人への共感に満ちた洞察: 平田オリザ 『わかりあえないことから』
コミュニケーションは難しいものだ。そう感じている人は多い。そこには、本当はわかりあえるはずだという前提がある。本書は「わかりあうこと」を重視する風潮へのアンチテーゼから出発する。そして、どんな態度でコミュニケーションと向き合えばよいかを明確に示す。
本書では、演劇の授業での著者の経験も踏まえ、コミュニケーションに関わる微妙なニュアンスや状況が的確に述べられている。コミュニケーションに関わる議論は抽象的になりがちだが、記述は具体的で深い洞察に満ちている。
コミュニケーション