水【インタビュー#2】『私の大切な言葉』 vol1・2by ひかりさん
今回は、『私の大切な言葉』vol.1・2です。
第二回目のゲストは、ひかりさん。
ひかりさんは、筆者の学部時代からの同期で現在も同じ大学院で共に学んでいる友人です。主に「美術教育」を専門に研究されています。
いつでも柔らかく優しい雰囲気のひかりさんの「大切な言葉」とは?
言葉との出会いのきっかけや、部活時代のエピソード、「大切な言葉」を通じた自身の意識の変化ついてお話ししていただきました。
さぁ、ひかりさんの「私の大切な言葉」を聞きに行こう!
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_______今回のテーマは「言葉」ですが、普段から言葉には敏感ですか?
どうだろう。キャッチする、響く、ってことか。響くけど、あんまりメモしてないなってこの機会を通して感じた。染みるときはあるかも。
________さっそくお聞きしたいと思いますが、あなたの「大切な言葉」は何ですか?
いい答えっていうか、求めているようなものじゃないかもしれないけど、考えていてこれかなって思ったのは、「笑顔」。物を持ってきたの。それが有ったほうが話しやすい。
_______なんでしょう。袋に入った、手紙?
はい。この袋には、「お守り」って書いてあるんだけど。(小袋から小さく畳まれた紙を出して)
_______しわしわの紙がでてきた!
そう。(紙を開いて、文字を見せる)
________”ほら、笑顔になれ!!ひかりなら勝てる!!!”
中学校のときにテニスをしていて、勝てない時期があって。その時に、コーチのお母さんが結構テニスの試合を見にきてくださる方で、Aさんっていうんだけど。そのAさんに「遠くから見てても元気がないのがわかる」って言われたの。
そのとき、やっぱりいつでも元気を出すことは大事だなって。テニスって結構、メンタルスポーツなの。気持ちが下がっちゃうとどんどん下がっていっちゃうから、気持ちを明るく保つためにはどうしたらいいんだろうって考えてました。
そのときに、なにも嬉しいことがなくても、ミスをしても、口角をこうやって(口角を上げながら)無理やりにでも上げると気持ちがなんか楽になったり、どうでもいいや、今のポイント失ってもどうでもいいやって思えるようになって。
だから、ラケットのグリップ(持ち手)とかに、「笑顔」って書いててそれを毎ポイント毎ポイント見てたりして(笑)。
________すごい!常に言葉が寄り添っていたんですね。
うん。そこから気持ちが常に一定っていうか、いい方向に持っていけるようになって。それで勝てたりとか。この紙の説明をすると、これは自分を戒めるために自分で書いたの。それで、これを後輩に持たせて(笑)。自分の応援歌もつくって、コートの外でこれを後輩に持ってもらって「ひかり先輩ファイト!」って声をかけてもらってました。
______すごい!!後輩も応援したくて。
そうだね。それで、高校の時もその精神は忘れずに。対戦相手が自分でミスったのに、笑顔でいるとちょっと怖いじゃん。失敗したのに(ニヤ…)って笑ってると(笑)。だから、そういう人になろうと思って。「怖いな」とか「意味わかんないな、この人」って。「ミスしたのに笑ってるよ!」って。
_______変な人ですね(笑)。
そうそうそう(笑)。変な人だったの(笑)。
_______言葉を持つことで、明るく、変な人になったりして気持ちを保っていたんですね。
そう。シャトルランの時とかも笑ってたの(笑)。後半になってくるとさ、辛いのね。でも、どうしても最高記録を出したいから笑顔を作って。不気味な人でした(笑)。
_______そのような心の安定を保つ解決策は、コーチによって気がついたのですか?
やっぱりそのAさんがきっかけにはなってたんだけど、結局は自分で気づいたのかな。
_______「笑顔」という言葉は、ひかりさんにとってどのようなものですか?
「魔法」みたいな感じ。魔法って言ったらあれだけど(笑)。なんていうんだろう、「おまじない」というか、「お守り」というか。
_______「お守り」。小袋にも書いてありましたね。
そうそう。ラケットケースに入れて持ち歩いてたから。
_______「笑顔」を意識していたから辛い時を乗り越えられていたんですね。素敵なお話ありがとうございます。最後に、ひかりさんにとって「言葉との出会い」とはどういうことだと思いますか?
「自分の支え」になっているもの。
______ひかりさんはいつも笑顔というイメージです。だから今回のお話で、昔のそういった訓練からの賜物だったんだと思いました。今では自然体になるほど。
自分ではよくわからないけどね、自分のこと(笑)。テニスしてなかったりしたら絶対意識してなかったと思うし、出会わなかったら今もね、またちょっと違ったのかもしれないし。でも最近は、この言葉にもパワーを感じないかも(笑)。
______そうですか。その言葉は、何かに打ち込んでいる時に発揮するおまじないなのでしょうか?
そうなんだよねぇ。だから今見ると羨ましい、すごく。なんか…熱くなれるものがあるわけだから。
______いつか辛くなった時にその言葉を見て、また支えになる日がくるかもしれませんね。
そうだね。当時のエネルギーを感じるというか、これを見ると。
______その「言葉」以上に、当時の自分の姿とか努力した気持ちが蘇ってきますね。
あぁ、あの時は熱かったなぁ…と(笑)。今はそういうものがないから、見つけたいな。
中学のテニス部時代、コーチのお母さんがきっかけで「笑顔」という言葉を意識しはじめたというひかりさん。それは、不安な気持ちに押しつぶされそうな心を前向きに変えてくれたといいます。あの日々の熱量や輝きを、いまも大切に。そして、この先の自分がもっと夢中になれることを探して。
水【インタビューvol1・2】「私の大切な言葉」
取材協力:ひかりさん
企画・取材・撮影・編集:岡本彩江
次回は、4月19日(月)更新予定。3人目のインタビューです。ぜひ、ご覧ください。
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