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⑩偽物の幸福

【Aさんとの事があるから深入りはしない、SEXだけ】

そう自分に言い聞かせた。



だが、Cくんとの付き合いはとても楽しかった。

お互い良く話すタイプなので会話が途切れないし
お互い人の話を聞くのも好きなのでずっと話していられた。

地元が一緒だからこそ出来る思い出話も沢山した。

話すとどんどん距離が縮まって
いつの間にかCくんとは
お互い予定がないときはほぼ毎日会社の最寄り駅で待ち合わせをして一緒に帰った。

食事して帰ったり、スーパーで買い物をしてどちらかの家で食べたりした。



【深入りしちゃだめ…】


休日も色々な所へ行った。

何度か旅行もした。



【これ以上好きになっちゃダメ…】



そしてほぼ毎日、CくんとSEXした。

彼女はあまりするタイプではないらしく
積極的な私にCくんは驚いていたが、嬉しそうだった。

そしてCくんが初めてする体位や行為に
Cくんもどんどんはまっていった。


もうこの頃には、私はCくんにどっぷりハマっていた。

同じ過ちの繰り返しである。



そして、年末年始になった。

私は気分が重かった。


お互い、実家に帰省する予定になっていたが
長期休暇は、Cくんも彼女も帰省する。

地元が同じということは、Cくんは彼女と会う。

私は地元ではCくんに会えない。


だって私は2番目だから。



そう思って拗ねているとCくんは

「毎日会うわけじゃないし、澪ちゃんとも会えるから心配しないで」と言ってくれた。

その言葉通りに、彼女とは1日会ったくらいで私とは2日会ってくれた。

そんな事で私は喜んだ。

あとはお互い地元の友人と会ったり、家族と過ごして終わった。

東京に戻れば、私は再びCくんを独り占め出来た。

GWはお互い実家に帰らずに過ごした。

どこに行くわけでもなく、どちらかの家で一緒に料理したり、映画を見たり、そして沢山SEXした。


そしてお盆の季節、再び憂鬱な気分で帰省した。

彼女と会っているであろう日、よりによって私は予定がなかった。

実家でCくんと彼女のことを考えているとモヤモヤした。

自分は後から割り込んだくせに。

他の日はC君を独り占めしているくせに、たった1日彼女に会っていることも許せなくなっていた。


そして私は、CくんにLINEを送る。

『久しぶりの彼女とのデート楽しい?』

『私は予定もなくて暇だよ』

『Cくんは楽しそうでいいな』

『寂しいな』

『彼女とHしてるの?』


返事も来ないので次々送る。
もう私は嫉妬でおかしくなっていた。

Aさんの時で学んだはずなのに。
今度はハマらないようにと思っていたのに。

そしてCくんから返事が来た。


「ごめんね」

「寂しい思いさせて」

「ちゃんと埋め合わせするから」

「もうずっと澪ちゃん意外としてないよ」

半年ぶりに会うにもかかわらずSEXしないなんて私には信じられなかった。

何度か聞いたことがあるが、「彼女は本当にそういうの好きじゃないから」といつも言っていた。




Cくんが抱いているのは、私だけ。


そんな事で私は優位にたったつもりでいた。
本当に浅はかだ。



浮気をするような男の言葉に

真実などない事にも気が付けずに

ひと時の幸福に浸っていた。



つづく

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