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「失楽園」『RAISING ARIZONA(赤ちゃん泥棒)』徹底解剖8

さて、引き続き映画冒頭シーンを解説していこう。

前回ハイは、ついにエドへ愛の告白をした…

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そしてハイは約1年の刑期を終え、プロポーズするためにエドのところへ向かう。

今回は犯罪者としてではなく、ひとりの男として…

エド「右向け右!」

ハイ「今日は自分の足でここまで来たんだ、エド…。何にも束縛されない自由な人間として、君にプロポーズするために…」

ハイの語り:そして、そうなった…

即結婚式(笑)

しかも臨時特設会場やったな。

新婦側の参列者は全員警察官で、新郎側は全員アロハシャツ姿のボンクラDUDEたちや(笑)

あれ?

なんで正面に「硫黄島の星条旗」の写真が飾られているんだろう?

「V.F.W.」って何?

「V.F.W.」とは「外国での戦争に従事した退役軍人の会」のことだね。

退役軍人や遺族のサポート活動を行う傍ら、「世界にアメリカ型民主主義を広める」という大義を掲げ愛国教育活動も行っている。

結婚式の臨時会場になったこのホールは、この団体の寄付金によって作られたんだろう。警察や刑務所には退役軍人が多く働いているだろうしね。

でもあそこまで「硫黄島の星条旗」をアピールせんでもええやろ。

「旗」に気付いて欲しいからじゃないかな?

この会場の両サイドにも国旗と州旗が飾られている。ポールの上に天使ケルビムが付いてる旗がね…

ホントだ!刑務所の審議室と一緒!

そしてもうひとつの理由…

あの超有名な写真『RAISING THE FLAG ON IWO JIMA』を撮った人物を想起させるという理由もあるだろうね…

あの写真を撮った人物!?

のちにアメリカの「正義の戦い」のシンボルにもなった「RAISING THE FLAG」を撮った従軍カメラマンの名は、ジョー・ローゼンタール(Joe Rosenthal)…

『父親たちの星条旗』にも登場した、あの眼鏡とヒゲのカメラマンだ…

「ローゼンタール」っちゅうたらドイツ系の苗字やな。

そうだね。

彼の両親は東欧からアメリカへ移民したユダヤ人だった。

19世紀にプロイセンは東部(現在のポーランドやリトアニア)に多く住んでいたユダヤ人をドイツ風の苗字に改めさせる政策をとった。「ローゼンタール」は人気のあるドイツ語だったんで、多くのユダヤ人が名乗ることになったんだよね。

ちなみにジョーの少年時代にローゼンタール家はカトリックへ改宗している。

またドイツ・ポーランド系か。

この映画のキーワードだからね。

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