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重なり合った偶然の末に天職と出会う28

物産展の設営

 事前の準備が慌ただしく進められる中、開催日が迫ってきます。開催の前日、百貨店の定休日に、設営、搬入、陳列などが実施されます。(当時は百貨店も週1で定休日がありました。)これらのものは全て図面に書き込まれたものが設営、搬入されます。什器にはもちろんサイズもありそれぞれの場所や、スペースに応じてサイズを調整してあります。

図面イメージ

設営の流れ 

 前の催しの撤去が終わったら即清掃が入り、のち設営が始まります。夜半から場合によっては深夜までかかります。翌日の定休日には朝から陳列などの準備ができる状態に仕上がります。プロ集団の技と経験値によって、まさに一夜城を作り上げるのです。

一夜城イメージ

☆図面に基づいて施工会社さんの設営作業が入ります。
 大工さん 壁(パネル)や天井から吊り下げる、装飾物を付ける為のサークルやサイコロとかよう
 かん棒などを手際よく板と釘、角材、番線などで組み立ててゆきます。板はあらかじめパネル状に
 造られていて、釘で打ち付け組み立てるだけの状態にできています。これらの材料は様々な催し物
 の設営に何度も利用されます。
 表具屋さん それらのパネル・壁に紙製のシートをを貼りつけます。あらかじめ壁のデザインだっ
 たり、レンガのデザインだったり、北海道の牧場や一面の畑だったりと言った、会場全体の雰囲気
 を作る為の壁紙のデザインを印刷した紙を板に糊で貼りつけて行きます。もちろん!皺一つ
 なく、気泡の一つも無く、ピシッときれいに貼られて行きます。まさに職人技です。携帯画面にシ
 ールを貼るのだって難しいのに、壁一面に刷毛と手で完璧にピシッと貼られてゆきます。

プロの技と仕事

そのあと
電気工事 百貨店にはの電気課と言う設備関係の部署があります。人によっては原子力発電所で働
 けるような資格を持っている方もいました。(当時聞いた話です)その方達と電設工事会社の人た
 ちが図面をもとに電気関係の設備を敷いてくれます。
 また天井のスポットライトなども設置してくれます。通常の照明と違い、スポットライトを付ける
 事で商品が活き活きと見え活気のある売り場になります。

ガス水道工事 社内の担当として上記電気課の人が担当しています。
 ガス ガス関係の設備会社の人が施工してくれます。ガスの配管、ガスコンロの設置、ダクト(大
 きな換気扇)の設置など。 最終的に出来上がったら大阪ガスの立ち入りもあります。
 水道工事 同様に電気課の管理のもと水回りの設備の会社が大元の水道管から水道が出るようにな
 り排水もちゃんとできるように、シンクや配管なども施設してくれます。
 養生 水回り関係と同じ会社の方が床の養生をしてくれます。水道施設の周辺には、水が飛び散っ
 たりするので床にビニールのシートを張り巡らせて養生くれます。床が滑ったり、床のパネルが浮
 いてきたりする事を防いでいます。

電気ガス水道施設イメージ

什器搬入

 リース会社と自前の什器
 
什器:陳列するための台、ショーケース、販売用の冷蔵、冷凍ショウケース、仕切りとなるパーテーション(稼働可能な壁)、実演をするための実演台。(実演台には天井部分にビニールのシートを貼ってほこりなどが入らないように設備の人が養生を施してくれます。)台下冷蔵庫(天面がコールドテーブルになっており、下が冷蔵ストッカー)、ストックを保存するための冷蔵、冷凍ストッカーなど様々な什器が必要になります。什器には4尺(1200mm)とか6尺(1800㎜)とかサイズがあり、何故かいまだに、尺で言われることが多かったです。茶席用のテーブル、椅子。羅列するときりがありません。事前に腰幕(腰巻とも)なども施してくれグッと統一感が醸し出されます。
 これらの什器は2種類の経路から設置されます。
 1.元々百貨店が自前で持っている什器
  設備の方が保管管理メンテナンスしてくれて会場まで搬入してくれる
 2.リース会社にレンタルする什器
  リース会社が搬入設置してくれます。 寿司のネタケースなんてものも貸してくれます。

什器等々イメージ


腰幕イメージ

搬入

  職人さんたちの技で一夜城が出来上がり、翌日、搬入作業が行われます。出展者さんが事前に送ってくるものを一旦物流センターで順次受け取り、それらを私たちが前日までに物流センターに赴いて、整理、仕分けし本館に送る手はずをします。陳列前日の閉店後に本館にその荷物が到着します。一部直接届くものもあります。
 ・商品:実際に販売や実演などを行うための商品、商品の材料(冷蔵、冷凍のものはそれぞれチャ
  ンバーに格納)
 ・実演は販売に使うための出展者さんから送られてくる道具、備品類
 ・事前に作成をお願いしていたプライスカード、吊りビラや販売に使用する袋関係やガムテープな
  どの設営準備物、ダスターやペーパータオル、ずんどう、ザル、茶席で使用する食器類。
  食器なども必要最低限のもの例えば、お水を入れるグラス、湯飲み、茶碗、皿。点心用のせい
  ろ、ラーメン用の鉢、丼鉢、箸、お盆、など百貨店で在庫として物産展様に持っています。
  会場でそれらを入れておく食器棚まで持っています。
 
 それ以外に、直接出展者さんが送ってきたものを使う場合もあります。
 お店の名前の入ったラーメン鉢とかですね。

備品イメージ

宿泊手配など

 ちなみにですが出展者さんたちは基本的に北海道から来られるので百貨店周辺のホテルの予約も百貨店の私たちが手配していました。事前に人数お名前などを確認し周辺のホテルを予約しておきます。よく人数が変わったり、人が変わったり、宿泊の予定が変わったり、手配が漏れていたり、結構トラブルが起きていました。(*'ω'*) それを調整するのも大変でした。
行き帰りのチケットなどは自ら手配してもらう事が多いですが、開催終了後の備品などを送り返すための送り状などは百貨店側で準備しています。

陳列 

 上記のような事前の設営準備が終わった後各出展者さんが入店し、陳列及び準備作業が始まります。⇒次回に続く


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