マガジンのカバー画像

Collective Dialogues

70
創造的で豊かな対話を実践するための工夫やヒント
運営しているクリエイター

#書評

Inspiration Seeds vol. 006:対話の場の仕組みと仕掛け

オンラインでの打合せも増え、対話について意識することが増えたような気がします。では、よい対話の場で行われていることは何なのでしょうか? なにかよい秘訣はあるのでしょうか。よくわかりません。そこで、普段から対話やコミュニケーションの場について考えている高柳さんと『よい対話を生み出すには』について聴いてみたい思います。

2020年読んで良かった本ベスト5+α

今年もあと数日というところまでやってきたので、今年読んで印象に残っている本を紹介したいと思います。 コロナの影響で家にいることが増えたけれど、かといって読む量が特に増えたわけでもなく、人間には1年間に読む適切な量というのがなんとなく決まっているのかもしれないな、なんてことを感じます。 さて、1冊目。(ちなみに、本の紹介の順番には特に意味はありません) 2020年最初に読んだ本。障害、排除、介護など多岐にわたる問題が扱われているが、全編を通して読むと、「家族」というテーマ

哲学者と切実さを共有することーー『はじめてのスピノザ』を読んで

哲学というと難解なイメージがつきまとう。 難しい概念がたくさん出てきて、何を言っているのかが理解できない。 私自身も難解さに挫折を繰り返してきたが、それでも哲学が好きだ。 なぜだろうか。 それは哲学者の切実さを感じるからだ。 文章を書くのは大変な作業である。それも膨大な量の文章となるとなおさらだ。 哲学書というのは一つの構築物である。その壮大な構築物を前にすると、これを作り上げた苦労と、それを突き動かした切実さを思う。 哲学を難解だと感じてしまうのは、その切実さ

人への共感に満ちた洞察: 平田オリザ 『わかりあえないことから』

コミュニケーションは難しいものだ。そう感じている人は多い。そこには、本当はわかりあえるはずだという前提がある。本書は「わかりあうこと」を重視する風潮へのアンチテーゼから出発する。そして、どんな態度でコミュニケーションと向き合えばよいかを明確に示す。 本書では、演劇の授業での著者の経験も踏まえ、コミュニケーションに関わる微妙なニュアンスや状況が的確に述べられている。コミュニケーションに関わる議論は抽象的になりがちだが、記述は具体的で深い洞察に満ちている。 コミュニケーション

対話のメディアとしての技法: 堀公俊/加藤彰 『ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法』

会議やワークショップに活用できるグラフィックスが、具体的な実例とともに多数掲載されている。 この本自体は具体的な事例を提示しながら会議やワークショップをグラフィカルに描きながらファシリテーションしていく方法について述べている。事例の数も多く、誰でも使える簡易さがあります。友人や知人で読んでいる人も少なくない。 本書ではホワイト・ボードに描いていくということは「上手い下手ではないんだ」というメッセージが語られる。その視点は「対話を促進させるきっかけけを生み出すのは、他の誰か