コーエン兄弟・徹底解剖その6『バートン・フィンク』③「"CHET!"って何?」
さて、いよいよロサンゼルスでの物語を解説するよ。
前回のニューヨーク編はコチラ~!
しかし『バートン・フィンク』の解説記事で、ここまでニューヨークのシーンに重きを置いて解説しとるのは見たことないで。
だってNYのシーンは、この映画の肝だからね。
メインのLAでの物語を読み解く上でのヒントが全て用意されているんだ。
NYシーンを正しく理解すれば、LAでの物語がバートン・フィンクの「妄想」だということがよくわかる。
ホントにそうなのかなあ…
さて、LAシーンは「ビーチの岩&激しい波」の映像から始まる。
もう説明はいらないね…
「岩」は「ローマで宣教してた使徒ペトロ」のことなんだよね…
激しく波に晒されとることに意味がありそうやな…
ローマにおいて「少数派の異教徒」だったキリスト教徒は厳しい弾圧を受けたからね。
それに負けてペトロは逃亡しようとした。
そしてロサンゼルスにおけるバートン・フィンクも同様に「少数派の異教徒」だ。彼は「ニューヨークのユダヤ人」だからね。
そしてハリウッドへの恐怖もある。
当時ブロードウェイでヒットした作品がハリウッドで次々と映画化されていたんだけど、それはどれも「骨抜き」状態にされたものだった。タイトルやあらすじなど上辺だけ同じで、中身は全くの別物なんてことは当たり前だったんだ。
そんな不安な心理状態が、あの「激しい波に晒される岩」を生みだしたんだよね。
なるほど…
「ユダヤ人としての不安」と「作家としての不安」が、あの描写になったわけか…
バートン・フィンクの不安は、ホテルの最初のシーンにも表れている。
これを見て。
これのどこが「不安」なのさ?
ホテルの入口の「ガラスの数」を数えてみて。
ガラス?
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12…
<続きはコチラ!>
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