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事実は深海の奥

決まっていた憂鬱な日に起きる。
悲しいマイナーコードから聴こえている
女の人の手は震えていた。
駅の前で歌う手の震えた少女私は傍観者
何時だってそうだった。
彼女の歌う声は凛として速やかに
透き通る声を駅全体を支配していた。
手とは逆に凛とした姿に私以外の誰か達は
支配されている歌声に耳から浸透して
心が震える髪の動きが見える。
暗がりの駅歌う彼女だけがスポットライトを
浴びている様なそんな風に見えた。
横に映る自動販売機が悲しみを抱え踊っている。
家に帰る途中暗闇を抱えた私はその彼女を見て
また憂鬱な気分になる。
透き通る声を背にして又いつもの日常に戻る。
景色の悪いボロアパートが見える。
そうこれが私の我が家24歳にもなって
こんなボロアパートに住んでいるなんて
ちっさい時は思わなかった。
軋む階段を上がり滲んだドアの部を開ける。
ドアの向こう側はいつもと変わらない音がする。
白い息をしまい込み座りなれたこたつに入る。
「あー、私はこの為に生きてる」
こたつの為生きて死んでいく未来は
私の中にはあるのを知っている。
何も好きな事をせず無我夢中に目の前の
答えをただ追っていくのにはもう
充分な程慣れた。
あの震えていた記憶が今もまだ蘇る。
毎日暗い中母親の呼吸すら被害に感じる。
一ヶ月外に出ないのは当たり前
あの頃記憶が未だに私の頭の奥底に
侵入してくる。
私はあの時期の文字を残している。

「大切な人が居なくなる未来
にはもう行きたくない世界
ここが地獄だったとしたら
早く手に入れたい死体
誰かの為に次に進む時代
何もかも全ては自分次第
絶対に居なくなる人と朝まで踊り
何日も子守唄を聴かせて貰い
一生母親の腕の中に居たい

何度破っても隠せない過去
偽り通した冷たい加工
全て嘘でも続いてく日々
何をしてても許せない痛み
後は誰かに任せて放ったらかしの悲しみ
誰に祈り誰を愛し無駄な事は
捨ては貰い捨ては貰い繰り返して逝く
全ては同じ籠の中
皆一緒の動物
寂し過労と付き合い
胸に決意と表明
癒しい名前を叫ぶ

あの日見た夢嘘にはさせない
新しい背に深く生きる夢
何もしてても時間は過ぎてく
誰に従い嘘を知る希望

あの日見た夢嘘にはさせない
新しい背に深く生きる夢
何もしてても時間は過ぎてく
誰に従い嘘を知る希望
無駄に消えてく理想と現実」

「水の音広がる僅かに
いつ救われるのこの長い間
待つのは止めようと
決めたばかりなのに
足が一つも動かない
明かりで輝く親指見て
何処か行ってしまいそうな
嘘の笑顔に笑いたい過去も
一粒一粒動く指先に力が入り
動かなくなる
もういいやと諦めた先に見える
幸福に舌唇を噛む
残酷な風に誘われた夜
山は動き遠くへ行くから」

あの頃の記憶がまだ私を許さない
震えていた手で文字を打った。
毎日の出来事が嘘の様に過ぎて消え去った。
走っていなのに心臓が急に激しく動き出した時
私は本当にこのまま消えてしまうじゃないかと。
部屋は暗闇の中流した涙は足について来る位に。









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