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2021年公開映画ベスト10 〜オカデミー賞2021〜

こーーーんにーーーーちわーーーーーーー!!!

黒沢清の映画を見て、寝たよ!!

というわけで、年末恒例オカデミー賞の季節がやってきました。
オカデミー賞とは、2021年に公開された映画の中から優れた作品を選出し、ランキング形式で表彰する個人的な会です。

昨年の記事はこちらにございますので、ぜひご覧ください。

果たして、今年はどんな映画が選ばれるのでしょうか。
それでは早速参りましょう。


第10位 Mr.ノーバディ

ジョン・ウィックファン歓喜!ブレイキング・バッドファン困惑の骨太アクション映画!

脚本に『ジョン・ウィック』シリーズのデレック・コルスタッド、製作に『デップー2』、『ワイスピ スーパーコンボ』、『アトミック・ブロンド』のデビッド・リーチを迎えた本作は、アクション映画好きが泣いて喜ぶプロジェクトだ。

その主演に抜擢されたのはまさかのボブ・オデンカーク。
彼といえば『ブレイキング・バッド』のソウル弁護士が有名だ。
私もソウル弁護士が大好きで、Netflixで配信中のスピンオフドラマ『ベター・コール・ソウル』を全て拝見した程のファンだが(早く続きを撮ってください)、それは口先だけでピンチを乗り切るキャラクターで、アクション映画の主役とはまるで正反対の役柄だ。

そんなボブ・オデンカークが、この映画ではしっかりとキアヌ・リーヴスになっているではないか!
しかも、冴えない親父の哀愁もプラスされ、キアヌ越えと言っても過言ではない魅力的な主人公に仕上がっている。

退屈な毎日がただ繰り返されることを独自の演出で表現した序盤から、タガが外れる転機、最後のバトルまで、全てが最高。
ソウル弁護士の突然変異をぜひ見てほしい。


第9位 楽園の夜

海!ヤクザ!ソナチネ!北野武をリスペクトしたって・・・本家より面白い映画撮ってどうするんだよバカヤロー!

今年Netflixで配信された韓国映画『楽園の夜』も非常に面白かった。

監督は『The  Witch 魔女』、『新しき世界』で有名なパク・フンジョン。
北野武や日本のヤクザ映画を彷彿とさせるノワール映画で、強面のおじさんが多数登場し、日本人の心に刺さる内容となっている。

さらに、パク・フンジョンらしいスタイリッシュなアクションがあり、済州島の美しい景色があり、女性の生きづらさまで描ききる充実ぶり。

見終わると、水刺身とかいう謎の韓国料理のことで頭がいっぱいになります。


第8位 アナザーラウンド

酒は最高?酒は最悪?はっきりと言えることは、マッツ・ミケルセン最高!!

本家アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したデンマークの映画。
主演は俺たちのマッツ・ミケルセン。

彼が演じる高校教師は生意気な生徒に舐められ、家庭もじんわりと崩壊していく状況に陥り、心が壊れていってしまう。

それを見かねた親友が、このような提案をする。
「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事が効率化するらしいぞ」

こうして4人のおじさんたちがお仕事中にこっそりと飲酒をするようになるのだが・・・。

このあらすじとお酒に関するまともな知見があれば、この後どうなるかは想像がつきますよね。

本作の優れている点は、飲酒の良い側面を表現できていることだ。
おじさんたちがエドガー・ライト映画くらい楽しそうに酒を飲む。
酔っ払いたちによる競歩も開催される。
コロナ禍のご時世も相まって、自分も友達と酒を飲みたくてたまらなくなってしまった。

当然、悪い側面も生々しく描かれるわけだが。

じっくりとお酒について思いを巡らせた後には、マッツ・ミケルセンがある極上のパフォーマンスを披露し終幕する。
情けない男から絶好調な男まで演じ分け、あんなことまでできちゃうなんてあまりにも器用すぎるでしょ。
もし山崎賢人がいなくなったら漫画の実写映画化は全てマッツに託したい。


第7位 アンテベラム

BLMをこんな視点から描けるのか!南北戦争に遡る社会派スリラー!

『ゲットアウト』の衝撃から、黒人差別をテーマとした映画が多数製作され、元々の第一人者のスパイク・リーもさらに意欲的に活動する昨今の映画界であるが、正直なところマンネリを感じていた。
決してBLMを軽視しているわけではないが、本テーマを題材にした作品が乱立しすぎている感は否めない。(クイーン&スリム、ユダ&ブラックメサイア、ホワイトボイスなど)

そんな中、公開された『アンテベラム』は新鮮で、斬新なBLM映画に仕上がっている。

脚本には肝となる仕掛けが施されている。
だが、予告やあらすじを見ると感の良い人にはネタバレになる可能性が高いのでゼロベースで見ることをおすすめする。
私は良い観客なので、予告もあらすじも見た上で挑んだのに、見事にどんでん返しにひっくり返ってしまった(笑)

宣伝にも謳われていた文句であるが、まさにジョーダン・ピールとナイトシャマランが合同で作ったような映画だ。

『キャンディマン』で黒人の怨念を具現化して、『アンテベラム』は白人の怨念を具現化した。
メッセージ性と娯楽性の両立に成功している良作である。


第6位 空白

全員、厄介。

古田新太が演じる漁師のオヤジが時代錯誤の塊。
プライドの高い頑固オヤジで、とにかく大声と暴力を頼りに生きている。
嫁には逃げられ、娘と2人で暮らしていた。

そんな中、娘がスーパーで万引きし、店長の松坂桃李に捕まるも逃走。
車道に飛び出た娘はトラックに轢かれて死んでしまう。

古田新太は執拗に松坂桃李を責め立てるのだが、この弔いに終わりはあるのか・・・。

この映画に出てくる人物は皆厄介な人間だ。
しかも、身の回りに実際にいる人間だから面白い。

パワハラオヤジの古田新太、真剣に事件と向き合えず逃避するゆとり世代の松坂桃李、おせっかいボランティア強制おばさん寺島しのぶ、事実を曲げて報道するマスコミ、教育現場の闇、発達障害にうつ病、etc.

一つの交通事故を契機に日本の社会問題が暴発したような映画でありながら、希望も見せてくれて思わず涙する。

テーマと、舞台になった愛知県蒲郡市の相性が抜群に良い。
地理的に近いので聖地巡礼しようかと思ったくらいだが、スーパーだけ静岡県浜松市で断念した。
蒲郡にちょうどいいスーパーなかったんかい。


第5位 ドライブ・マイ・カー

困難な時代に刺さる!人が立ち直るためのヒーリング映画!

カンヌで脚本賞を受賞し、本家アカデミー賞でももしかしたらもしかするかも・・・と期待の高まる本作は、その評価に値する素晴らしい作品だった。

描かれる事象のひとつひとつが芯を食っており、上質。
性について踏み込んでいるのに全く下品じゃない。

西島秀俊が演じる舞台俳優がめちゃくちゃハマり役。
妻を失った悲しみを表立って感情に出さず、淡々と生きている姿に心打たれる。
寄り添う三浦透子も良い。

これまで村上春樹原作の映画化はなかなか上手くいかないという雰囲気があったが、濱口竜介監督の脅威的な創造力で最高の映画にしてしまった。

社会問題が山積する世の中、傷つくようなことがあれば、ありのままに受け入れて傷つけばいいと教えてくれた。
かいつまんで言えば、レリゴーってことです。
人生に躓いてしまった時はこの車に乗ってみては。


第4位 シン・エヴァンゲリオン劇場版

愛に目覚めた庵野秀明!次は俺たちも目覚める番だ!

まず最初に断っておくが、私は“にわか”エヴァファンだ。
新劇場版しか見ていないので、この映画の全てを理解したなどとは口が裂けても言えない。

それでも、間違いなく今年のベスト映画のひとつだと言える。

まず特筆していたのは、その映像美。
アニメ自体あまり見ないので、その界隈で人気のある『スパイダーバース』とかを見ても(ふ〜ん)という感想しかなかったダメ人間の私であっても、はっきりと分かる庵野秀明の創作物の凄み。
ついにはアニメですらなくなったし・・・。

何よりも良かったのは愛に満ちたテーマだ。
鬱アニメと言われるエヴァを、このように温かく終わらせた庵野秀明監督の人間性の変化を感じ、幸せな気持ちになれる。

エヴァをベスト3から外したのに生きてる・・・なぜ。


第3位 キングスマン ファースト・エージェント

エピソード0の域を超えてるじゃない!マシュー・ヴォーンの最高傑作!

2021年はコロナ禍で公開延期に追い込まれた映画が一気に公開された1年でもある。
個人的には公開延期が映画の面白さを損なう一つの要因になりうると感じている。

例えば『007 ノータイムトゥーダイ』、『ワイスピ ジェットブレイク』、『ブラックウィドウ』あたりは何回も劇場で予告を見せられ、映像やセリフを不必要に覚えすぎてしまったのだ。(何回「ライセンストゥキル」って聞いただろうか)
そうすると、本編を見ても「あー、ここが予告のシーンね」という余計な思考が働き、集中できないことが起こりうる。
また、「めちゃくちゃ待ったのに何も中身なかったな・・・。(ワイスピ)」という無駄にハードルが上がってしまう現象もあった。

この『キングスマン ファースト・エージェント』は、コロナだけでなく配給会社の買収等によって先に挙げた映画どころではない過酷な延期ラッシュを辿って公開された作品である。
当然、爆発する車の前で「行けー!」とやってるレイフ・ファインズのシーンは脳に刷り込まれているし、ハードルは棒高飛びくらい高くなってしまった。

それでも本作は公開延期を充電と捉えたかのような圧倒的な完成度でハードルを軽々と飛び越えてしまった。

マシュー・ヴォーン監督なので当然アクションが楽しい。
1・2よりも見せ方が上達していると感じる。
特に崖のシーンが最高で、手汗がビッチャビチャになった。

敵が強くて燃える。
テーブルを囲む闇の組織は、ハリー・ポッターのデスイーターかのような威厳を放っていた。
その中でもロシアのラスプーチンがMVP級の働き。
治療のシーンからダンスアクションまで何もかも良かった。

そして、脚本が素晴らしい。
マシュー・ヴォーンの欠点は作風が軽すぎることだと感じていたので、第1次世界大戦が時代背景にある本作の重厚感は良いメリハリを生み出し、最後まで退屈しなかった。
『1917』のような生生しい戦争映画よりも、反戦へのメッセージが入ってきやすかった。
これがアメコミ原作のメリットなんだろうな。


第2位 まともじゃないのは君も一緒

笑い方のキモい成田凌!派手さはなくても面白い映画は作れる!

顔はイケメンなのに恋愛経験のない塾講師を成田凌が演じ、その生徒を清原果耶が演じる。
そんな2人が“まともな”恋愛をしようと奮闘するコメディ映画である。

本作の優れている点は、単純にコメディとして笑えるということだ。
成田凌の言動全てが面白く、何よりも笑い方が気持ち悪いのが最高。
それにツッコむ清原果耶も可愛くて終始楽しい気分で見ることができる。

そして、その面白さとメッセージ性が両立していることが本当に素晴らしい。
世間でまともだと言われることが本当にまともなのか?と問いかけられ、心がざわついた。
まさか、このテイストの映画を見ていたら前科者の姿を描いた『すばらしき世界』と同じメッセージを突きつけられるとは・・・。

年の瀬の貴重な時間を潰してこの記事を書いてる自分も、読んでいるあなたもまともじゃないです。
まともじゃないから、尊いんです。


第1位 花束みたいな恋をした

これが、俺たちのアナザーストーリーだ!!!

主演、菅田将暉!有村架純!と来ればターゲット層は自分じゃないかなと通常思うところだが、『罪の声』の土井裕泰監督とドラマ『カルテット』の坂元裕二脚本だったので気になってしまい、まんまと見に行ってしまったのである。
そして、まんまと心を揺さぶられ、涙を枯らしてしまったのである。

これは、自分のことを描いた映画だ。
そう錯覚するよう『ストレンジャーシングス』や『ブレスオブワイルド』といった固有名詞を見せてくるのがズルい。
彼らの年齢と自分の年齢が1歳差であったため、学生の時、就職活動の時、同棲をする時に見てきたものが同じで、私の心にクリティカルヒット不可避なのである。

まるで学生時代に付き合っていた女性とそのまま人生が続いていたら・・・という自分を見せられている気分にさせられて、心がぐっちゃぐちゃになった。

『罪の声』で緻密なミステリーを描いた土井裕泰監督がこのような恋愛映画を撮ったことに非常に驚いた。
世代が違うにも関わらず、監督のエゴや偏見は感じられない。

自分たちの青春を愛を込めて完全再現してくれたことがとても嬉しかったのと、何も知らずに映画館に見にきた若者カップルがあまりにも現実味のある恋愛を見せつけられてドン引きしてる様が最高だったので、2021年のベスト1映画としました。
広告の打ち出し方とか、悪意あったよね。


終わりに

以上、オカデミー賞2021でした。
いかがでしたでしょうか。

私の印象としては、邦画が面白かったなあという1年でした。
本家アカデミー賞での『ドライブ・マイ・カー』の躍進が非常に楽しみですね。

こちらで紹介した映画をぜひ多くの人に見てもらえたら嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、この辺で・・・。

Life is beautiful.



1位 花束みたいな恋をした
2位 まともじゃないのは君も一緒
3位 キングスマン ファーストエージェント
4位 シン・エヴァンゲリオン劇場版
5位 ドライブ・マイ・カー
6位 空白
7位 アンテベラム
8位 アナザーラウンド
9位 楽園の夜
10位 Mr.ノーバディ

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