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⑬売上のためにその1

 とはいえ貯金を減らさず生活できるレベルまで売上をのばすことは緊急にして最大の課題でした。行商生活は春は良かったですが梅雨に入ると突然の大雨も多く公園のあずまやで池にぼとぼと落ち続ける雨を上から降っているのに下から湧き出てくるみたいに見える瞬間までじっと見ていました。夏になるとさらに過酷で気温30℃くらいならまだしも35℃超えて屋外で自転車でお菓子を売るのは異常な行動だし、だれも買わないと思いほどんど行かなくなりました。わたしは異常なことがしたいわけではないのです。行商中はゆるくみられそうな行為との間にバランスを取りたかったので、きちんと白いシャツにアイロンをかけて着ていました。秩序を保って動き続ける社会の時間の中で大きく分けたら自分は不審者だろうと分かっていました。伸ばすべきメインの事業は通販です。オカメサブレをみんなが知ってるお菓子にするには全国にオカメサブレを飛ばす必要があるからです。google広告を使ってみたこともありますがネット広告はお金をかけないとそこまで効果がないということが分かりました。SEO対策(一時期営業の電話をたくさんいただきましたが最近ぜんぜん来ません)の本を読んでなんか結局地道にやるしかなさそうだなと思ったりもしました。営業って、もしかしたら広くやるものじゃないのかもと思いました。業種が小売ですし小規模ですからお客さまのことはひとりひとり分かります。ネット注文を頂いて送って終わりではさみしいけど、それが普通なのかなと思っていたのをなくして、こんなに丁寧にやり取りして良いのかなって思うくらいメールとかDMとかLINEとか使ってやり取りしました。不必要にこびてるとかではなく大事に作ったものだから本当にそうしたかったです。もとから私は人に親切にしたい性質で好意を素直に表現するタイプですからなんのずれもありませんでした。何時に届くと楽に受け取れるんだろうとか気になれば聞いてみたり、大勢に配るためなのかなと思ったらショップカードとか袋とか多めに入れますか?と聞いてみたりとか、かならずお礼を一言書いたりとか、ためらわずにやることにしました。私がやりたいと思うならそうして良いのです。面白おかしい話で笑いをとることはできないし私自身が「あーおもしろかった」みたいなことよりは、笑わせようとか別にないけど本心なんだなということのほうがずっと好きだからオカメサブレもそれでいこうと思いました。オカメサブレのオンラインストアはリピーターさんの購入率が高くなり、じょじょに売上も増えていきました。


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