【インドネシア】サイレンの音と英雄の歌と
2023年春。
家族でインドネシアに赴任しました。
初めての海外生活も2年目に入りました。
79年前の今日、8月6日は世界で初めて日本・広島に原子爆弾が落とされた日です。私の生まれ育った街広島では、毎年この日に爆心地周辺で平和記念式典が開催され、8時15分に平和の鐘と共に黙祷を捧げるのです。
私は今朝もインドネシアの自宅のテレビで、NHKとNHKworldの両チャンネルをスイッチングしながら、国内向けと海外向けの式典の様子を見て広島に想いを馳せました。
今日は第二次世界大戦終戦のこの時期に街に聞こえる音の話。
耳に残るのはサイレンの音
毎年、平和の鐘とともに黙祷を捧げると書きましたが、実際私の耳に平和の鐘の音より残るのはサイレンの音です。
甲子園の試合が始まる時に流れるサイレンの音。といえば、広島に縁がない人もイメージが湧くでしょうか。
8月6日8時15分、毎年この時間に広島の街にはサイレンの音が響き渡ります。そして、その音と共に原爆のような核兵器の使用を繰り返さない世界、平和な世界をつくる事を願います。
サイレンの音は私にとって祈りの音であると同時に、悲しみの音にも聴こえるのです。
インドネシアで響く英雄の歌
ちょうどこの頃、インドネシアの街には赤白の旗が立ち並び、英雄の歌が流れ出します。インドネシアは2週間後の8月17日、79回目の独立記念日を迎えます。その記念すべき日に向けて着々と街の雰囲気が変わっていくのです。
インドネシアは第二次世界大戦終盤、日本の統治下にあったそうです。そして日本の降伏の翌々日に独立宣言を出しました。
その後再びオランダ軍などが上陸し、実質的な独立までにはもう少し時間がかかったようですが、毎年この日はインドネシアにとってとても大切な祝日なのだそうです。
この時期によく聞く音楽はいくつかあるのだけど、どの曲もなんだか誇らしげで、人々の明るい笑顔が浮かぶようです。
鎮痛な面持ちで聴くサイレンの音とはなんとも対照的。
一つの出来事にある複数の側面
1945年8月、日本の降伏により第二次世界大戦が終わったと伝えられています。
この世界的な一つの事実は、見る国が違えば全く違う事実を持っている事に、私はインドネシアで暮らして改めて気づきました。
過去の出来事に個人的な良し悪しの判断をするつもりは全くありませんが、悲しみと喜びはどちらか一方だけではなく、どんな出来事でも表裏一体なのかもしれない。
ただ、そんな歴史的事実の上に今があることを考えると、私たちが日本人としてインドネシアで安全に暮らさせてもらっていることそのものが有難いなぁと思います。
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この時期に街に聞こえる音に耳を傾けてみたら、日本とインドネシアの歴史がつながった話でした。
追伸〕歴史的事実に関しては、私の理解できている範囲のものです。認識不足などありましたらご容赦くださいね。