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相沢沙呼「ギガくらりの殺人」があまりにポンコツだからみんな読んで!そしてキレて!

『紙魚の手帖』の倒叙ミステリ特集の、相沢沙呼さんと倉知淳さんの短編が「ちょっと目が覚めるくらいクソつまんないから読んでみて!!!」と周囲で評判だったので、クソつまんないミステリ短編を読んで暴れるのが大好きで15年火村シリーズの追っかけをやってる身として浮足立って買いに走った。

いやいやいや、想像以上にヤバかった!すごいよこれ。みんな絶対読んだ方が良い。

はい、こっからネタバレしかしないからまだ読んでない子は早くアマゾンでポチって読んで苦しんでから来てね~~~~~~


まずは相沢さんの「ギガくらりの殺人」。城塚翡翠もの。

最初に断っておくと、私はぜんぜん『invert』擁護派。特に1話目は、城塚のキャラと相性の良い犯人造形と、「何を見逃していたのか」という小ネタから、被害者との明示されない関係性と犯人の独善性が浮かび上がる巧みさが凄く良かった。
最後に派手などんでん返しがあって読後感が良いからみんな面白かったように錯覚してるけど、『medium』の各短編って、そのどんでん返しに向けた手がかりの置き方とかの仕込みが上手くないから「初読は『なんか余詰め甘くない?』『伏線っぽく出てきて回収されない要素多くない?』とモヤモヤした気分で〈60%分くらいの完成度でお出しされた短編〉を我慢して読み進めることになる」問題があってさぁ……。つまんない短編を3話読まされる苦痛にサプライズが釣り合ってない。だったらそれぞれ独立した短編がそこそこの出来の『invert』の方が良いよ。目を覚ましてくれ。

長くなった。「ギガくらり」ね。

酷い。すべての要素がちぐはぐで、グラッグラ。
まず、犯人は自分と同じマンションに住んでいる(自分を追いかけて越してきた)愛人の部屋で、「探し物ゲーム」のさなかに愛人を誤って死なせてしまう。
で、自分が急に絨毯を引っ張ったせいで転んでテーブルの角に頭ぶっつけて死んだ愛人を見て犯人は考えるんだよ。「そうだ、強盗と鉢合わせして揉み合いになった的な感じに現場を偽装しよう!」
……なんで???
だって、何もしなくたって「絨毯で滑って転んでテーブルの角に頭をぶつけて死んだ死体」が完成してるんだよ?普通に自分がいた形跡だけ始末して事故で良くない?強殺ってことにしちゃうと警察がしっかり捜査しちゃうよ?
いや、そりゃコロンボとか古畑とかその他先行作にも強盗の仕業に見せかけるってプロットは何作もあるよ?でもさ、大体そういうのって「殺す動機が明白すぎるから、行きずりの犯行に見せかける必要があった」みたいな説明がされるし、計画犯なのよ。スケープゴートを決めてそいつのアリバイ奪ったりとかね。その場しのぎで「泥棒の仕業だと思ってくれたら良いな~」は能天気すぎる。

「まあ、犯人がザコすぎるのはそういう設定ってことなんじゃない?」って?
違うんだよ!「犯人がザコの倒叙」なんて書くなって話なんだよ!!

『invert』でも気になったんだけど、作者の「探偵上げ犯人下げ」がしつこすぎて興ざめするんだよね。当たり前なんだけど、探偵を持ち上げたいんだったら、読者が「こいつはなかなか強敵だぞ。勝てるの?」って思うような犯人を出した上で勝たせてこそ凄さが引き立つってもんだし、犯人を翻弄する探偵の怖さを描きたいんだとしても、「犯人の対策は万全だと読者も納得した上で、それでも犯人が上回って来るから予想を裏切られて怖い」はずじゃん。
前者はスポーツ漫画とか格闘漫画の、後者はパニック映画の文法って言えば良いのかな。

ザコの犯人出してきて「いやーこんなしょぼい犯人、城塚ちゃんにかかったら一ひねりですよ~」ってやって、それの何が面白いんだよ??????
悪いやつがノンストレスですぐ成敗される、スカッとジャパン的なことをしたいわけ?
するなよ倒叙ミステリでスカッとジャパン的なことを。

で、そんなザコの犯人が逃げた後、翌日になって死体が発見されて捜査が始まるんですが。
……あの、被害者って一人暮らしのキャバ嬢なんですよ。
犯人が通報したわけでもない、部屋のドアが開けっぱなしで死体がこんにちはしてたってこともないだろうに、死体も腐ってないうちにどうやって事件が発覚したのか分からない。第一発見者とか出てこないんですよ。一日くらい無断欠勤したからって同僚が「様子見に行ってこい」とか言われるような業種でもないと思うし……。
死体発見時の状況が一切出てこない。こういう、細かい説明不足が無数にある。
バカが倒叙を書くと油断するんですよ。フーダニットとかハウダニットの「余詰め」を気にしなくて良くなると思っちゃうんでしょうね。

で、城塚さんと刑事たちがうだうだ別に面白くもないやり取りをして捜査に乗り出すわけなんですが。
やっぱり、城塚のキャラってどんどんおかしなことになってるんですよ。
まあまあまあ。なんかいにしえのエロゲの出来損ないみたいで、パロディにしても古臭い感じがして、よく知りもしないで「こういうのがあるあるなんでしょ?」とオタクカルチャーを上から馬鹿にしてるような鼻持ちならなさを感じるのは置いといて。置いといてですよ。
『medium』では、このしょうもないゼロ年代の生き残りみたいなキャラは「ああいう気持ち悪い男は、きっとこういう気持ち悪い女を好きになるだろう」って計算でやってたんですよー、で成立してると思うんですよ。
これが『invert』になるとちょっとおかしくなってきて、「犯人を油断させ引っかけるための方策」のはずが、二話では年嵩の女性教師の前でも同じキャラで現れて、最初はやや嫌われたりする。そうなると捜査の足かせなのでは?と思っちゃう。
そして今回は、堂々「警察の前でも同じキャラ」で登場することになる。そうなるともう訳が分からない。ただ、趣味でイタイ人ごっこをやってるイタイ人ですよ。犯人の前以外では普通でいろよ。……もしかして「いつか警察の誰かが犯人になるかもしれないから整合性取るために捜査中もこのキャラで居よう」っていう迂遠なリスクマネジメント?
『medium』から続編を重ねていくなら、本当なら「目星をつけた容疑者にとって、〈一番親しみを持たれ、侮られやすい〉のはどんなキャラか」を推理してそれを毎回演じる「キャラ変探偵」みたいな設定にすべきだったんじゃないかなー……と。

まあ良いんだけどさ。
でもって、捜査状況が分かんない犯人が油断してるところに城塚さん登場。
新採用のバイトとして現れるわけですよ。
正直、「探偵が犯人の元に現れた時のキター感」がしっかり盛り上げられてるのは、城塚シリーズの美点と言って良いと思います。犯人が完全に油断してるところに、犯人がまったく警戒しない形で登場して、読者だけが「あーあ、犯人ロックオンされちゃった」と分かるおかしみと言いますか。

ただね、今回すげーなって思うのは、バイトとして犯人の店に城塚さんが入り込むんですけど、「わざわざ店に入り込む必要がその後の展開上、ひとつもない」んですよ。
凄くないですか???
別に、客としてやって来て世間話として出来るくらいのライト級の雑談しかしませんからねコイツ。

そもそも、犯人の職業やパーソナリティが事件と有機的に結びついてない稚拙さも倒叙としてはキツいところで、びっくりしたんですけど犯人が「コーヒーの淹れ方にはちょっとこだわりがある喫茶店の店長」であることは、マジで犯行にも推理にも1ミリも関係ないんですよ。

だって、犯人がコーヒーにうるさい人間で、事件当夜も現場でコーヒー淹れてて、「良い豆だけどちょっと劣化してるな」みたいな感想呟いてて、後日探偵役が犯人の店に押しかけてくるんだったら、絶対に「犯人のコーヒーへのこだわりが何かの証拠になる」と思うじゃないですか。
ならねえんだな、これが。
例えばさ、犯人と被害者の間で事件の前に「せっかく高い豆を買っても、キャニスターに入れて常温で保管してたら風味は落ちる一方だから、ジップロックとかに入れて冷蔵庫に入れとくと良いんだよ~」みたいなやり取りがあって、現場検証の際に「最近、キャニスターから冷蔵庫に豆が移されたらしい形跡」を見つけた城塚が、犯人のところに出どころを伏せてその豆を持ってきて、犯人に淹れてもらって「うーん、ちょっと酸化しちゃってるね。買ってから四、五日、常温でほったらかしてたでしょ?」って言葉を引き出した上で、「被害者が豆を買ったのは事件の四日前で、殺された時には冷蔵庫に密封されて入ってたのに劣化してるということは、『何日か常温で放置されていた豆を、その後で冷蔵庫に入れた方が良いと被害者にアドバイスした、コーヒーに詳しい人間がいた』ってことじゃないかと思って」みたいな揺さぶり方をする……みたいなくだりがあると思うじゃん。
ないんだな、これが。
ペーパーフィルターがどうのこうのラストで言ってるけど、それは別に誰がコーヒー淹れても同じだからね。

単純に、「今回は翡翠ちゃんが喫茶店でドジっ子ウエイトレスに!?」をやりたかっただけでしょ。やるなとは言わないけど、ミステリとしての緊密さを捨ててまでやるほど面白くはない。

あとコーヒーの淹れ方がどうこうって、確か『medium』にもあったから、たぶん相沢さんがコーヒー好きなんだろうね。好きなら何の意味もなく詰め込んで良いわけじゃねえぞ。

あと、「付着しているかもしれない自分の指紋や皮脂・手汗を誤魔化す」ためにぬいぐるみを水に沈めるなら、盗聴器が云々なんて話を持ち出さずに「丸洗いしようとしていたのでは?」で良いはずなんだよね。デッドストック品の汚いぬいぐるみだったんだし。
「風呂に入ってる時にぬいぐるみを洗おうと思い立ち、デカいので浴槽を使うしかないから一旦、風呂のお湯を抜いて綺麗な水を張った上で、濡れると嫌だから着替えずバスローブのまま洗おうとした」というのはそこまで違和感ないし、……ぬいぐるみで100センチくらいならデカいはデカいけど、風呂に沈めなくても洗濯機でイケそうな気もする。
(同じマンションの二階下に奥さんと住んでて、玄関周りには監視カメラがあるからデカいぬいぐるみを持ち去って処分するのは難しかった……って詰めはちゃんと出来てはいるんだけど)

客商売をしている、かつ女にモテることを自認している人間の割にまったく弁が立たないのよね、この犯人。大して核心に迫ったことを言われたわけでもないのにグズグズ言葉を濁すばかりで話にならない。
でもさ、コロンボ形式の対決型の倒叙って、ここで丁々発止のやり取りで様々な仮説を出しては崩される攻防戦で盛り上げないと、ラストのカタルシスにつながらないのよ。ずーっと劣勢の奴がそのまま負けて何が面白いんだよっていうね。

つまりは、犯人を「描く」気がないんだよね最初から。物語を犯人の立場になって検算するって作業をサボッてるのよ。なぜなら犯人に興味がないから。作者が探偵サイドにしか肩入れしてなくて、探偵の物語に奉仕する存在としか思ってないからこうなるのよ。
でも、犯人を熱を持って書けないんなら倒叙なんて書くべきじゃないんだよね。
『刑事コロンボ』が『新刑事コロンボ』になって面白くなくなった、っていう人は多いけど、アレも同じ。『新』は、あまりにコロンボ=ピーター・フォークが前に出過ぎてる。コロンボの物語になりすぎて、犯人の影が薄くなっちゃった。『コロンボ』は「犯人がコロンボに捕まる話」だったんだけど、『新』は「コロンボが犯人を捕まえる話」になってるんだよね。
同じ現象が、この15年リアルタイムで起こってるのが水谷豊さんと『相棒』ね。反町隆史シーズンの相棒ってもうただの水戸黄門だからね。
書く人に、犯人の側へのシンパシーが一抹でもあってほしい。「正義の側」にしか感情移入できないならそれはあまりに傲慢だよ。

……まあ、「倒叙は犯人の物語であるべきだ」ってのも、一読者としての個人的意見に過ぎないんだけどさ。「犯罪者中心にお話を書いたら、それはノワールとか犯罪小説とかって呼ばれるジャンルになるんじゃないの?」って言われたら駄々をこねる他ない。

「くらりはウサギの帽子をかぶった猫である」ことを、コロンボで言う『黄金のバックル』的、あるいは古畑の『しゃべり過ぎた男』的な詰め手に使うのも弱い、弱すぎる十万石饅頭。

そもそも初見でウサギには見えないだろ、黒猫で白い帽子だから「被ってる」のは分かるし、描き方として目とかしっぽは明らかに猫だし……というのは主観的な話なので置いとくとしても、現場にあったぬいぐるみがレアなのは「巨大だから」ってだけで、「くらり」そのものは現場以外の場所でもいくらでも見ることができるんだから「見たことはあったけど、城塚さんが説明したそうだったから知らないふりをして話を合わせたんだ」と言われたらおしまいなんですよ。
だって「くらり 東京創元社」で画像検索したら一枚目が「帽子を取った公式絵」なんだよ???

こういうのは、「その時、現場で、見た人しか錯覚しない」ものにしなきゃ駄目なんですよ。
・数分間だけ水差しにバラが活けてあったから「花瓶」と思った
・皿の上に煙草が消してあるのを見たから「灰皿」と言ってしまった
・止まってる時計の前を、たまたま針が指してるのとほぼ同じ時刻に通りかかった人だけ「止まってると気づかない」
・ルームサービスで「ざるそば」を頼んだのに間違って「おにぎり」が来てるのを見た外国人の犯人が「おにぎり」を「ざるそば」だと勘違いする

でも、「帽子を取ったくらり」を見るチャンスは誰にでもいくらでもある訳で。

そもそも、このネタを持ってくるんだったらタイトルに「くらり」って入れちゃうのは野暮よね。「ああ、紙魚の手帖に掲載されるからちょっとした小ネタとして入れたのね」って感じでさりげなくくらりのぬいぐるみを出しておいて、それが「えっこれ伏線だったの!?」って派手に効いてくる方が洒落てると思う。毎朝新聞みたいなさ。
そもそも上記のようにどうしたって苦しいネタだから、もっとスパッとした決定的証拠を突き付けられて投降した上での「いつから私のことを疑ってたんですか」パートで出すくらいがちょうど良いんじゃないかな?

あと、被害者の出すなぞなぞがあまりにもしょっぱい、というか納得感に欠けるものだったのも勿体ないよね。変に硬い文章で被害者のニンも出てないし。読者としては、こういうちっちゃいサブ謎解きみたいなのにわくわくさせてほしいじゃない。
「ぬいぐるみの帽子」に行き着くなぞなぞなんていくらでも出せるでしょ。不思議の国のアリスのマッドハッターが~とかさ。あるいは部屋には他にも「本来、帽子をかぶってるキャラクター」のぬいぐるみがいくつもあるんだけど、他のぬいぐるみはみんな帽子を脱がされてて、「この部屋にいっぱいあるはずなのに一個しかないものでーす」みたいなさ。で、「なぞなぞが出題されていたこと」を現場に入ってすぐ城塚さんが気づくとか。(で、犯人は愛人の趣味を心底どうでも良いと思ってたからなかなか気づけないとかね)こういう暗号とかなぞなぞってそれ自体って言うより、解読を通じて作った人と解く人にまつわる人間ドラマが浮かび上がってくるのが楽しいはずなんだからさ。

で、だ。良いのよ良いのよ。名作とされてる作品だって、「えっ、そんなことで降参しちゃうの???諦め良過ぎない???」ってツッコまれてるものなんていくらでもあるんだから。

私が気に食わないのは、「犯人があっさり降参しすぎって読者に突っ込まれないかな?」と不安になったのか、作者がわざわざ城塚さんの口を借りて

「あの程度の秘密の暴露で自供してくれるなんて、刑事ドラマの犯人みたいで拍子抜けでした」

なーんて言わせて「いやいや、ネタが弱いことなんてこっちも承知の上から!これはあえてです!演出です!」って逃げようとしてる小ズルい腰抜け根性の方ですよ。
あのさ。
だから「あえて犯人をザコにしたんです」って言われたら「そんなことしない方が良いよ」でしかないんだってば。ずーっと言ってきたけど。
自作の問題点を分かった上で、「作者は分かってやってますよ」と言うことに何の意味があるんだよ?分かってるなら練り直せよ!それが出来ないんだったら発信者として批判を甘んじて受け入れろよ!!!
手を抜いておいて予防線だけはバッチリ張っておこうっていう客をないがしろにした了見が気に食わねえんだよこっちは。
まずいメシ食わされて、厨房のオッサンに「まずかったですよね?分かってましたよ?」って言われたらもう意味わかんないだろ。テロだよ。

私が今回、この文章をこんな熱量で書いてる理由はここに尽きる。
いつか相沢さんの目に入れば良いと思う。あなたの予防線は無駄だったよ。こんなにブチ切れてる奴いるよ。ってね。
そういえば『硝子の塔の殺人』で知念さんも同じことやってたね。確か松本人志さんも映画で似たようなことして宇多丸さんがタマフルでキレてた。
聞こえなくて良い悪口が聞こえてきちゃうネット時代の宿痾なんだろうかね。批判されるのが怖いから予防線ばっか張るようになる。

ラストで取ってつけたようにコーヒーを淹れる者の矜持みたいなの出してきたのも「こういうのが倒叙ミステリっぽいんでしょ?」って侮りを感じて不快だったなぁ……
客のことも倒叙のことも舐め腐ってるのよ本当。

あとそうだ。驚愕したのが「被害者が隠していたもの」の種明かしね。
普通さ、「結婚記念日を前になくしたら困るものです」「浮気の最中は財布の中に入れておきます」「浮気相手が嫉妬から隠すものです」って並べられたら読者は「ああ、結婚指輪か」ってなるじゃん。で、だからこそ「あっ、これは犯人は結婚指輪だと思い込むんだけど実はぜんぜん違うもので、それが現場から見つかって物証になるパターンだ」って思って、それが一体何なのか推理しながら読み進めていくと思うのよ。思う、って言うか私がそうだったんだけど。

普通にそのまま結婚指輪でしたってどういうことなんだよ!!??!?!??

裏の裏をかいて?いやかくなよ。単に「そのまんまでつまんないオチ」になっちゃってるって。
それとも、読者が結婚指輪だと気づかないって思って書いてる?「紙魚の手帖」って童貞の中学生しか読んでないと思ってるの????いや童貞でも分かるぞたぶん???????

あと、じゃあ絨毯のふくらみは結局なんだったんだよ!!!!ってのもある。

ずぶ濡れのところを歩いたから靴下と靴に被害者の使ってたシャンプーやバスソルトが……ってのもあまりにもしょっぱい。地味。しょうもない。
町田暁雄さんの本で紹介されてた、新コロンボの「完全犯罪の誤算」のボツ案が元ネタなのかな?
そもそもフィルターの指紋含め、物証があるならわざわざ城塚さんが出向く必要が一つもない(証拠がないから実際に犯人に会いに行って喋る中で手がかりや矛盾を拾ったり罠を張ったりするわけで)んじゃないかって言うね。
この話なんだったのよ?ってことになっちゃう。致命傷よ。
「最初っから物証が上がってて詰んでるのに馬鹿だね」って話にしたいなら、犯人はこんなおどおどしたザコじゃなくて、自分の犯行に絶対の自信をもっていて堂々論戦してくるような奴の方が良いと思うし。そうするとinvertの最後の話と被っちゃうんだけど。

これ、信じがたいのが相沢さんの本誌での扱いでさ、表紙の名前の並び順だと筆頭で、作品の掲載順だとトリなんですよ。
つまり一番優遇されてるわけ。ってことはだよ、東京創元社はコレを「倒叙ミステリの最前線」(今回の特集名)だと思ってる可能性があるってことだよ。
おわりでーす。
中止でーす中止。なにが?全部。ワッ!

これはさ、編集サイドの問題だと思うよ。ちゃんと言ってあげなきゃ。根底からガッタガタですよって。差し戻さなきゃ。顔洗って出直してこいって。それが作家さんと作品を守るってことだよ。
相沢さんが可哀想だよ、こんな駄作を世に公開されてさ。こんな知らない奴に延々8000字もかけてnoteでDisられてんだよ?

もう書いてるうちに夜が明けちゃったよ!!!倉知さんについてはまた次回!!!!!

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