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情報過多で伝達スピードが速い時代こそ、問題解決は専門家に頼るべき、と思った話。

社会保険労務士のこうぶちです。

ここ数日、雇用調整助成金の記事を書いていますが、先週末タイトルのように感じる出来事がありました。

ある有名な企業の社長がご自身のブログで、雇用調整助成金について触れられていました。休業したら、休業した労働者には60%の90%、すなわち54%が補償される、という内容を書かれていました。

しかし、この説明は「当たらずとも遠からず」なのです。

というのも、この雇用調整助成金によって助成される金額は、「個々人に支払われた休業手当の金額の60%」ではないのです。

正確には、

1)会社が昨年6月に治めた「労働保険料」の金額

2)雇用保険に加入している方の人数

3)休業協定に定めた休業手当の算出方法(暦日または所定労働日数)

この3つで「この会社の一人当たりの平均的な賃金額」を算出し、その額の90%が支給されるのです。

さらに、助成される額には、1人1日あたり8,330円の上限額があります。そのため、例えば月給30万円、平均賃金10,000円の従業員に100%、10,000円の休業手当を支払ったとしても、助成金で支給されるのは8,330円なのです。

※先週末、「雇用調整助成金の助成額を10/10に」の報道がありましたが、それでもこの上限額は現時点では撤廃されていません。また、雇用保険の被保険者ではないパート、アルバイトを対象とした「緊急雇用安定助成金」については、この「助成額10/10」が適用されるかどうかは明言されていません。

この社長のブログでは、経営全体にかかるコストの話をされていました。この文章の目的が、「事業主が大まかにどれぐらいのコストを負担すればよいかを理解すること」であるならば、特に問題はないと思います。

ただ、実際にこの助成金の受給を検討する段階であるならば、こういった概論で捉えるのではなく、いくら支払い、いくら助成金でリカバリーできそうなのか、を具体的に考えていく必要があります。そういった時に情報を集めるべき先は、やはりその分野を専門とする人のところです。
これだけ日々情報が更新されている状況では、ニュースや専門家でない人が話しているレベルの情報で判断をすると、自分が思っていたことと現実は全く違っていた、ということが起こりうるのです。

また、その後ある税理士のyoutubeをチェックしていたところ、上記の助成額についてはやはり大まかな説明に留まっていました。

日々の生活の中で、税理士や社会保険労務士になじみのない方からすると、どちらも同じようなことをしているのでは・・と思われるかも知れないのですが、現実には違います。

現在のコロナウイルス感染拡大に対する国からの援助、という点でいうと、税理士は持続化給付金、社会保険労務士は雇用調整助成金をはじめとした助成金が専門分野です。(ただし、個々人によって専門分野には差があります)

週末この記事を書いている間にも、雇用調整助成金はオンラインで申請できるようになる予定であるとか、助成金の不正受給が発覚した際に社会保険労務士の連帯責任を外す方向であるとか、いくつか動きがありました。

日々情報は動いていますので、最新の情報は厚生労働省のウェブサイトをチェックしつつ、(特に「雇用調整助成金ガイドブック」は必読です)、不明点は他のサイトやyoutubeなどをあたっていくのも一つの方法だと思います。



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