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酒の切手

ずいぶんと前のことだけれど、江戸川台のお蕎麦屋で開かれた落語会に誘ってもらって出かけたことがある。たぶん、そのときが落語を生で聴く初めてだったと思う。

初めての、しかもこぢんまりとしたお蕎麦屋での落語会は居心地がよくて、そのあとの会食というのか、聞きに来たお客さんと噺をした落語家さんとでなんとなく飲みながら話すのも、なんだか和気あいあいとして雰囲気でよかった。

そのときに見せてもらったのが、『文七元結』の噺の中に出てくる酒の切手の実物で、これか~と思ったのをはっきりと覚えている。

「裏に折り返すと、そのまま商品券になります」という説明に、再び、一同、「おおおぉ」と関心して、とても楽しい会だった。

もちろん、噺の中で、「酒の切手」と言われても今はリアリティがない。そういうものを使わなくなるどころか、酒屋というものさえどんどん減っている世の中で、言葉が通じなくのも自然なことだ。

昔のドラマの『君の名は』では、びっくりするほど主人公の二人はすれ違ってばかりで、私の世代では「まぁ、そういうこともあるかもしれない」と思いながら観るけれど、子どもの世代になれば「なぜ携帯で電話しない?」どころか「なぜLINEしない」となるのだろう。

私でさえ、平野 啓一郎の『マチネの終わりに』を読んで、「連絡方法なんていくらでもあるだろうに。この二人、馬鹿じゃねぇ?」と身も蓋もない感想を抱いたのだから。

よく落語のマクラで「郭噺が通じない時代になりまして・・・」という風なことが話されるけれど、そういう背景的な言葉だけではなく、もっとディテール的な部分での言葉使いのリアリティが伝わらなくなっているだろうし、もっといえば、たとえば圓朝の『牡丹灯籠』の通底に流れる《因果はめぐる糸車》のような共通の価値観そのものが共有できないのだから、もう如何ともしがたい状況だとは思う。

でも、だからといって歌舞伎でワンピースやナウシカをやるのも、私には「なんだかなぁ~」と思えてしまう。

もちろん、落語も興行だし、商売だし、落語家という人たちもおまんまを食っていかなければいけないのだから、「そのまま廃れてもよし」なんていうのは他人事だから言えることで、当事者にしてみれば「いやいやいや」ということになるだろう。

1000人の落語家が年収1千万円であるためには。。。(10^3)×(10^3)×(10^4)だから、10^10だから100億円かぁ。手取り30%とすれば、約300億円の年感売上げ。うん、確かにちょっと辛いかも。

ChatGPTくんに類推してもらった。

落語の市場規模を正確に把握する公式な統計データは公開されていないため、推定になりますが、以下の要素を考慮して概算してみます。

寄席(定席)の収入:
・東京の主な寄席: 鈴本演芸場、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場の4つが有名です。
・公演日数: 各寄席は年間を通じてほぼ毎日公演を行っており、年間約300日と仮定します
・収容人数: 各寄席の収容人数は約200〜300人。平均して250人とします。
・チケット価格: 一般的に2,500円〜3,500円。平均して3,000円と仮定。
寄席の年間収入を計算すると:
4(寄席)×300(日)×250(人)×3,000(円)=約9億円

独演会や地方公演の収入:
・公演数: 有名な落語家による独演会や地方公演が年間多数開催されます。仮に年間1,000公演とします。
・平均観客数: 500人と仮定。
・チケット価格: 平均4,000円と仮定。
独演会・地方公演の収入は:
1,000(公演)×500(人)×4,000(円)=約20億円

メディア出演や関連商品:
・テレビ・ラジオ出演料: 落語家のメディア出演による収入を年間数億円と推定。
・CD・DVD・書籍の売上: これも年間数億円規模と仮定。

企業イベントや講演:
・出演料: 落語家が企業のイベントや講演に出演するケースも多く、これらの収入を年間--数億円と推定。

総合的な市場規模の概算:
・寄席の収入: 約9億円
・独演会・地方公演の収入: 約20億円
・メディア・関連商品の収入: 約5億円
・企業イベント等の収入: 約3億円

合計: 約37億円
したがって、落語の市場規模は年間約30億〜40億円程度と推定されます。

ChatGPTくんの類推が正しいかどうかはわからない。だけど、300億と30億だと10倍ほどの開きがある。他人事ながら「なんか大変そう」と思える。

でも、日本には人が1億人もいるんだから、一人あたり年間300円の木戸銭で300億には届くわけで、一方で人は競争原理もないと頑張らないから、ここはひとつ成果連動型の成果連動型民間委託契約方式 - (PFS:Pay For Success)を採用して・・・

無責任な妄想は続く。そういう無責任な感じで、言葉が通じようが通じまいが、適当に落語やってほしいなと、すごく無責任に思う。ごめんなさい。

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