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一句鑑賞

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所属する結社誌で発表した句の鑑賞文。
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記事一覧

鑑賞*北江・耕・紫乃の歩めば蜻蛉生る 

秋山巳之流 句集『うたげ』所収。二〇〇三年 北溟社。  昭和十六年岡山県倉敷市に生まれ。…

岡田耕
3日前
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鑑賞*眼裏に消えぬ波音鑑真忌 

佐野 聰 「雨音にまじる波音鑑真忌」の続編。 渡航に五度失敗し、六度目にようやく日本に到…

岡田耕
1か月前
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鑑賞*初夏や歩幅を刻む鼓笛隊

佐野 聰 遠くから鼓笛隊の笛と太鼓の音がする。 青い空とさわやかな風が待ちに待った夏の到…

岡田耕
2か月前
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鑑賞*連れ立つて巣箱見にくる四十雀

佐野 聰 四十雀の夫婦の新居探し。 間取りは?日当たりは?セキュリティは?周辺施設は?内…

岡田耕
3か月前
137

鑑賞*ひとひらを波の届ける桜貝(拡大版)

佐野 聰 鎌倉の由比ガ浜海岸は、桜貝が拾える場所の一つ。 由比ガ浜の桜貝は、江戸時代の浮…

岡田耕
3か月前
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鑑賞*合格子のまた戻り来し掲示板

藤本秀峰 1934年 大阪府生まれ。1991年「扉」(主宰 土生重次)に創刊参加。句集に『寒の水』…

岡田耕
4か月前
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鑑賞*ひとひらを波の届ける桜貝

佐野 聰 由比ガ浜の桜貝は、今ではなかなか拾えない。 潮の満ち引きや風向き、海流によって、波が気まぐれに運んできてくれる。拾いに行っても出会えるとは限らない。 ひとひらでも見つければ、それは波からの最高のプレゼント。 (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』令和五年九月号) ☆その桜貝、たくさん拾えたという kind_australia さんの記事です。いいなあ。

鑑賞*嫁入りの頃を語りぬ雛の前

松浦 加古 句集『探梅』所収。平成二十四年作。 「お母さんがこの家にお嫁に来たときはねぇ・…

岡田耕
4か月前
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鑑賞*太陽へかぶせるごとく布団干す

辻前 玲子 布団を二つ折りに内側を肩に担いでベランダに出る。 湿って重いので、そのまま持ち…

岡田耕
5か月前
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鑑賞*凍星の三つ四つほかは数えざる

山本 一歩 句集『春の山』所収。 オリオン座の左上の赤い星が「ベテルギウス」。 オリオン座…

岡田耕
5か月前
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鑑賞*喪中にて冬の小鳥をしばし追ふ

松浦 加古 句集『探梅』所収。平成二十四年作。 喪中とは、死者のことを思い、しのぶ期間。 …

岡田耕
5か月前
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鑑賞*大寒の朝のいのちを確かむる

和田華凛 平成二十九年~令和元年作。『月華』所収。 寒い、寒い、誰か助けてくれ。 このまま…

岡田耕
6か月前
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鑑賞*冬帽の反り身で撮りしエッフェル塔

吉田 富枝 平成4年「扉」入会。平成19年「風友」創刊同人。 平成21年 句集『半夏生』上梓。…

岡田耕
6か月前
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鑑賞*田作りの眼の一粒を噛み当てる

安藤馬城生 大正十年大分県宇佐市生まれ。平成三年「扉」(主宰 土生重次)創刊参加。句集に『島ことば』『風の礫』。 句は平成五年作。『島ことば』所収。 田作りとは、いわしを田畑の肥料として撒いたところ、豊作になったことによる。 「豊年豊作」や「子孫繁栄」の意味があるという。 そんな思いで噛みしめていたら、がりっとした歯ごたえが。 それもまたお目出度い響き。 (岡田 耕)