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沢マンギャラリーの思い出 東京憧れ編

「高知アートシーン。東京を憧れるけど、何に憧れているのかわからない…」の巻

新宿眼科画廊新聞に2017年3月から
2年ぐらい連載した文章です。(ちょい変更しています)

新宿眼科画廊新聞を読まれている方は東京人のはず。皆さん東京の人々は地方って感覚無いですよね。高知の人たちから言わせたら「東京は地方モンの集まりじゃ」と僻みますが、やはり東京は憧れの地であります。

高知の作家たちもいつかは東京で個展をしたい(ほとんどの高知在住作家は東京のギャラリーを知りません)とぼやきますが。なかなか勇気とお金がついてこないのが現実。そんな高知県ですから、東京でご活躍した作家がUターンなどした場合は地元のヒーローです。そんな以前は東京活躍の高知限定ヒーローたちの特徴として田舎の自主運営ギャラリーなんてダサいと批判をするんですよね。
今に見ておれこんちきしょう!とプンプン腹を立てていましたが、そんなヒーローたちも経済力の乏しい高知県では時間とともに衰弱していくさまを見ると少し可愛そうになってきます。いろいろと諸事情があり地元に返ってくるのでしょうが、東京で勝負するってのは大変なんでしょう。

高知で活動していると、東京のアート関係者に「どうして高知で活動しているのですか?」なんて質問をされます。自分自身の理由としては住んでいるから、高知が好きだから、引越すお金がないからなどですが、こんな答えでは、どうも説得力が乏しく、もっと崇高な考えが必要なのでしょうね。

東京で勝負しなければ、アートは負け組なのでしょう。

若い友人でやる気のある人達は、有名作家のアシスタントや瀬戸内芸術祭のお仕事で、アートを勉強しようと出稼ぎに行きますが、現状は過酷なアートブラック企業であり、ズタボロで帰ってきます。
アートって理想的なことを掲げているにも関わらず労働環境は「おい地獄さ行ぐんだで!」のアート蟹工船です。若者の労働が搾取されている!
田舎者は騙されやすいのです。

そういえば、沢マンギャラリーで奈良美智さんの展覧会を開催した時に高知県の美術愛好家たちが奈良美智さんを知らず、スマホで画像を見せまくり、耳にタコができるほど「あ〜見たことあるある」と皆さんからお聞きました。知らなくても恥じることはありません。そんなものです。
余談ですが、高知美術館ホールに奈良美智さんの講演会依頼を申し込みした際に担当者(臨時職員だと思いたい)が講演会の内容を教えてくれと言われ「奈良美智トークショーです」と自信満々に言い放つと「どのようは方でしょうか?」と質問されたので、今すぐ名前をググってと言いました。

それよりイオンモールで開催するラッセンイルカが人気なんですよ…

奈良美智展終了後おこなわれた助成金報告会である理事から「作品を拝見させていただきました。作品はダンボールに書かれていましたね。安っぽく見えますが、価値あるものとして見せる努力はいたしましたか」と突っ込まれ愕然としたものです。
たまに、東京の有名作家(勉強不足で申し訳ないですが、わたくし存じ上げない人)の企画展などを見に行くと「東京ですごい売れています」の宣伝文句でドン引きです。

話がそれまくりましたが、高知の方々、東京って名前だけに憧れているミーハーたちです。地元の作家も面白い人いますよ〜!


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