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車いす初体験の高齢者と行く韓国旅行#1~90歳でも大丈夫~【エアーとホテル】

高齢の母にソウルにまた行きたいと言われ、悩んだ末に行ってみたら何とかなりました!その時にわかったこと、やってよかったことなどをまとめてみました。
「旅行に連れて行ってはあげたいけど」と悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。


旅のいきさつ

去年の夏に施設暮らしだった父がなくなりました。父が生きている間は長期間の旅行に行かないようにしていた母が、父が亡くなったその夜に「ソウルに行きたいなー。ソウル、連れてってよ!」と言ったことからすべてが始まりました。

母は10歳ごとに記念旅行をしていたのですが、

・80歳はシドニーとパリ、それぞれその国にいる友人宅へ。
・70歳は南極へ。東京→NY→アルゼンチンと旅して、最後はウシュアイアから南極クルーズ船に。
・60歳はオーロラが見たいとノルウェーのトロムソまで。


これらすべてが一人旅です。
50代後半には仲間と一緒にアマゾンへ行った事もありました。
そんな母が90歳になるというのに、どこにも行けなかったら私が後悔すると思いソウルに連れて行く決心をしたのでした。

母という人

母は1934年3月生まれ。今年で90歳です。

韓国には、ソウルオリンピックの少し前ぐらいの1980年代後半に初めて行き、「昔の日本みたい」とドはまりし、それ以来は年に1,2回通うようになりました。

海外旅行が自由化される以前、1950年代から海外へ行っている人で、2019年までは叔母と数週間のパリ旅行するのが毎年の楽しみでした。

母はコロナ禍に脚が悪くなってしまい杖なしではあまり歩けなくなっていて、私だけでは不安すぎたので夫にも同行してもらうことしました。
そして、年相応ではあるのですが忘れっぽい。何か約束しても忘れてしまうことが多くなりました。それに気が変わることもよくあるので、ドタキャン覚悟で旅行計画を立てました。心配ばかりしている私に夫が「もしお母さんにドタキャンされたら二人で行こう」と言ってくれたので私も旅行自体を楽しみに待つことができました。

車いすをレンタル

最近の母の状態ではソウルの街中を歩き回るどころか、空港内での移動すら休み休みになりそうでした。もちろん歩く速度も私たちの倍以上は遅いです。
今まで車いすに乗ったことはなかったのですが、レンタルすることにしました。
初めはイヤがるかもしれないとだいぶ悩んだのですが、出発1月前ぐらいに「最近、脚も腰も痛くてだいぶ歩けなくなった」と電話が来たので、それとなく聞いてみたところ「借りてもらえたら助かる」と言ったのでレンタルを決めました。
気が変わりやすいお年頃なので、出発1週間前に車いすを借りた事を報告した時には「車いすなんていらない。杖があれば大丈夫」と言われたのですが、使わなくてもいいから持って行こう!と決めました。
結局、ほとんどずっと乗っていました。

フランスベッドの介護レンタルを利用し、手動型介助用の軽7αを借りました。
理由は、とにかく軽い物がよかったから。レンタル料は1ヵ月5000円と想像していたよりだいぶお安かったです。使ったのは旅行期間だけですが、1ヵ月未満でも5000円かかります。
送料が往復4400円かかりましたが、配送会社ではなく会社の方がいらして使い方なども説明してくれます。
また、介護保険が使えればもっとお安くなるようです。
配送先は原則使用者の自宅となっていましたが、それは介護保険を使う場合なのかもしれません。母は長野、私は東京と離れて住んでいますが、私の自宅へ届けてもらいました。

私も車いすを扱うのは初めてでしたが、とてもシンプルな作りで畳んだり広げたりも簡単だし、操作が必要なのはブレーキぐらいでした。
また、車いす自体が新品みたいだったのも意外でした。(もしくは新品同様に清掃したもの)レンタルなのでたくさん使った感じの物が来ると思っていたからです。

航空券の予約

エアーは私がいつも利用しているANAにしました。これは、正規チケットを買うならマイルを貯めている会社がいいと思ったからです。
手厚いサービスを期待していたのでLCCは考えませんでした。
長距離ならビジネスも考えたと思いますが、2時間程度のフライトなので座席はエコノミーにしました。
一番安いSpecialより1人あたり約3000円ほど高いBasicにしました。Basicなら予約の変更・払戻しが可能で、その際にかかる手数料は1万円です。
もし、ドタキャンされても1万円なら許容範囲です。

お手伝いが必要な人として登録

航空券予約の際に足が不自由な人として登録しておきました。杖を使っても、そんなに早く歩けないし、もちろん長い距離も歩けません。空港内での移動は意外と歩くことがあるので、最初は空港内だけでも車イスを借りたかったんです。

歩行の不自由なお客様~ANA

出発2週間ほど前にANAに電話もして事前確認しました。
お手伝いが必要な人として予約済みで、すでに空港内で使う車いすの手配も済んでいるとのこと、チェックカウンターには2時間前には来るようにとのことでした。

お手伝いが必要な人専用のチェックインカウンター


高齢者なら歩行が不自由な人として登録すべき理由

歩行が不自由な人として登録してわかったことがあります。
それは、本当に歩けないかどうか、普段も車いすを使っているかは関係ないということです。
もっと言ってしまえば、空港のチェックインカウンターまで自分の脚で歩いて来ても「歩行が不自由な人」としてサービスを利用することができます。

歩行が不自由な人として登録するメリット

・特別なチェックインカウンターで手続きできる
・チェックインカウンターから搭乗口まで付き添いの方が付く
・保安検査場にほとんど並ぶ必要がない
・保安検査場内でも車いすに座ったままでOK
・同行者も同じ優先レーンで制限エリア(保安検査の向こう側)に入れる

たとえ60代、70代でも、ご本人がどうしてもイヤという場合を除いては「歩行が不自由な人」として登録することをおススメします。
実際、私の知人で70歳ですが飛行機を利用するときは必ずこの登録をしている人がいます。その方はアメリカ人ですが、「車いすに乗れて楽だし、どこも最優先でVIP待遇だから」とあっけらかんと話してくれました。

お手伝いが必要な人専用レーン

ただし、車いすに乗る本人以外の同行者数が制限される場合もあります。原則同行者は1人までと聞いたこともありますし、実際ソウルに到着した際は1人しか認めてもらえませんでした。(なぜか韓国出国時は2名同伴OKでした)

ホテルの予約

最優先は立地

あまり移動しないでも楽しめるように、中心街のホテルにしました。
フレイザープレイス南大門というホテルで、南大門市場がすぐそばです。南大門市場は言わずと知れた観光名所ですが、どんどん新しく変わっているソウルの中にあって昔ながらの風景が残っているところでもありますし、お年寄りが多い印象です。

ホテルの前に広い車寄せがあるのでタクシーの乗り降りも楽

母は何度もソウルに行っている人だったので、1人で杖をつきながらも歩いて南大門市場まで行くかもしれないと思ったのですが、実際には1人で出かけることはありませんでした。
それでも、市庁、ソウル駅、明洞も徒歩圏で、車いすがあれば10分程度でどこでも行けます。
車いすで地下鉄やバスには乗せたくなかったので、これはとても助かりました。

キャンセル料がギリギリまで無料のサイトを利用

ホテルはいつも利用しているagodaで予約。旅行数日前までキャンセル無料で予約できるので、気が変わっても安心です。
3人で同じ部屋だとお互いに気を遣って疲れてしまうので、スーペリアクィーンを2部屋予約しました。支払は旅行日程が近づいてからですので、とりあえず早めに予約してしまいましょう。

スーペリアクイーンルーム

部屋に浴槽があった方がいい

韓国では浴槽がなく、シャワーだけのホテルも多いです。それは価格とも関係がなさそう。実際、同じホテルの上級ランクの部屋に泊まっていた友人は部屋は倍以上広かったですが、バスルームに浴槽がありませんでした。
母はお風呂好きなので毎日しっかり浴槽に浸かっていました。

浴槽もあり、トイレにはウォシュレットも

また、フレイザープレイス南大門は館内に大浴場があるのも決め手でした。ホテルの最上階にあるフィットネスジムに併設されていて、それほど広くはないですが午後に利用した時は貸し切り状態でした。ただ、特に館内着などは用意されていませんし、パジャマ姿でホテルの廊下を歩くわけにもいかないので、何か楽な服を持参するのがおススメです。

16階の大浴場。*写真はホテルのサイトより

可能ならコネクティングルームを

部屋は特にリクエストしなくても隣り合った2部屋にしてくれました。母は1人部屋、私たちは2人です。カードキーは部屋ごとに2枚ずつだったので、母の部屋に自由に出入りできるようにキーを1枚預かったのですが、中から鍵をかけてしまうとカードキーでは開けられなくて困りました。
「鍵を閉めないで」と何度言っても習慣で鍵をかけ、ドアチェーンまでしっかりつけてしまうんです。チャイムを押しても耳が遠くて音が聞こえず、ドアをたたくしかなくなってしまったことが数回ありました。

宿泊したこのホテルにあったかはわからないのですが、可能ならコネクティングルームにすればよかったと思いました。
昔、子供たちが小さかった頃に家族4人で海外へ行った事があり、コネクティングルームだったおかげで出入りは自由だし、子供たちが寝た時間も隣の部屋で気兼ねなく過ごせて楽でした。
母とは生活時間帯がだいぶ違いますので、コネクティングルームなら便利だったはずです。

空港駐車場の予約

羽田空港までは自家用車で行き、旅行中はそのまま置いて行きました。
以前は心配なかったのですが、最近第3ターミナルの駐車場が満車で停められなかった事があったので念のため予約することにしました。
でも、出発の20日ぐらい前に見たらすでに予約分は満車!ネットで検索すると、予約は30日前から可能で、開始後10分程度で埋まってしまうとか…甘かったです。羽田空港第3ターミナル(国際線)の駐車場は予約枠がなんと75台分しかないそうなんです。

仕方なく、第1ターミナルの駐車場を予約しました。
私と母は第3ターミナルで降ろしてもらって、夫だけが第1ターミナル駐車場に車を置きに行けばいいと思ったからです。ターミナル間は無料のバスが出ているのですが、第2ターミナルより、第1ターミナルの方が第3ターミナルに近いようでした。

当日行ってみると第3ターミナルの駐車場は空いていたので、無事駐車することができました。
予約していた第1ターミナル駐車場は当日キャンセルはできませんが、行かなければ1時間で自動キャンセルになり、予約時に支払った1000円は返金されません。1000円は惜しいですが、第3ターミナルに停められなかった場合の保険だったと考えることにしました。

eSIMの購入

基本的に旅行中は一緒に行動する予定でしたが、別行動した場合に備えて一応購入しました。
母はiPhoneを使っているのですが、いまだに使い方に慣れていません。結局はホテルの館内電話を使って部屋に電話をして来たりしていてスマホは使いませんでしたが、これも保険だったと思うことにしました。

昔から海外旅行に行き慣れている人なので逆に館内電話は教えなくても使えたようです。

行く前からスマホはほとんど使わないことも想定していたので、できるだけ安い物をと思い、kkdayというアプリを利用して、3日間(1日500MB)451円のeSIMを買いました。

海外旅行保険

ギリギリまで考えていなかったのが海外旅行保険です。
母にクレジットカードに付帯しているか聞いたのですが、わからないというので万一に備えて一番安いプランに加入しました。
搭乗を待つ時間に保険の自動販売機のようなもので加入しましたが、この機械で加入する場合は加入者本人名義のクレジットカードが必要です。

こちらの自販機で加入

入力はすべて私がやりましたが、生年月日を入れたからか最初に出ていた金額(韓国3日間870円)よりだいぶ高くなりました。
後日、調べたところ韓国2泊3日(観光)で、年齢80歳~99歳の場合、オプションすべてなしの節約プランで2270円でした。

あまり時間がないなか焦って加入したので、事前に加入しておくことをおススメします。

以上が、90歳の母をソウルに連れて行くために準備したことです。
この後は、実際にどうだったかについて、空港内、韓国での移動など書いていきたいと思っています。
どうぞよろしく^^


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