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水【インタビュー#1】 『私の大切な言葉』vol.1・1 by Y.Kさん
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第一回目は、「私の大切な言葉」について。
新しい季節は、一人一人に「新しい出会い」を連れてきます。そして、その出会いによって私たちは、新しい「言葉との出会い」をしているでしょう。
人の人生には、それぞれに言葉との出会いがあり、想いや願いがあると思います。私は、今回「言葉との出会い」に焦点を置き、人それぞれにどのような言葉との出会いがあるのか、どのようにして受け手がその言葉に対し意識をするのか、インタビュー形式でのお話しを通じて考えてみることにしました。
そこで、この企画には、私と交友関係のある四名の方にお話を伺いました。
今回vol.1・1では、筆者と学部時代の同期であり、現在 版画制作をされているY.Kさんに取材をしました。Y.Kさんにとっての「大切な言葉」との出会いやエピソード、そして「版画」との出会いについても伺いました。
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_______今回のテーマは「言葉」ですが、普段から「言葉」には敏感ですか?
「自分に響いた言葉」しかあんまり敏感じゃないかもしれません。
______「響く」とは?
自分の人生経験と照らし合わせた時に、「これ私も思ったことある」だったり、「この価値観は持ってなかったな」みたいな、新しい発見をしたり。
______なるほど。「共感」や「新しい発見」?
そうそう。でも、一年後とかにその言葉を覚えているかと言われたらそうでもなくて。
_______その瞬間での感覚的なものなんですね。では、そんなYさんにとって、いまも心に残っている「大切な言葉」は何ですか?
とあるゲームの中の言葉なんだけど、「キミは何がしたい?」っていう言葉です。
_______「キミは何がしたい?」。その言葉に出会ったきっかけは?
高校の友達がハマっていたゲームを始めたのがきっかけでした。ずっと勧められていたんですけど、受験もあったし何となく今はいいかなって思ってたんです。でも、それからしばらく経って暇だし始めてみるかってすごい軽い気持ちで始めて。
そしたら、この言葉に出会いました。ストーリーを進めていくうちに、ある場面で登場人物が主人公の女の子に投げかけたのが「キミは何がしたい?」でした。なんか、それが刺さっちゃって。
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_______その言葉を得て、Yさんのなかで何か気持ちの変化などはありましたか?
ずっと私は美術部で絵を描いてて、油絵をやってたんです。でも、油絵って「自分の内面を表現する」っていうか、「内面の全部をさらけだす」みたいな、すごいそういうイメージがあって。
でも、それがすごく苦手だったんです。自分の内面を出すっていうことが。私がいまやってること(版画)は、「模様を作る」っていう自分の気持ちを表現するっていうのとはまた別の感覚で。
だから、(当時は)自分は何がしたいのかなって。美術部にいるけど、これが自分のやりたいことなのかなっていう思いがずっとあって。そんなときに「キミは何がしたい?」って言われて「あ。自分は何がしたいんだろう。」って改めて考えました。
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_______その言葉との出会いが受験のあとというと、すでに美術部で三年間を過ごしてきたタイミングだったんですね。これまでのモヤモヤしていた自分に言われた言葉のように思えますね。その言葉と出会い、次は何がしたいかを考え始めたのでしょうか?
その時はまだ何となく「自分、何がしたいのかちょっとよくわかんないなぁ」という気持ちでした。まだそんな探してみようみたいな気持ちはなくて。大学に入ってからも一年間はずっとそんな感じで、周りのみんながすごい作品作ったりとか自分のこと表現してるのに、なんか自分は何やってるんだろう、みたいな感じで。
_______そうした時期があった中で、いまは版画を制作されていると思います。版画との出会いは?
通っていた高校のプログラムで、2年生のときかな、大学の先生を呼んで体験授業があったんです。そこで来たのが、K先生(現在Yさんが所属している版画研究室の教授)でした。
_______すごい!今教わっている先生のことは以前から知っていたんですね。
そう、実は知っていて。そこでちょっと版画をやったんです。でもその時は版画自体にあまり興味は湧きませんでした。でもそのあと、高校でシルクスクリーン(※)でTシャツを作ろうみたいな授業があって、そのときにシルクスクリーン楽しいってなって。そんなことがあってから、大学で再び版画のワークショップでK先生とのつながりが生まれました。
※シルクスクリーン=版画技法の一つ。
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_______Yさんの中で蓄積されたそれぞれの版画体験が、いまこうして繋がったのでしょうね。大学ではK先生と再会を果たしてお互いはどんな反応をしたのでしょう?
「お」ってなりました。私はこの大学の先生だって知っていたけど、先生は最初気づいてなくて。なにかでお話した時に、自分の高校の名前いったら「あ、もしかして」っていう感じになって。
それから一年生の秋学期に版画研究室の授業があったんですけど、それがシルクスクリーンでした。そこで「あ。」って思って。先生からもやってみる?って言われて始めたのが、版画にちゃんと触れたきっかけになるのかな。
_______では、K先生の存在が意外と大きかったんですね。
そうそう。そうだね。なんか前から経験してて自分は意識してなかったんだけど、その秋学期のときに「あ、楽しいかも」って実感できました。
_______そうだったんですね。では、言葉の話に戻ります。「キミは何がしたい?」という言葉との出会いは、Yさんの現在になにか影響していることはありますか?
行動に移すときは、この言葉が意識下にある気がします。自分は何がしたいのかなっていうのをまず考えて、やってみる。「自分が何をしたいのか」っていうのが行動する上で大事だっていうことを、この言葉で気がつきました。人に自分が強制されてやるとかじゃなくて「自分がやりたいか、やりたくないか」そういう基準を持てたっていうのが大きいかな。
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______この言葉は、”その時”に出会えてよかったと思いますか?
ほんとにそう思う。多分もう少しこの言葉に出会うのが前だったら、そんなに響いてなかった気がする。
_______受験で不安もある時期に、改めて「今の自分は何がしたいんだろう」と思えたのですね。
時期も重要だなって思います。
_______それでは、最後に「言葉との出会い」とはどんなことだと思いますか?
私個人の感覚としては、自分の経験とのマッチ。だから、「共感」かな。
_______「言葉と出会う」には、その言葉に「共感できる自分がいるかどうか」が関係しているんですね。本日はお話いただきありがとうございました!
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「キミは何がしたい?」 Yさんの大切な言葉
高校の美術部時代、油絵で表現することに葛藤を抱えていたYさん。そんなときゲームの中で主人公が言われていた「キミは何がしたい?」という言葉に当時の自分自身を重ねたと語ってくれました。今でもその言葉のように、自分自身がしたいことを見つめて選ぶことを大切にされているYさんは、言葉との出会い、先生との出会いを通じて、現在は自分が本当に好きで続けられる版画の技法で作品制作を続けています。
【Y.Kさんの版画作品】
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水【インタビューvol.1・1】「私の大切な言葉」
取材協力:Y.Kさん
企画・取材・撮影・編集:岡本彩江
次回は、4月12日(月)更新予定。人を楽しませることが大好きなある方を取材しました。ぜひ、ご覧ください。
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