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Core BluetoothでLE Audioが来る前に備えておく


現状のCore Bluetoothでできること

現在、Core Bluetoothでできることは基本的にBluetooth Low Energy(BLE)に限定されており、GATT通信やP2P通信に加え、iBeaconを活用したビーコン通信がサポートされています。
ただiOS13.0でCBConnectPeripheralOptionEnableTransportBridgingKeyを使用することで、本来設定から接続するBluetooth Classicにも接続することが可能となっています。

条件はあるものの、このあたりは以下の動画を見るととても参考になります。

LE Audioとは

Bluetooth SIGで次世代のBluetooth® Audioというように紹介されています。

20年にわたるイノベーションを基に、LE AudioはBluetooth オーディオのパフォーマンスを強化し、補聴器のサポートを追加します。また、AuracastTM ブロードキャストオーディオを導入し、オーディオ体験や周囲の世界とのつながり方を再び変える可能性を持つ革新的な新しい使用例として、Bluetooth を発表します。

https://www.bluetooth.com/ja-jp/learn-about-bluetooth/feature-enhancements/le-audio/

つまりLE Audioは、BLEをベースにした次世代のオーディオ技術で、これまでのBluetooth Classic Audioを大きく進化させたものです。

備えておくと良さそうな知識

特徴としては以下の3点がありますので一旦その3点を押さえておくと良さそうなのでまとめておきます。

  • LC3コーデック(Low Complexity Communication Codec)
    新しいオーディオコーデックであり、従来のコーデックよりも低消費電力でありながら高音質な音声伝送を実現してます。これにより、より長時間のオーディオ利用が可能となります。

  • Multi Stream Audio
    現在のBluetoothオーディオ(A2DP)では、スマホなどのソースデバイスから片方のイヤホン(マスター)にのみ音声を送信し、その後マスターがもう片方のイヤホン(スレーブ)に音声を転送していますがこの構造は少し課題もあります。その課題を克服し、複数のオーディオストリームを同時に扱える機能がこのMulti Stream Audio機能です。
    この機能では左右のワイヤレスイヤホンでそれぞれ独立したオーディオストリームを受信することが可能になります。これにより、よりシームレスで立体的な音声体験を提供することができます。
    そのユースケースとして低消費電力、高品質に加えて、Multi Stream機能を搭載したことで補聴器にも対応していることも紹介されています。

  • Broadcastオーディオ
    一つの音声ソースを複数の受信機に同時にブロードキャストする機能です。これにより、公共空間でのオーディオガイドやパーソナルなシェアリング体験が実現し、アクセシビリティの向上にも寄与します。
    この機能をAuracastと名付けていて、例えば一人の司会者が話し、多数の参加者がさまざまなイヤホンなどを通して、様々な言語に変換して聴くことも可能となります。

これらの特徴によって、従来のオーディオ体験がより柔軟で、個人や公共の場など多くの利用と幅広く適用されることが期待されます。
ただ、現時点ではApple製品においてLE Audioに対応しているものはありません。これはおそらくオーディオコーデックの問題が関連しており、現時点で使用されているLC3コーデックがSBC(Subband Codec)をベースにした技術と比較されることが多いため、Apple製品の現状の設計や仕様とは異なるアプローチが取られている可能性があります。
Apple製品が主に採用しているAAC(Advanced Audio Codec)との互換性や性能を考慮すると、AppleがLE Audio対応を進める際には独自のオーディオコーデックの開発や最適化を行う可能性もあります。このあたりはさらなる調査が必要ですが、今後の動向に注目したいポイントです。追って新たな情報が得られ次第、記事に追記していきたいと思います。

Core BluetoothでLE Audioが使えると何が嬉しいのかor期待すること

現時点ではAudio関連のデバイスとの接続は冒頭で記載した通り、Peripheraの対応も必要ですがCBConnectPeripheralOptionEnableTransportBridgingKeyを使用することで接続はできますが、操作などはできません。おそらくCore BluetoothでLE Audioがサポートされると接続体験や操作などからアプリ側で実装可能になるのではと思います。
例えば、複数のオーディオストリームをアプリ内で制御することで、音楽や音声コンテンツのパーソナライズや、複数デバイス間での音声データの同期を簡単に行えることができたり、LE Audioのブロードキャスト機能を利用すれば、ユーザー同士で音声をリアルタイムで共有したり、公共の場での音声配信をアプリから簡単に操作できる可能性が生まれます。
このような進展は、特に音声アシスタントや音声ガイドを伴うアプリにおいては、リアルタイムのオーディオストリーミングの効率的な活用や、新しい音声ベースのサービスの提供を促進し、LE AudioがCore Bluetoothに統合されることで、アプリ開発の可能性が大きく広がり、これまで実現が難しかったユースケースが次々に開拓されていくことが期待されます。

最後に

LE Audioの登場により、Bluetoothのオーディオ体験が新しいステージへと進むことが期待されます。
これまでCore Bluetoothを用いたBLEデバイスとの接続は、基本的なデータ通信や簡単なインタラクションに限定されていましたが、LE Audioの導入によって、これまでにない高品質な音声体験やマルチデバイスでの音声操作が可能になるかもしれませんね。

開発者としては、LE AudioがCore Bluetoothを通じてどのように活用できるようになるのか、今後の動向を注視しながら、新しいアプリ体験を設計する準備を進めておきたいと感じました。
特に、低消費電力での高品質なオーディオストリーミングやマルチストリーム機能、ブロードキャスト機能の活用により、従来の枠にとらわれない新しいオーディオアプリケーションが生まれる可能性があるので。
最後にLE Audio対応の進展が市場やデバイスにどのような影響を与えるのか引き続きチェックしつつ、アプリケーション開発の未来を広げていくことで、新しい体験をユーザーに届ける準備をしておきたいと思いました!


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oka.yuji
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