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⑬初めての年下男

これまでの恋愛歴史上、私の恋愛対象は
年上か同い年だけだった。

ここで出てきたAさん9歳上、Bさんは4歳上、Cくん7歳上。
この3人の他に付き合ったり遊んだりSEXした人達も
年上か同い年。

昔から、タイプは年上と言ってきたので
紹介されるのも年上がほとんど。

なぜ年上が良いか?

年上の男性は優しいから。

勿論全ての年上が優しいわけではないので
正確には優しい年上男性が好きだった。


私は小学生の時に父を亡くした。

親戚仲がよかったので、父の代わりに
親戚の叔父さんたちが私と姉をかわいがってくれた。
バイト先や職場でも上司が可愛がってもらった。

私の元々の性格もあるのかもしれないが
年上男性とのほうが付き合いやすかったし楽だった。

なので合コンに行っても、年上担当は私だった。

ちなみに大学の同級生、梨乃は
20代の時は±2歳くらいがストライクゾーンだったが
30歳からは絶対年下!!を豪語していた。

自分より年上はもうおじさん
同い年も未婚はおじさんということで
単純に、梨乃の大好きな爽やかイケメンは
もう年下にしか居なかったからだ。

それもあって、梨乃と男が被ることがなかったので
梨乃とは平和に関係を続けられていた。

この頃までは。


さて、年下男子Dくんの話へ戻る。

年下Dくんは、私の好みの顔をしていた。

なんというか、控えめに言ってもかなり好きな顔。

年齢の割に落ち着いていて
イケイケ風ではない感じ
気だるそうな落ち着き。
上手く伝えられないが。

でも年下か…

と、私はそこで一度線を引いた。

なので暫くは特に何もなく、
ただの同僚という感じで過ぎていった。

Dくんクールで、余計なことは話さない
でも仕事では熱い男だった。

何度かプロジェクトチームで飲み会をした時も
プロジェクトへの意気込みや、後輩への指導、自分の好きな野球チームの話、そういう時は熱心に話をしていた。
しかし普段は本当に、無口。
何を考えているかわからないタイプ。

本来なら、こういう人は苦手だ。

しかし、顔がタイプすぎて
私は嫌でもDくんを意識していた。


そんなある日、私は生理痛がきつく
リフレッシュルームで休憩していた。

こんな時に限って手持ちの鎮痛剤がなく
この痛みが治まったら、買いに行こうと思っていた。

そこに、Dくんが飲み物を買いに入ってきた。

「お疲れ様です」

『…お疲れ様です』

挨拶だけをかわし、Dくんは自販機で飲み物を買う。

Dくんはリフレッシュルームで飲まずにデスクにすぐ戻る。
それは知っていたので、すぐにいなくなると思っていた。

しかし、その日に限ってDくんは椅子に座った。



なぜ…

お腹が痛いので、テーブルに突っ伏したかった。
もしくはソファで横になりたかった。

しかしDくんが居るのでそれもできない…

とりあえずスマホを見る振りをして、私は俯いて
痛みを逃すことに専念していた。



そこへ、Dくんが近づいてきた





「これ、良かったらどうぞ」

そう言って、鎮痛剤を差し出して来た。

『え…』

「もし違ってたらすみません。でも辛そうだったから」

驚いたが、正直助かった。

『ありがとう…』

私は素直にそう言って
Dくんから鎮痛剤を受け取る。



「無理しないでくださいね」

それだけ言ってDくんは
リフレッシュルームから出ていった。


私はDくんがくれた鎮痛剤を飲み、考えた。

普段無口で何考えてるかわからないのに



優しいじゃん…



顔がタイプで、しかも優しい。


私がしっかりDくんに惚れた瞬間だった。



つづく


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