見出し画像

水泳教室

小学生の低学年の頃、代々木のオリンピックプールの水泳教室に友だちと2人で通っていた。最初のうちは親がついてきていたが、しばらくすると「二人で行けるよね」と電車賃を渡されて子どもだけで通った。帰りに池袋の駅の構内のフードコーナーでアメリカンドッグを買い食いしてもいいと言われていたことも嬉しかった。

代々木のオリンピックプールが使えないときは国士舘の屋外プールとかを借りているような間借りっぽい仕立ての水泳教室だったが、当時の都下の小学校にはまだプールがなく、親が「泳げないのはいざというときに困る」と習わせてくれた。

おかげで、運動全般は苦手なのに、水泳だけは小学校の高学年(その頃には美濃部都政で一気に都下の小中学校にプールが建設された)から中学生まで、他の子よりも泳げて、それは小さな自信につながった。中三の夏休みも学校のプール解放日は全出席していたので、卒業アルバムの写真では髪が脱色されて写っている。

習っていたのは学校のプールが建設されるくらいまでなので3年ほどだったが、バタフライ以外はクロールも平泳ぎも背泳ぎもそれなりに泳げたし、平泳ぎならそれこそずっと泳げた。

大人になると、ときどき平泳ぎでゆっくりと泳いだ。あまり人がいない会社のプールで、水の音だけを聞きながら泳ぐのは楽しかった。その分、クロールや背泳ぎはあまりしなくなり、子どもの頃のようには泳げなくなった。

いま住んでいる家の近くのプールはあまり混んではいないが、それでも会社のプールよりは混んでいて、平泳ぎだとちょっと邪魔になってしまう。かといって、ゆっくりとクロールで泳ぐことはあまり上手くできず、ああ、子どもの頃はただがむしゃらに泳いでいたんだということが思い知らされてしまった。かといってクロールで泳ぐと、25 mがやっとという体たらくだ。水泳は運動にいいかなとも思うのだが、短距離走のような泳ぎだと続かないので、効果があるのだかないのだかわからない。

そんな気持ちで2年ほどが過ぎたが、最近、ドロシーが「習いに行くならお金は出すよ」と言ってくれた。近所の市民プールはミズノが委託で運営していて電話をしてみると空きもあるという。5月の初めから週1で習い始めた。受講の目的は「クロールでゆっくり長く泳げるようになることです」と伝えたが、じっさい教室の方も大人のための水泳教室なので、そのあたりが目標のようだ。

大人の水泳教室は、あまり人気がないのか、私のいっている時間だと、私ともう一人の男性と2人しか生徒はいない。2人ともちょうど25 mを泳げるか泳げないかというレベルなので、超小人数クラスを受講していることになる。

久しぶりの習い事は楽しい。身体を使うことはそもそも苦手だが、子どものときの感覚は少しは残っているし「もっとこうするといい」と言われて、素直に理解できるし、実際、少しずつだが出来るようになる気がする。習い事は進歩したように感じると、それがたとえ錯覚でも嬉しいものだ。

ただひとつ残念なことがあるとすれば、現段階での私の体型が、サンフランシスコのゾウアザラシっぽい点だろうか。

訪問していただきありがとうございます。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。