映画のトリセツ:後篇「way-homerって何?」『RAISING ARIZONA(赤ちゃん泥棒)』徹底解剖3
さて、「トリセツ」と言いながらズルズルともう第3話になっちゃったんで、今回で「グレンとドット夫妻による訪問シーン」解説をひとまず終わらせよう…
前回を未読の人はコチラをどうぞ!
これが問題のシーンや。
前回解説した通り、グレンのジョークでハイは不機嫌になった…
「ローマ法王(ヨハネ・パウロ2世)ジョーク」や「電球とポーランド人ジョーク」が、自分たち夫婦に向けられていると感じたからだ…
劇中では明らかにされないけど、エドの旧姓はポーランド系の苗字なんだよね。
ハイは自分の奥さんを馬鹿にされたと感じたんだ。
それだけじゃない…
ハイは自分のこともバカにされたと感じたんだよ…
なんでやねん?
ハイはポーランド系とちゃうやろ。苗字は「McDUNNOGH(マクダノー)」やで。
今はね…
でも生まれた時は違う名前だったんだ…
ハァ!?
ハイの実の親は様々な理由で子供を育てることが出来なかった…
未婚だったのかもしれないし、経済的に困窮していたのかもしれない…
だから幼い我が子をマクダノー夫妻に3万ドルで売ったんだ…
おそらくそれは1954年のこと…
3万ドル…1954年…
そ、それってまさか…
その「まさか」だ…
ハイの本当の父親は、謎のハーレーの男、レオナルド・スモールズなんだよ…
ま、ま、マジですか!?
いつも腰に「赤ちゃん用の靴」をぶら下げているんだけど、あれはハイの靴だろうね…
そしてスモールズもまたポーランド移民だった…
だから彼は、ハイとエドの家で壁に書かれた「FART」の文字を見て不思議に思ったんだ…
「FART」はポーランド語で「幸運」という意味だからね…
スモールズはしゃがみ込んで「FART」を見つめ、暫く考えこむ…
そしていきなり足元に落ちてた布切れをめくって「新聞の切り抜き」を見つけるんだ…
おそらくこんな心境だったに違いない…
「FART?確かポーランド語では《幸運》だったな…。俺にもツキがあるってことか!」
ああ、言われてみれば確かにそうだ…
ずっと「FART」を見つめるのも不自然だし、一発で「切り抜き」を発見するのも不自然だ…
ハイとスモールズの関係は、またの機会に詳しく解説するとしよう…
この二人の行動やセリフって、日本語字幕だとわからないけど、実はすべてシンクロしているんだよね…
とにかく「彼らが実の親子である」こと、そして「ポーランド系である」ことを、今は頭に入れておいて欲しい…
あと、ハイが「自分はアイルランド・スコットランド系ではない」ということを知っていて、なおかつ「それをエドに隠している」こともね…
そ、そうなの!?
なんだか一気に複雑なハナシになってきたな…
何と言ってもコーエン兄弟にとって初のメジャー作品だからね…
相当な意気込みでシナリオを練り上げたと思うよ…
彼らが心酔する脚本家プレストン・スタージェスの作品に負けないくらいの傑作を作ってやろうと考えてたはずだ…
さて、グレンとハイによる会話の続きを解説しよう…
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