16球団構想と海外進出と放映権

プロ野球の16球団構想は、日本のプロ野球界に新たな競争力をもたらし、地域活性化を図る目的で提案されています。現行の12球団から拡大し、ファンの関心を高め、新たな市場を開拓することが期待されます。
現在の球団は所謂7大都市圏にのみ存在し、それ以外の住民からはやや身近とは言い難い存在です。7大都市圏の人口は8千万程度であり、残り4千万程度の市場が残されているかと思います。特に北陸や四国などNPB球団の存在しない地域もあるため、開拓の余地が十分あります。

プロ球団ができることは野球文化の発展は勿論、その地域の経済的発展も促します。直近だと北海道のエスコンフィールドのように実際に新球場ができることで周辺地域が再開発されていきます。

とはいえ、人口で広島仙台以上の都市はもう残されておらず、何より公共交通機関の輸送力の問題もあります。そのためエキスパンションを実現するためには、球場の集客だけではなく放映権の重要性が無視できません。

放映権は、試合の映像や音声を放送・配信する権利であり、その売却によって球団に大きな収益がもたらされます。
NPBもMLBのようにNPBが放映権を一括で管理することで、放映権の価値が高まり、球団の運営資金が確保される可能性があります。ファンにとっても、NPBTVのようなもので全試合見れるサブスクがあればわかりやすくなるでしょう。極端な話、例え月4000円でも全試合見ることができれば、11球団の主催試合しか見れないDAZNに入るよりはいいという人もいるでしょう。それにNPBに直接お金が入ります。それが選手の年俸や、球場の改築の費用に回せるのであれば野球界にとってもメリットがあります。
プロ球団の客入りの方は2019年までは好調でした。しかし感染症の流行による観客数の制限があってから、観客数の制限がなくなった2023年でも、パンデミック以前の客足には戻っていません。やはり、一度観戦の習慣が途切れてしまうと元に戻ることには少し時間がかかるのでしょう。しかし、逆にサブスクによる動画鑑賞の習慣は一気に根付きました。若者のテレビ離れも進んでいることですし、今こそ放映権を一括管理し、きちんと稼げる分野にすることが大事ではないでしょうか。

次に16球団構想で大事だと思うことは海外進出です。
WBCで日本が優勝したことは記憶に新しいですね。2023大会の盛り上がりは凄まじく、日米以外の国でもこれだけ野球文化があるのだと実感しました。しかし同時に、まだまだヨーロッパやアフリカではマイナースポーツです。チェコ代表の活躍は印象的でしたが、他のヨーロッパの代表はアメリカ出身者が多いなど、まだまだ本国での知名度は高くありません。アジアでも韓国や台湾、オーストラリアでは盛り上がりを見せていましたが、他の国では大会どころか野球すら知らない人がほとんどでしょう。
しかし最近、インドネシアでプロ球団が誕生しました。
インドネシアでプロ野球球団が誕生したことは、野球市場の拡大とNPBへの新たなチャンスをもたらします。インドネシアでの野球の普及が進むことで、NPBも新規ファンやスポンサーを獲得できる可能性が高まります。インドネシア市場に進出し、NPBのブランド価値を高めることで、日本のプロ野球はさらなる発展を遂げることが期待されます。

韓国や台湾などの国への売り込みももちろん大事です。しかしその二国を合計しても7.5千万程度の人口しかおらず、やや物足りない印象です。欧米ではそもそも時差の問題であまり売り込めるとは思いません。
そこで注目したいのがインドネシアです。インドネシアへのNPB市場拡大は、時差が僅か2時間であるため試合視聴が容易であり、人口2.7億人という巨大な市場が魅力的です。

もちろん、そのままではインドネシア人が日本のプロ野球を見るはずがありません。インドネシア市場を活性化させるため、既存の外国人枠とは別の第二外国人枠のような制度を導入して、インドネシア選手を支配下登録できるようにすることが重要です。これにより、インドネシア選手がNPBで活躍する機会が増え、インドネシアのファンにも親近感が生まれるでしょう。また、メジャーリーグのポスティングシステムを参考に、NPBとインドネシアのリーグ間で選手の移籍を円滑に進める仕組みを整備することも有効です。これにより、インドネシアの才能が日本で活躍し、両国間で競争力のある野球市場が構築されます。日本人がエンゼルスの試合を見るように、インドネシアのスターが日本で活躍すれば、インドネシアの野球市場はNPBにとって大きなチャンスとなり、両国の野球文化が共に発展することが期待されます。
さらに日本にインバウンド観戦客を呼び込めるようになる可能性も秘めています。これは16球団構想において懸念される集客力の強化に一役買うことができるかもしれません。特に地方ではインバウンド消費のインパクトは大きく、地方の発展も促す可能性があります。

このようにプロ野球は野球だけでなく地域の発展など様々な可能性を秘めていますが、まずは放映権の改革あってこそです。きちんと稼げる体制を作り、楽しい野球観戦文化を作り上げてほしいと思います。

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