「他者と働く」から考える 異動社員との「わかりあえなさ」
他者と働く難しさを最近、感じるようになりました。
以前までは技術の観点で議論していれば、問題は起きませんでした。
データから仮説を立てて、テスト実験を実施をして、またそのデータを見て考える。
その結果があれば、更なる検討やスケールアップを指示すれば、人が動いてくれていました。
しかし役職としてリーダー業務を行うようになり、様子が変わってきました。
なかなか人に動いてもらえない、あるいはこれでは私が動くわけにはいかないという経験が増えてきたのです。
異動社員との分かり合えなさ
例を挙げます。
私の所属する部署に、最近、異動してきた中堅社員がいます。
彼は役職的には私より上の立場であり、部の戦略として、人材交流を活発にするために行われた人事でした。
元々私の所属する会社は人事異動が少なく、部署ごとに業務が属人化する問題がありました。
また、他部署で成功した事例が横展開されていないという問題もありました。
これらを解決するために、人事異動が行われたのです。
最近、この社員とミーティングを行うのですが、考え方の違いなのか、価値観の違いなのか、とにかく溝があることを感じてしまいます。
彼は結果を重視していますが、私はプロセスを重視しています。
あるいは、彼は営業を重視していますが、私は受注した案件の課題解決を重視しています。
お互いの依拠している考えが異なるため、意見が全然合わないんです。
結局、何をするか合意できず、各々が考えるように実施するという結論になっています。
このような事態を回避するにはどのようにすれば良いのでしょうか。
「他者と働く」から「わかりあえなさ」を理解する
「わかりあえない」人と働く際に、「他者と働く」は非常に参考になる本です。
「他者と働く」によると、わかり合えない人と協働するためには、4つのステップが必要です。
溝に気づく
溝の向こうを眺める
溝を渡り、橋を設計する
溝に橋をかける
溝に気づく
私と彼には仕事で重視する考え方に違いがあります。
この溝に気づくことが1つ目の段階です。
溝が存在するままでは、業務を推進することができません。
業務を前進させるために、溝に橋をかける必要があると決意を固める段階です。
私の場合、もちろん今まで通りの仕事のやり方が楽ではあるんです。
しかし現状のやり方で問題が生じているのも事実であり、他部署の方法も取り入れたい。
面倒ではあるけれど、橋をかけて彼との溝を越える必要があると決意しました。
溝の向こうを眺める
相手の言動を観察し、どのような行動原理があるのか推定します。
この行動原理を、「他者と働く」ではナラティブと表現しています。
ナラティブとは「物語」、あるいは「語り」を意味しています。
相手側から見た物語、あるいは思考の枠組みを理解することが重要だと言えるでしょう。
私の状況に置き換えて考えてみます。
「リーダーであれば結果にこだわることが重要だ」
「上位者になることは、現場から離れて案件をとってくることが仕事だ」
という発言を彼はよくしています。
彼の持っているリーダー観があるのです。
この思考の枠組みに立って考えると、彼の行動様式が段々と理解できるようになった気がします。
溝を渡り、橋を設計する
相手のナラティブを通すと、私がどのように見えているかを考える工程です。
私の場合、彼から私は「リーダーなのに現場にとらわれている」と見えているのでしょう。
実際、もっとリーダーにふさわしい仕事をするようにと提案をしてきます。
リーダー業務を実現しつつ現場の改善も行う、そのような業務を設計する必要があります。
私はまだ実現できていません。
溝に橋をかける
設計した計画を実行するフェーズです。
橋は1度かけたら終わりではなく、相手や自分の立場から、逆側を何度も眺めてみることが重要です。
私の状況では、リーダーと現場の両者から相手側を眺めて、橋がかかっている状態にあるかモニタリングし続けるということです。
私自身はまだ、「他者と働く」ための準備段階と言えます。
両者が橋を行き交うことで、協働してプロジェクトを進めることができるのです。
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