩きながら、主人公が道を切り開く勇気を与えてくれる人なのだ。

この公式Twitterでのツイートの写真にも、真柴と藤野・社長とのそれぞれの関係がよく表れていると思う。藤野は一緒にブランケットの中で温まる人で、社長はネクタイを結んで送り出す人。やはり、真柴にとって社長は前を歩く人なのだ。(もちろん社長との間には会社の上下関係があるのは確かだが)

正直、7話のキッチンのシーンを見てかなりグッときてしまった。「うちキュン」とか言ってPRするのが勿体ないとさえ思ってしまう。このドラマはただシェアハウスの中で男女が恋愛をする物語ではなく、主人公の真柴が他人軸から自分軸で生きられるようになるための物語なのだ。

あらすじの際にも軽く触れたが、真柴は藤野と出会う前、「憧れていた社長の会社で」「社長をサポートしたいという思いから」広報の仕事を頑張っていた。自身がインフルエンサーとして会社の広告塔のようになったことで、「フォロワーが楽しんでくれるように」「フォロワーが飽きないように」毎日数回のSNS更新を行う日々。部屋中に大量の服やバッグが並び、いつもファッションもメイクもネイルもバッチリキメていた。つまり、自分よりも他人がどう思うか、という他人軸で生きていた。

しかし、ミニマリストで携帯すら持たず、キッチンカーの料理人として自分らしく、自分を大切にしながら生きる藤野によって、真柴は変わっていく。社長やフォロワーたちのためではなく、自分が「広報の仕事が好きだから」仕事をしていたことに気づく。そして、忘れかけていた「バイヤーになる夢」を思い出す。段々と、自分の人生を自分のために、自分の足で歩んでいけるようになっていくのだ。藤野もまた、過去にトラウマを抱えており(8話以降でいろいろと明らかになりそうだが)、他者との深いつながりを避け、自分のやりたいようにやることを最優先にしてきたが、他者のために頑張る真柴に影響され、真柴の「隣にいる」決意をした。藤野は自分を見失った真柴が自分軸を持つ契機であり、真柴もまた独りよがりになっていた藤野の心を溶かす契機となったのだ。ここまで読んで、何となくこのドラマがただただ恋愛をテーマにしていないことがお分かりいただけただろうか。(見たくなってきた?)

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回を重ねるにつれて感じる横浜流星の魅力

さて、ここまではストーリーの良さを延々語ってきたが、次は藤野を演じる横浜流星の魅力を語りたいと思う。ここからは、横浜流星のことをあんまり知らない人や何となく好きじゃないな~と思っている人にこそ読んでもらいたい。何を隠そう、このドラマを見るまでは私自身がそっち側にいたからだ。

このnoteを読んでいる人の中で、おそらく横浜流星さんを知らない人はいないだろう。なんだか呼び捨てにするのも忍びなくて敬称をつけたが、やはりいちいちつけるのもアレなので敬称略でお届けする。

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横浜流星はスターダストプロモーション所属の俳優で、御年25歳。私の姉より年下でびっくりしてしまった。今回このnoteを書くにあたり調べて初めて知ったが、小学生時代からスターダストプロモーションに所属し、モデルとして活動していたらしい。だってかっこいいもんな…

その後俳優としてキャリアを築いていくのだが、彼が一躍有名になったあのドラマを覚えているだろうか。

そう、「初めて恋をした日に読む話」である。ピンク髪の不良男子(でもねは真面目で最終的に東大に合格するらしい)ユリユリを演じていたのだ。私はこのドラマを見ていないのでここでは詳しく書けないのだが、深田恭子演じる塾講師と生徒の恋というストーリーや奇抜なピンク髪からして、中高生向けのドラマなのだろうと興味を持たなかった。しかしながら、ピンク髪の横浜流星のイメージは私の中で色濃く残り、「中高生向け恋愛ドラマによく出てるよくいるイケメン」と思っていた。着飾る恋には理由があってを見始めたころも、「なんかよくいるイケメン俳優って感じなんだろうな」と全く期待していなかった。このドラマも、「中高生向け恋愛ドラマ」だと思っていたから。

しかしながら、印象はがらりと変わった。当たり前だが髪色はピンクから黒になっており、ミニマリストとして自分中心、他の人のことは知らん!といいながら、本当は真面目で優しく人懐っこい、おまけに真柴に興味津々になってしまう藤野を見事に演じていた。というか、もう藤野なのだ。演技の経験もないただの大学生の私が言うのもアレだが、ここまで自然な演技をする俳優さんだと思っていなかった。

そして、藤野駿という人間が本当にチャーミングで魅力的なのである。これから深く話が展開していくようだが、藤野はスペインで修行を行った新進気鋭の料理人として自分の店をオープンさせるが、同僚との不和が原因なのか数年で店をたたむことになる。そのトラウマからか、1人で自分の好きなように生きることを大切にしている。
しかしながら、自分の殻にこもっているわけではなく、人当りは良いし笑顔を絶やさない。間違いなくシェアハウスのムードメーカーだ。そして、先に触れたが、真柴と出会い大切な存在と認識するようになったことで、自分中心だった藤野もまた変わっていく。3話?4話?では「俺はやきもちなんて妬きませんけど?」みたいにシュッとしてたくせに、今回の7話では分かりやすくやきもちを妬いて拗ねた表情をしたり、なんで社長がいるんだよ!?と嫌味を言ってみたり…えっかわいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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最後は少々感情的になってしまったが、回を重ねるにつれて誰よりも、横浜流星演じる藤野の魅力が爆発しているのだ。藤野も変わってきたとはいえ、まだ自分で一歩を踏み出す勇気は持てていない(まだ自分の店や元カノのことを引きずっているようなので)。また最強の敵であるシャチの社長(向井理)と、真柴を奪い合うバトルを経て、彼がこれからどういう人間になっていくのか、楽しみで仕方がない。

さいごに

こんなに長くなってしまうとは思わなかったが(5000文字over)、私がこのドラマをいかに愛していて、それがなぜなのか、少しはご理解いただけただろうか。今回は主人公真柴と藤野の関係を中心に、横浜流星について語ったが、このドラマの魅力は他にもたくさんある。シェアハウスのメンバーであるはるちゃん(丸山隆平)とはせさん(中村アン)の恋模様や、課長(ずん飯尾)率いる広報部でのやりとり、何より経営者かつ上司としての社長(向井理)の魅力…挙げ出したらキリがない。どの俳優さんも演技は上手で見応えもある。

そして、これはあまりにも長くなってしまいそうなので詳しく書かなかったが、このドラマの最大の魅力はホモソーシャルに染まり切った登場人物が一切いないことだと私は思う。真柴が仕事でもそれ以外でも、自分の想いを実現していける環境が整っているのだ。特に職場では、そのような環境は稀…というかほぼないと思うのだが…このドラマでは、登場人物たちが「男らしさ」「女らしさ」から一歩離れ、人間として向き合い合っている。だからこそ、私はこのドラマが好きなんだと思う(まあヘテロのシスジェンダーしか出てこないのはアレだが)。用語がよく分からなければググってください、そして一本でも記事を読んだり本を読んだり、ちょっとでもジェンダーに興味を持ってみてもらえたらこれまた嬉しい。

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ダラダラここまで書いてしまったが、最期まで読んでくれた人は本当にありがとうございました。8話からでも問題なし!ぜひ、私が今最高にハマっている「着飾る恋には理由があって」を見てください。

そして、「大豆田とわ子と三人の元夫」も絶対に見てください。最後に他のドラマを宣伝するって何?と思うかもしれないし、見ている人も多いのでわざわざ言う必要もないかもしれないが、傑作だ。ネットで10年に一度の傑作と言われていたが、私もそう思う。とにかく、まめ夫はネタバレなしに、1話から静かに美味しいお酒と一緒に見るべし。以上です。


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