コスメ道中膝栗毛

美味しいお菓子がいいな。
 
 友人に「誕生日プレゼント何が欲しい?」と聞かれたとき、わたしは確か、そんな風に答えた。彼女の選んだものなら何だってきっと素敵に違いない。高校の時からこの子はすごくセンスが良くて、変な物は持たないし渡さない子だった。律儀に尋ねてくれるあたり性格が出るなあ、と思いながら「もらえるなら何でもいいよ」と付け加えた。美味しいものは欲しいけど、高いものを強請っていると思われたくなかった。
 どこのお菓子をくれるのかな。きっとセンスの良いものだ。わくわくしながら迎えた誕生日、渡されたのは口紅だった。

食い物じゃなかった

 「それ、味とか香りがすごく良いの。見た目もだけど、発色もお姉さんって感じでかわいいよ。これから仕事の集まりとか増えてくるだろうけど、そういうきちんとした場所でもつけて行けると思う」
 すごくそれっぽい言葉と共に、ちいさな紙袋を渡された。言われるがままに包みを開けて、くるくる回して色を見る。高級なぶどうアイスみたいな色をした口紅からは、ふんわり甘い花の香りがした。「ね、いい香りだよね」笑う友人の顔が知らない人みたいで、わたしはなぜだか、取り残されたような心細い気持ちになった。

 友人がくれたものは廃盤になってしまったけど、メーカーはここだ。

https://www.elegance-cosmetics.com/cruise/

 エレガンスクルーズの、ステインルージュ。型番はN07。
 大理石と銀を組み合わせたような大人っぽいケースの中に、友人曰く「大人ピンクでいい発色」の口紅が収まっていた。わたしの感覚からすると、これはとてつもなくお洒落な物品だった。友人のセンスの良さは知っていたけど、誕生日にこんなハイセンスをぶつけられて、わたしは非常に戸惑った。今までお菓子や紅茶だったのに、どうして急にこのような。
 だけど戸惑う反面、納得していた。端的に言えば「そういう年」になったのだ。仕事で人前に出る機会が増えてきた。社会の一部として浮かないような顔を作る必要があった。紅茶やお菓子よりも、わたし達は口紅を必要とする年になってきた。友人はわたしよりも一足先に、そういう知識を持っていた。


 わたしにはセンスが無い。おしゃれがよくわからない。だから化粧品を贈る発想は、全くもって生まれなかった。デパコスを極めた人間は他人に似合う色もわかるんだな、流石だな、とひたすら感心しながら友人に尋ねた。「そっちの誕生日は何が欲しい?」と。センスの溢れる友人と同じ土俵には立てないけど、食べ物とか雑貨だったらいくらでも思いつく。今回もらったハイセンスを今度はわたしの得意分野で返していこう、そう思っていたところ、友人は笑ってこう言った。

 「んー、化粧品がいいな!」 

 この瞬間から今に至るまで、わたしは「おしゃれ」について悩み続けている。


いざデパコス

 ポンと渡されると感覚が麻痺してしまうけど、色のついた化粧品はとても難易度が高い。パーソナルカラーが跋扈するこの時代において、下手なものを贈ろうものなら速攻ポーチの肥料になってしまう。どうせ贈るなら使ってほしい。でも何から手をつけたらいいか全くもってわからない。悩んだ挙句、プロに助言を貰うことにした。

 百貨店の化粧品売り場なんて、人生におけるオプションステージだと思っていた。まさかここに来て必修科目になるとは思わなかった。店員さんがビューティーアドバイザーって名前の時点でもう怖いな、と思いながら百貨店に突入して、うろ覚えの知識でMACに入った。

https://www.maccosmetics.jp

 ここを選んだ理由は二つある。
 ひとつめの理由は、「ここの口紅はいい匂い」「唇の皮がベロベロにならない」という口コミ を思い出したこと。多分Twitterのフォロワーが話していた気がする。口紅に匂いの違いがあることすら知らなかったわたしにとって、この情報は本当にありがたかった。その節はありがとうフォロワー。やってて良かったTwitter。
 ふたつめの理由は、店員さん(ビューティーアドバイザー)が話しかけやすそうな人だったこと。顔だけ見ればフルのメイクでちょっと怖いんだけど、雰囲気がとても柔らかい人だった。なんとなく、この人なら話しかけても大丈夫だと思えた。
 
 店員さんは、わたしの頼りない呼びかけに即座に反応して「何かお探しですか」と声をかけてくれた。「贈り物を探してるんですけど、色々持ってる子なので何を渡していいのかよくわからなくて」と素直に尋ねると、店員さんは「コスメ好きな方だったら珍しいものはどうですか」と、当時発売したばかりのリップグロスを勧めてくれた。

https://www.maccosmetics.jp/product/13853/49368/makeup/hint-of-colour-lip-oil#/shade/ペール_プリンセス

 「これ、色がついてないみたいですけど、唇に乗せるとだんだん色変わるんです。持っているものの上に重ねてもいいですし、使いやすいと思いますよ。色んなものを持ってる方だったら、これあんまり見た目他と被らないんで、ポーチに入れてても目立ってかわいいです」
 つけてみますか、と誘われるがまま小さな椅子に乗せられて、ついでに自前の化粧も直してもらった。チークブラシがもふもふして気持ちよかったのをよく覚えている。唇に乗せてもらったリップグロスは思った以上につけ心地が良くて、自分の分も買うことを決めた。
 顔を好きにいじってもらう中「これ似合うと思いますよ」と塗られたアイシャドウは華やかなピンク色で、こんな眩しい色はさすがに無理じゃないかな……と思った直後に鏡を見せられて、気付いたら「買います」と言っていた。

https://www.maccosmetics.jp/product/13840/35752/makeup/dazzleshadow#!/shade/ラスト_ダンス

 目で見た色と、肌に乗せた色は違う。プロってすごい。わたしは心からそう思った。
 最終的に、自分用のリップグロスと華やかピンクのアイシャドウ、そして友人に贈るリップグロスを購入した。調子に乗ってメンバーズカードも作った。顔に鮮やかな色を乗せるとテンションが上がって、遠くに出かけたい気持ちになった。

 迎えた友人の誕生日、「今年はコスメだよ」と言った瞬間に面白い顔をされた。嬉しそうな、心配そうな、なんとも言えない表情だった。友人がわたしの選んだ化粧品に不信感を抱いているのは目に見えて明らかだった。確かな(センスが無いことへの)信頼を感じながらリップグロスを渡すと、友人は「珍しい、おしゃれじゃん」と嬉しそうに笑ってくれた。

「ここのリップ好きなの。これ見たことないけど新商品? かわいいね、選ぶの頑張ったでしょ? うれしいな」

 喋りながら包みを開けて唇に乗せ始める友人はすごく楽しそうで、キラキラしていて、すごく可愛かった。高校の時となんにも変わらない無邪気な笑顔だった。思えば、こうして新鮮に驚いたり喜んだりすることは、大人になってから少なくなったような気がする。仕事の愚痴も恋の話もたくさんしてきたけど、かわいいものをかわいいと言って騒ぐことは、すごく久しぶりだった。
 友人はプレゼントをとても喜んでくれた。品物が好みだった以上に、わたしが苦手な分野で健闘したことが嬉しいようだった。店員さんに聞いた使い方をそのまま伝えながら、こんな顔が見られるなら来年も頑張ってみようかな、とコスメ道を歩き続けることに決めた。
 


探り探りハイブランド

 次の年、友人はまたも化粧品をくれた。

 https://www.cosmedecorte.com/product/pointmakeup/JEEB

 コスメデコルテのアイグロウジェム、PK883。
 わたしは当然知らないブランドだったけど、友人は「評判がすごく良いんだよね、テクスチャも発色も。私も何個か持ってる。永遠に無くならないから仕事にも遊びにも使えるよ」と世間の評価を交えて使用感を教えてくれた。基本的に正直者の友人だけどさすがに「永遠に無くならない」は盛ってるな、と思った。全く盛らない話だったと気づくのは一年後の話である。(毎日使っても半分にすら届かない)

 「無難なブラウンと迷ったけど絶対似合うと思ったからくすみピンクにしたんだ」と笑う友人は、わたしよりもわたしのことを知っているように思えた。自分だったらこんなかわいい色は絶対に選べない。ピンクは目が腫れぼったく見えると聞いてから、人に選んでもらわないと勇気が出なくて買えない色だ。
 ブラウン一辺倒の目元に新しい風が吹きつけた。家に帰っておそるおそる肌に乗せてみると、自分でもびっくりするほどに顔が明るく、華やかに見えた。写真を撮って友人にLINEすると「やっぱりね!」と嬉しそうな言葉が返った。

 色のついた化粧品は、贈るのが本当に難しい。
 何が似合うか、何が似合わないか、相手のことをよく知らないと選べない。わたしに似合う色を的確に選ぶ友人は、わたしをよく見てくれている。肌の色も瞳の色も、わたし自身より知っている。わたしが無いものとしていた可能性を、軽やかに持ってきてくれる。
 選んで贈るということは、相手を想うということだ。自分が選ぶ側に回って初めて、友人がわたしを見つめる精度に気がついた。どんな場面で化粧をして、どんな色が映えて、どんな可能性を知らないのか。化粧品に詳しいだけでは決して選ぶことのできない、日常の隅に潜り込むような選択は、きっと愛の為せる技なのだと思う。
 
 わたしも、友人に喜んでもらえる贈り物がしたい。あわよくば感動させたい。自分がしてもらったように、可能性を広げられたら。そう思っても悲しいことに、友人に似合うアイシャドウや口紅を選ぶことはできなかった。肌に乗せると発色の雰囲気が変わる、という化粧品の仕組みが心底理解できないのに加えて、友人は自分に似合うものならとっくに買ってるはずだ、という信頼により何にも買えなかった。

 このままでは何も買えない。友人の誕生日は刻一刻と迫っている。焦るわたしに知恵をくれたのはやっぱりTwitterだった。

https://www.dior.com/ja_jp/products/beauty-Y0065000-ディオール-アディクト-リップ-マキシマイザー-スパイシーなやみつきになる感覚で、内側からふっくら潤うボリューム-リップに導くケア-リップ-グロス

 たまたまリツイートで流れてきたこの商品(の季節限定版)が絶賛されていた。そしてタイミングの良いことに、同じものが職場のお姉さまのポーチに収納されていた。「それどんな感じですか?」漠然とした質問に、お姉さまは力強く答えてくれた。「めっちゃ良いよ。ずっと欲しかったんだけど買って正解だった」限定品だったら友人はまだ買っていないかもしれない。そう思ったわたしはこの日の仕事終わりに、かの有名なDiorに乗り込んだ。
 Diorの店員さんはいかにもビューティーアドバイザーです、という風格を持っていた。正直怖かった。だけど話してみたら親身で優しいお姉さんだった。これ貰って嫌な人居ないですよ、と言い切る笑顔が綺麗だった。

 友人はわたしがDiorでプレゼントを選んだ事実にかなり驚いていた。そして「おかきにしてはやるじゃん」「おかきのセンスじゃないみたい」と最大級の褒め言葉をくれた。実際にわたしのセンスではないので友人の見る目は正しい。大事なことは全部Twitterが教えてくれた。ありがとうTwitter、これからもよろしくお願いします。 


着飾るということ

 わたしは自他共に認める「センスの無い人間」だ。
 だけどおしゃれが嫌いなわけじゃなかった。昔は無関心でもなかったし、苦手意識も無かった。その服微妙だねと友人に言われたことも無く、無難におしゃれを楽しんでいた。だけど社会人になって、運悪く忙しい会社に就職してから変化の波が訪れた。
 生活を蝕む仕事量はわたしの許容範囲を軽々と超えてしまったので、あらゆる方向に向けた自分の感覚を全部かき集めて「生きる」ことに集中しなければならなくなった。寝て起きて、働いて、寝る。それに集中しなければ日々を乗り越えられなかった。そんな状況で真っ先に削れたのは、おしゃれに対する興味だった。

 服を買いに行く時間があるなら眠っていたい。化粧も必要最低限で良い。顔をいじる時間があるなら眠りたい。働くだけなら肌と眉毛を整えれば良い。おしゃれは余裕のある人がすること。眠る時間を十分取れる人が選べる趣味。
 ストレスが溜まっていた。だけどわたしはこの頃いろいろあって弱音を吐けなかった。そんなこんなで体を壊して入院した。退院した時、わたしは自分が身に付けるものについて以前ほど興味が湧かなくなっていて、「おしゃれ」に関する買い物が下手くそになっていた。
 年や体型を考えればこういうものを着るべきだろうな、と考えた時はまともな物品を選べる。だけど「自分の着たいもの」「持っていたいもの」「似合いそうなもの」を選ぼうとすると、途端に破綻した。着たいものが分からないから選ぶことができない。社会に馴染めるような服を求めて買い物を行うものの、「こういうものを着るべき」という、誰に向けているのかわからない義務感に囚われた消費活動は全く楽しくなかった。そうしていつしか「おしゃれ」にまつわる買い物に苦手意識を持つようになった。

 「おしゃれ」と離れていた時間が長すぎたのかもしれない。昔の自分がどんな風に服を選んでいたのか、化粧を楽しんでいたのか、全く思い出せないのだ。ふらっと入った店で適当に服を買ってみてもしっくりこない。健康だった頃は自分の一部であるはずだった「おしゃれ」を、追いかけては息が切れる。
 楽しいものだと覚えているのに、楽しみ方を忘れてしまった。心と体は健康になっても、生活は自分じゃない何かを切り貼りして過ごすような、居心地の悪さをずっと感じていた。

 そんな環境で友人がくれるプレゼントは、わたしの中で道標になっていた。
 こういうものが似合うよ。この色は素敵だよ。わたしがどこかに置いてきた「楽しい」という思いを、友人は拾ってきてくれる。ひとつひとつ、丁寧に。
 化粧品を選ぶことは、ただ面倒なだけじゃない。自分の世界が少しだけ明るくなるような、どこかに出掛けたくなるような、華やかな気持ちを持ってきてくれる。忘れてしまっただけで、失くしてしまったわけじゃない。きらきらした気持ちはまだ心の中に生きている。友人にプレゼントをもらうたび、わたしは自分の可能性を思い出す。

 今年の誕生日、友人はフェイスマスクをくれた。

 https://femmue.jp/product/detail/18

 今までわたしが使っていたフェイスマスクは、フェイスマスクじゃなかった。本当にびっくりした。友人がついに本気を出してきたと思った。これまでのプレゼントも素敵だったけど、このフェイスマスクは間違いなく「本物」だった。
 マスクの両面にメッシュシートが貼ってある、という変わった仕様に最初気づかず、メッシュシートを貼ったまま顔に乗せて「なんか硬いな……」とか思ったわたしは世界で一番の大馬鹿ものだった。メッシュシートをちゃんと剥がすと、顔に貼る前からこのマスクがやばいと理解できる。ドゥルンドゥルンだ。トゥルトゥルじゃない、ドゥルドゥルしている。クラゲを麺棒で伸ばしたら多分このマスクになる。
 そしてものすごく良い香りがする。高級なフレグランスが染み込んでいる。美容液成分もタップタプだ。永遠に取りたくないと思うくらい瑞々しい。これほど肌が喜ぶ瞬間に立ち会ったことが無い。マスクを取って美容液を手で馴染ませると、頬の弾力があからさまに変わる。そして驚くことに、翌朝顔を洗った瞬間にも違いを実感する。間違いなく、肌が生まれ変わるマスクだ。

 恐ろしいことに、友人はこれを箱でくれた。一回使って残り枚数を数え、LINEで「最高すぎて勿体無くて使えない」と感想を送った。友人は「ガンガン使ってよ」と信じられないことを言ってきた。恐れ多くてガンガン使える代物ではない。これに慣れてしまうと安い化粧水に戻れないような気がする。怖いくらいに良いマスクだ。週末に使うと開放感も相まって天国が現れる。

 自分の体に対して手間をかけていると、自分自身に愛着がわく。肌のコンディションが良ければ嬉しいし、たまには労ってやろうと思う。手間をかけた分だけ応えてくれる「わたし」という存在は、わたしにとって大事なものだ。「わたし」が健やかである、ただそれだけで日々の快適度が上がる。気分ひとつで世界は明るさを変えていく。
 だからもう二度と、心と体を壊して入院するような環境に望んで留まることをしない。自分を雑に扱わない。自分で自分を壊さない。好きなことや楽しいものを忘れてしまう世界には、もう二度と戻らないと決めた。


素敵なものたち

 最近のわたしは、ひとりで自分用の口紅を買おうと思い立つまでに「おしゃれが楽しい」という感覚を取り戻した。自分に似合う色はまだ分からないけど、店員さんに頼るという技を身に付けたのでなんとかなっている。餅は餅屋、美はビューティーアドバイザーに。わからなければプロに頼ってしまえばいい。ちなみに最近買ったのはこれだ。

https://www.shuuemura.jp/?p_id=MLIP043

 「赤リップならシュウウエムラ」という友人の助言を大事に抱えてお店に行ったら、想像以上に数が多くて戸惑ってしまった。だけど店員さんは優しかったので、わたしでも何とか似合う色を見つけられた。はっきりした色は、塗った瞬間から顔が変わっていくのが楽しい。自然と笑顔になってしまう。
 
 おしゃれを楽しめるようになったきたとはいえ、センスが身についたかと問われれば間違いなく「いいえ」と答える。だから今年も友人へのプレゼントに頭を抱える羽目になるけれど、わたしにはTwitterがついているので大丈夫だ。ちなみにインスタで検索しない理由は友人の活動圏内だから。インスタで流行っているものは大抵友人の購入候補と考えていい。わたしは友人が決して迷い込むことのないTwitterという魔窟にて、優しくおしゃれなフォロワーに助けられながらニッチな情報収集に勤しんでいる。

 今年のプレゼント候補は以下の品々だ。

1.モフモフの洗顔料

 https://jp.loccitane.com/イモーテル-プレシューズインテンスクレンジングフォーム,123,2,93153,1046180.htm?yclid=YJAD.1583840192.kR_A22Odcq3G_4I9q1oag5Frw0EiWWJwbI4DK47XyImtpnK49X2K32b.GEM7kmVA.Z4.HNp4NgVEaes-

 これは別の友人に贈ったこともある洗顔で、泡がとんでもなくモフモフだ。顔に柔らかいものが乗ると大変気持ちがよく、泡立てる手間もいらないので手軽に癒される。社畜の友人や出産後の友人によく贈っているけど概ね好評だ。何も候補が浮かばなかったらこれになる予定だった。


2.綺麗な石鹸

https://savons-gemme.jp/?_ga=2.207903570.1914494149.1583844229-1006640789.1583844229

 これはTwitterにて、苦しんでいるわたしに差し伸べられた救いの手のひとつ。フォロワーへの感謝が留まるところを知らない。見た瞬間に自分用を買うと決めた。
 こんな可愛らしいものが家にあれば、手洗い必須のご時世において前向きに日々を過ごせるかもしれない。洗面所で過ごす時間が楽しくなるかも。コロナ騒動で石鹸が売れそうだったので、友人の好きそうな色が品切れになる前にとりあえず注文してみた。かわいいし時流にも合っているし、現在最有力プレゼントである。


3.ハイセンスアイシャドウ

https://www.zeeseacosmetics.com/ja/collections/eyeshadow/products/zeesea-x-picasso-inspiration-eyeshadow

 どの色が似合うか確信が持てないなら、とりあえず複数色を贈ればいいのでは? と安易に考えていたらピカソコラボという激しく面白いコスメを見つけた。もちろんTwitterで。ピカソ口紅もあるみたいなので、セルフピカソセットを組んだら面白いんじゃないか? とひとりで盛り上がっていたけど、よく考えなくてもピカソは友人の好みじゃないのでおとなしくこっちを購入してみた。

https://www.amazon.co.jp/ZEESEA-アイシャドウパレット-ピンク&レッド系カラー-エレガント-艶メイク、16色、20-4g/dp/B084ZDG1N4/ref=sr_1_74_sspa?keywords=ZEESEA&qid=1583845753&sr=8-74-spons&psc=1&spLa=ZW5jcnlwdGVkUXVhbGlmaWVyPUExS1ZWSEI1NzhFNzBCJmVuY3J5cHRlZElkPUEwNjMxMDQ2U0FKTTUxNE5WNllLJmVuY3J5cHRlZEFkSWQ9QTI5RUFBV1o2S1JFNkMmd2lkZ2V0TmFtZT1zcF9tdGYmYWN0aW9uPWNsaWNrUmVkaXJlY3QmZG9Ob3RMb2dDbGljaz10cnVl

 公式サイトにはもう載っていなかったのでAmazonより。
 単色のアイシャドウをお渡しする勇気が出なかったので手数で攻めた。全部似合いそうだから捨て色はきっと少ない。そうであってくれ。なお実物を見て発色がピンと来なかったら自分用にするつもりだけど、これだけの色味を活用するにはより深くおしゃれ道を歩まねばならないので、youtubeをひたすら見たり実戦で試したりと強制的におしゃれレベルを上げるイベントに突入してしまうだろう。大丈夫かな。
 それはそれとして、友人のおしゃれで可愛いポーチに大量のピカソが入っている絵面を想像するとすごく面白かったので、誕生日とは関係の無いところで一本ピカソ口紅を渡したいと思っている。いつもポーチにピカソ。ふとした時にピカソ。マウストゥマウスピカソ。すごい嫌な顔されそう。


いざ遥かなる旅路

 過去のわたしは、贈り物によくタオルを選んでいた。
 まず間違いなく嫌がられない。良いタオルは生活を豊かにする。だから困った時は思考停止でタオルを選んでいたし、今度もそれで十分だと思っていた。それなのに素敵なセンス溢れるプレゼントに憧れ、自分でもこういうものを贈りたいと思うようになったのは、間違いなく友人に貰った化粧品が原因だ。
 「これが似合うよ」「これきっと好きだよ」と言って素敵な贈り物をされた時、明るい場所に捕まえてもらえたような、虹の方角を示されたような、あたたかな引力を感じる。友人は「あげたいものを渡しただけだし、欲しいものを言っただけだよ」とか言いそうだけど、その感覚と選択にわたしはしっかり救われた。

 自分自身が辛い環境にある時は、贈り物をしようなんて思いもしなかった。自分の呼吸に集中するだけでやっとだった時と比べて、周りが見えるようになった今は心が多少豊かになって、周りの人たちの笑顔を願うようになった。贈り物をしようと思えること自体が、自分の中に明るいものが育っている証拠なんだろう。
 呼吸が前よりずっと楽になった今、貰ったものを積極的に返していきたいと思う。わたしが抱えるたくさんの希望を、なんとか物のかたちにして世界に産み落とさねばならない。いざという時もそうでない時も頼りになる宝石箱を構築するために、そこかしこに散らばるおしゃれなあれそれを、わたしは今日もブックマークに放り込む。

 困った時はタオルを贈れば良いと思いながら生きてきた。最高のプレゼントはAmazonギフトカードだと思っている節がある。だけど汎用性だけでは届かない夢や希望を求めた時、辿り着くのはセンスを駆使した贈り物なのかもしれない。
 だけど最後にこれだけはお伝えしたい。

 https://hippopotamus.co.jp

 ここのタオルは最高です。 

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