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重なり合った偶然の末に天職と出会う21

発注業務 (百貨店のバイヤーの仕事の一部)

 商品を仕入れる事です。メーカさんあるいは問屋さんに商品を発注し、ものにもよりますが翌日、翌々日などに発注した商品が発注した数量入荷します。
 この発注業務はバイヤーの仕事の一部であり新入社員からできる業務でもあります。

 この業務で身に着くことは  基本的な知識:どの商品はどこ(問屋さん、メーカーさん)から入ってくる(納入)のか?仕入れの際の原価、売価、1マスター(段ボール1箱)の入数、などを覚える機会にもなります。

 仕入伝票は納入の際、仕入れ先から必要事項が記入されているため、内容と実際の現物を確認し検印を物流担当の牽引係が押してくれます。

醍醐味

 この発注業務には経験と勘が必要になります。お中元(お歳暮)に関するギフト商品は万を超えるアイテム数があり、当時はその大部分は百貨店の物流センターに在庫をし、出荷作業を行っていました。
 ある商品は1日3,000個売れるものや1週間で2~3個しか売れないものもあります。
商品ごとの売れ行きを、売上データーで確認し経験値で埋め合わせながら商品の在庫を操作します。

発注担当者の経験と勘が非常に重要です。
この発注担当者の「読み」こそが、データ、経験、勘に基づくものであり、醍醐味でもあり、中々スリリングな業務でもあります。

 先にもお話ししましたが、売れてから発注していると、お届け先への配送に時間が掛かってしまうのであらかじめ売れる数量を予測して発注しておく必要があるのです。
 商品の売れ行きを予測し、多からず少なからずの数量を発注しなくてはなりません。

・発注数量が少いとき:

 例えば発注数量を1,000個発注してお客様のご注文が1,200個来たら発注見込み不足となり、その日は瞬間的に欠品します。一部の伝票は次の納品まで出荷できなくなるわけです。これは嫌なもので仕事が終わらなかったような、スッキリしない感じが残ります。
自分の発注がビビッてしまった「チキン」状態と思われるのも何となく・・・

 なので多めに発注してしまいがちですが、

・発注数量が多いとき:

 即伝票を貼って出荷となりますが、大量に納入商品が余ると、在庫として積み込みをしなければならずバイト君の作業が増え嫌な顔をします。シーズン中に出れば良いものの、最終的に残ったら返品しなくてはなりません。この事態がひどければひどい程バイヤーとしては恥となります。

 商品ごとに売れ行きは全くバラバラであり経験と勘を積むためには数年かかりますが新入社員から経験を積んで発注数量を読み切ることが出来るようになっていくのです。
 何が起こるかわかりませんのですべてを読み切ることは不可能ですが不思議と概ね読めるようになってくるのです。
 常にベストな選択を目指して仕事にあたるのです。

商品が積みあがるイメージ

読みが当たると

 以前にもお話したようにメーカーさんの売れ行き予測を大幅に上振れして売れる事があります。もちろん嬉しい事でもあるのですが、予定数量に合わせて生産計画を立てているため大幅に売れすぎてしまうと、すぐには増産が追いつかず、メーカー欠品と言う形になります。
 1000個発注しても100個しか来ないとか、しばらく入ってこないとかいう状況が発生します。激しい場合は「従来の予想を大幅に上回るご要望を頂いた為しばらくの間休売とさせて頂きます」と言う事態になっていきます。
 こうなると大変です!お客様からご注文を頂いた伝票は山のように溜まっていきます。対応に追われ伝票がすべて出荷し終えるまで戦いの日々を送らなければなりません。

またこの絵です書類山積み!

「読みが当たる」という事もたまにあります。

  商品の顔と言う言い方をよくするのですが(商品のデザインや雰囲気などの見た目)、詰め合わせ内容、販促物、時代の流行り、価格などその他の状況を見てこれは売れる!と読める時があるのです。そうするとバイヤーとしてはメーカー欠品もあり得るなと読んでかなり多めに見越して発注を掛けるのです。

 もちろんあまりにも大量に例えば1000個で良いところを1万個で発注してしまうと不審に思われメーカーからは納入されない場合があります。これは偏りを避ける為注文すればするだけ納入されるわけではないのです。

 なので少しずつ多めに発注し在庫を膨らませて行きます。ここはテクニックです。通常は1000個で良い在庫を少しずつ増やし5倍から10倍くらいまで貯めこみます。

 そのくらいのタイミングで店頭ではどんどん商品が売れて行き、他の百貨店でも大当たり!メーカーも製造が追いつかずついに注文が来た分すべて納入できなくなり!!!と言う事態が起きた時、各百貨店の売り場では品薄情報や一時販売を休止してまずはすでに売れたものをきちんと確実にお届けする。もしくはお届けにお時間が掛かる旨をお伝えしお時間を頂くか他の商品に変更を促すという事になります。

「ウチは在庫ありますよ!」

しかしながら店頭から商品在庫の問い合わせが来ても「ウチは在庫ありますよ!」「ジャンジャン売って良いですよ!」と返事が出来るときは、めちゃくちゃ気持ちいいーです。人気商品だから売れるわけで、あっちでは無いって言われたのに、こっちに行けば大丈夫って言われた!とお客様が喜んでくれます。
 メーカーの立場ではなるべく均一に売れてほしいのですがバイヤーの立場ではこれは「してやったり!」なのです。 こんな経験を何度かするとやめられない魅力に取りつかれますよ。

「読みが外れる」

でも、当然のことながら神ではありません。反対の事も有ります。
「当たる」と思ったのにはずれる!!! 出ると思ったのに出ない!なんてことも時々あります。こうなると在庫過多に敢えてしたままシーズンを終えてしまうなんて事も無きにしも有らず・・・です。これば仕入れる立場の仕事としてはサイテー大量返品にもつながりかねません。

 という事で「読む」「読み切る」事は醍醐味でもありますが、大失敗にも繋がる事も有ります。
仕事なので色々な人に迷惑をかけてしまう事は絶対に避けなければいけないので「博打」ではいけないのです。
次回へ続く


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