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落武者猿、井の底
男あり。
その男、スマートフォンを片手に数字の羅列をじっと眺める。
画面を閉じては、また画面を開き
数字の羅列を眺める。
この一連の行動を繰り返す。
繰り返す度、
白い直方体から酸素を吸い取る。
次第に男の顔色は赤から紫へ。
プールではしゃすぎたように。
水が渦を巻く。男は身を流れに任せる。
いや、必然に無抵抗。
「ぶちゃっ」
頭を打った。馬糞を床に投げた音。
魂が丸太を持って骨の城門を破壊する。
低体温症候群な男。過冷却状態。
つらつらピキピキと体が凍りつく。
「フラッシュバック」
記憶が戻る。
過去にドリフトしながら、栄光と愉悦を浴びて野良猫のように微笑する。
何度も陥るこの感触。
生ぬるい半身浴に浸かる心地よさが好きだ。
「自己愛自画自賛自意識過剰」
「やっぱり君は最高だよ」
男は一言残し浅い眠りにつく。
こんな男、書いていて気色が悪い。
11回目のスヌーズでようやく起床。
外はおしゃれを済ませた俗世人が縦横無尽。
腹が痛い。トイレに行く。
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