烈燥、迷える怪獣、
男あり。
凡庸とも平凡とも捉え難い生活を送っている。
夕方16時に起床、1時間ほど堕落する。
思い出したかのように飯を口に運び可及的速やかに幸せを享受する。
その後、自身の絶対領域に身を潜め朝日が昇るのを待ち、そのまま眠りにつく。
これと言って突出した特徴もない彼だが、寡黙な野心家である。
『地に足をつけた人間の生活を送りながら、浮き足を地につけた非人間の生活を送りたい』
これが彼の果たすべき野望であり、根幹をなしている。
しかし、下界に姿を現すわけではない。
仮想敵に対して日夜
「正常こそ、常識こそ、狂気である」
「憧れで始めて狂気で続けろ」と説いている。
非常に吐き気を催す男である。
そんなある日、下界を覗くと蝶々が飛んでいた。
淡い青を身に纏い、周りを黒く縁取られている。
この世に混在している思慮から一線を画す美しさである。
「On your mark. Set.」
号砲。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
「腿上げトレーニングするんだった」
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
「陸上部の存在意義が分かった気がする」
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
「俺は第一宇宙速度だ」
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
「ウェイト、ウェイト、ウェイト」
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
走る。走る。走る。走る。走る。走る。
体が浮く。
地面が迫る。
鈍い音。
赤い液体。
紫色の肺。
「蝶々が、蝶々がいない」
名前のない日の月を見た。
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