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潮風と退廃の街で

僕が洋服に興味を持ち始めたのは中学2年の時だ。

ある日の学校帰り、同級生のFが「街の方の服屋へ買い物に行くから、お前も来ないか」と持ちかけてきた。Fが最近着ているダークグリーンのハーフコートも、そういえば最近そのお店で買ったのだ、と言っていたのを思い出した。
僕は「家に帰るよりは友達と遊んでいた方が楽しいから」という理由で、「行こうか」と答えた。

Fは、一度も同じクラスになったことがなかったのだが、なんだか色々あって(この話はまた別の機会にしようと思う)それなりに仲良くなった。

僕が学生時代を過ごした釧路町には服屋がほとんどなく、あったとしても「しまむら」とか「マックハウス」とかだけだった。当時はまだユニクロもなく、選択肢自体がなかったので、何も知らなかった。
だから、なんとなくFについていけば面白いことがあるかもしれないな、と思いながらついていった。

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