⑮33歳の恋
久しぶりの海は楽しかった。
最近は施設もきれいでオシャレで驚いた。
Dくんとは海で泳いだり、釣りしたり
水着で入れる温泉でゆっくりしたり
その中のカフェでお茶したりした。
間が持たなかったらどうしようと心配だったが
そんな心配は不要だった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
帰り道も、楽しかった。
帰るのが勿体なかった。
もう少し一緒に居たいと思った。
しかし私のマンションが近づいてきた。
するとその時。
「先輩が仕事終わって飲み行こうって
言ってるんですが澪さんも行きませんか?」
『行きます』
私は即答した。
休日出勤で来れなかった
仕事終わりの先輩と合流して
3人で飲みに行く事になった。
待ち合わせまでまだ時間があるということで
私の荷物を一旦マンションに置き
その後Dくんのマンションへ
車を止めに向かった。
Dくんも荷物を部屋に置いてくるといったので
私は下で待ってるねと伝えると
まだ時間あるから一緒にと言われた。
部屋に誘われた
32歳拗らせ女の脳内は
もう煌めいていた。
突然の2人きりでのお出かけ
その後も飲みに行く(先輩も一緒だが)
そして済んでいるところをを明かし
部屋に誘ってきた
少なくとも、
嫌いな女にはしない行動だよね???
と自分に問いかける。
嫌いだったらまず、海がキャンセルだし
つまらなかったら、海終わりにさよならだし
そもそも自分の住んでいることろ教えないし
部屋に誘わないよね!?!?
大分自分に都合がいいように
Dくんも私に好意があるのでは???
と思いたい一心で頭の中で
1人恋バナを繰り広げていた。
Dくんの部屋はシンプルで、
とてもいい匂いがした。
なにの匂いか聞くと、柔軟剤の匂いだと
使っている柔軟剤を見せてくれた。
『絶対次はこれを買おう』
私はそう心に誓った。
緊張してソファに座っていたが
期待したイベントは特になかった。
まあ、30分ほどの時間つぶしだったし
すぐに先輩から連絡があり
近くのお店まで歩いて向かった。
その後は先輩も交えて楽しく食事して飲んだ。
2件目も行こうと言われたが、
流石に朝から遊んで眠かったのと
あんまりダラダラ居てもな…
友達みたいになっちゃうし…
と訳の分からない駆け引き?を考え
私はここまでで失礼しますと
Dくんと先輩と別れた。
家に帰り、Dくんにお礼のLINEを送る。
30分程で返信が来た。
「こちらこそありがとうございました。
また遊びに行きましょう」
お見合いや、アプリだったら初回の返信としては
100点満点ではないだろうか。
また、遊びに行こうと。
まあ、私たちは会社の同僚なので
勿論社交辞令もあるだろう。
しかし、それを踏まえても
この返信は期待してしまう。
なんてことない男の人の行動なのに
自分が好きな相手からされると
どうしても意識せずにはいられない。
恋愛中だからなのか
拗らせているからなのか
そのどっちでもあるのか
その時の私はもう浮かれに浮かれて
幸せなまま眠りについた。
つづく
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