化学品のハザードとリスク

化学品のハザードとリスクの話。

人の性格で頑固というものがある。
難しい課題をやり抜く力としてプラス面と評価される。
一方で、他人の意見を頑として聞かないとして煙たがられたりする。
「状況に応じて自分の性格をコントロールしてくれれば、良い人なんだけどなあ」と周りの人は感じてしまう。

こういったことが、化学品でもある。

現在の社会では多くの化学品(化学工業製品)が使われている。
洗濯洗剤、台所洗剤、プラスチック製品、自動車や住宅の内装材、電池、衣類などなど。
これらは望ましい性能(効能)が期待され、使われている。

そんな便利で日常生活に不可欠な化学品であるが、望ましくない性質を潜在的に併せ持つ場合がある。
この潜在的に併せ持つ化学品の望ましくない性質を化学品のハザードという。
化学品のハザードのことを化学品の危険有害性ともいう。

化学品のハザード(危険有害性)は化学品が本来持つもので、望ましい性能(効能)と表裏一体にある。

化学品のハザードには大きく3つが知られている。
火災や爆発の原因となる性質、健康障害の原因となる性質、環境汚染の原因となる性質。

当然、これらの程度は化学品によって異なる。

化学品の有するハザードが顕在化した望ましくない事象を化学品のリスクという。
実際に火災や爆発が起きてしまったり、手についてヒリヒリしたり、水域に漏れたことで川魚が死んだり、といったことだ。

ここで、ちょっと考えてみる。

潜在的なハザードがあったとしても、リスクとしての顕在化は管理状況によって変化することが考えられる。

身近なところで、燃料、つまり、ガソリン、灯油、軽油、重油を例としてイメージすれば分かりやすい。

ガソリン、灯油、軽油、重油は、それぞれ、火災の原因となる潜在的な性質(ハザード)を有し、その程度(ハザードの大きさ)は、ガソリン>>灯油~軽油>重油となる。
しかし、潜在的なハザード(ここでは引火点が指標の1つとなる)に見合った容器を使用し保管条件を適切に管理すれば、火災となること(顕在化するリスク)はない。

化学品は多かれ少なかれ潜在的なハザードを併せ持つ。
そのため、ハザードをゼロにすることは難しい。

しかし、これらの潜在的なハザードは適切に管理されていればリスクとして顕在化することはないか、顕在化しても許容できる範囲におさまる。
こうした考え方に立った化学品の管理を化学品のリスク管理という。
当然ながら、ハザードの見極めや管理内容と手法が重要となる。

事業者において、化学品による事故が多いということで、事業場(作業現場等)での化学品のリスク管理が重要とされている。
事故防止の為にも、事業場での化学品のリスク管理を適切に行うことが必要だ。



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