泣き叫ぶ祖母
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祖母と喧嘩した。こちらも意固地になったので布団を引きずって行って二間ほど離れた仏間で眠ることにした。
襖の向こうから祖母の涙混じりの怒号が続いている。明治生まれの祖母は百歳で死んだはずだが、聞こえてくる声音は若く音も大きい。とすると私はまだ小学生にも上がっていない歳ということになる。私が幼かった頃の田舎家は電灯もまだ十分ではなくあちこちに暗闇がある。我ながら気丈なことだ。そういえば子供の頃の私はきかんきが強かったと父のいとこたちに言われたことがある。今では想像もできないだろう。
それでもなんとか寝入った私は夢の中で夢を見た。崖を一生懸命に登っているのだが、どうも崖の表面に土以外の何かがかかっている。これは米ぬかだ。米ぬかを崖に捨てた奴がいる。油っぽくて登りにくくて仕方がない。
崖をのぼりおわったあと祖母にもとの寝間へ連れ戻されたような記憶があるが詳細は覚えていない。
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