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喧嘩、ストレスを減らす方法

老齢の父と母は二人で生活している。ここのところお互いのコミュニケーションがうまく取れず、いらいらしているらしい。それは母の耳がかなり遠くなったこと、父も母もこれまでの「自分のやり方」を変えられないことなど要因はさまざまだが、それぞれの言い分を聞いていると、「男脳」「女脳」のぶつかり合いだんだなあと感じることが多い*。離れて住む私がなんとかならないかなあと考えて、「ほら、同じ会話でもこんなに変わるでしょ」というのを見せようとしたのだが、そもそも私自身はこれを本当にできているのか?と自問自答を始めたら、なんだか偉そうに親に言えないような気がしてきた。でも、本当に変わる。(1)(2)と(3)(4)はそれぞれ同じような設定だが、「相手の言うことに賛同できなくてもとりあえずは受け止める」(太字)だけでこんなに変わるんだよなあ、というのを実感した次第である。

(1)
A: 今日の晩御飯なあに?

B: さんま。

A: えー、さんま?ハンバーグがよかったな。

B: なら食べなくていいよ((`A´))。

(2)
A: 今日の晩御飯なあに?

B: さんま。

A: そうか。さんまなんだ。秋だもんね。

B: うん。

A: あのさ、明日は?

B: まだ考え中。

A: じゃあ、ハンバーグ作ってくれる?

B: いいよ♪

(3)
A: はさみがないんだけど。知らない?

B: 知らない。

A: この机のうえに置いたはずなのに。今日来た●●さんが持っていったんじゃないかしら。

B: そんなことあるわけないよ。●●さんはちゃんとした人なんだから、そんなこと言うな。それに、はさみなんか持っていくわけないじゃないか。

A: そんなこと言っても今これを切りたいのに。はさみがないから切れない!

B: 他のはさみ使えばいいじゃないか。もう一つくらいどこかにあるだろ。

A: なんでそんなこと言うの?!

(4)
A: はさみがないんだけど。

B: はさみがないの

A: この机のうえに置いたはずなのに。今日来た●●さんが持っていったんじゃないかしら。

B: この机のうえに置いたんだね。どうしたのかな。今、切りたいものがあるの?

A: これを切りたいの。

B: じゃあ、いっしょ探そうか。もしかしたら他の部屋に持っていったかもしれないから見てみるね。

A: 私は引き出しの中を探すわ。

(15分後)

A: ない、、、やっぱり●●さんが持っていったんじゃないかしら。

B: そうかな。●●さんが持っていったのかな

A: きっとそうだわ。

B: じゃあ、こんど●●さんに聞いてみようか。今日は別のはさみを使おう。


 お年寄りの世話をしている方にはピンとくると思うが、母は何か物がなくなったと言ってはヘルパーさんを疑い、父は「常識的な判断として」そんなことはあり得ない、といって母を叱る、という会話がしばしば繰り返されている。母はまず、父にちゃんと話を受け止めてほしいんだけどな、というのをどうしたらわかってもらえるのか。道のりは遠い。あ、でもうちの家族にもわかってほしいな、、、

*黒川伊保子「キレる女懲りない男-男と女の脳化学-」(ちくま新書)

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