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僕はトップより優秀なNO.2である

今回のnoteは 人材育成 に関してです。写真は僕が初めて勤務した病院のリハ科の科長と自分。既に他界してしまったが本当に多くのことを学ばせて頂きました。

もくじ
1. 一人じゃ勝てない
2. 難しいNO.2の育成
3. 本気で上司に仕える

1. 一人じゃ勝てない

僕は優秀なNO.2である。そう自負していた過去が懐かしい。今までの経験を振り返ると、何気なく遭遇した出来事が、もしかしてこれって? と共通する何かを見出すことがある。その一つに、「NO.2」の存在がある。初めて勤めた病院は、リハスタッフの数は少ない一般病院であったが、NO.2に位置する人材は、代々優秀だったのを覚えている。その方々の振る舞いを肌で感じることができた僕は、時の流れで自分が臨床4年目でNO.2を任される頃、大きなプレッシャーに押しつぶされそうになった。

その後も僕は職場を様々移り変わる中で、どの組織でもNO.2の人材が優秀である組織に身を置くことができた。このことは本当に偉大であり強い組織であると感じた。これは決して大げさな事ではない。今までリハ職という狭い視野しかなかった僕が、少し視点を変えて観察できた時、このNO.2の偉大さにさらに気が付くことができた。医師、看護師、他の医療従事者、事務部門、我々理学療法士が日常遭遇する場面以外でも、大手企業や官僚でさえ、優秀なNO.2に位置する人材を抜きにして組織は語れないことに気が付いた。

自分が組織のトップに初めて立った時、このことをしっかりと理解していたら、と悔やまれる。スポーツの世界でも良く言われることだが、野球界で優秀な投手だけではダメで、そこには必ず更に優秀な捕手がいる。サッカー界でも同様、バルサのメッシも優秀なイニエスタやシャビがいたからこそ輝ける。

組織は一人では勝てない。強力な補佐がいる。そこで振り返る。自分はNO.2に向いていると。ならば、勘違いせず、リハのトップでありながら上長のNO.2という意識を持たなければいけないのだと。そこで初めて戦いに挑むことができると認識しなければならない。


2. 難しいNO.2の育成

自分はNO.2に向いている。そう記したが、何の根拠もない。ただなんとなく。でも、リハ科のNO.1でいるより輝くことができたと自負している。何故なら、他の誰より「気づき」に長けていると思っているからである。朝礼や会議の席などでは、「院長がおっしゃるように」「事務長がおっしゃったように」と繰り返し強調し部下に説明することが得意であった。これは若いころから「科長が普段から言われているように」とスタッフに話していたのを思い出す。

今現在、強く意識すべきは、このNO.2の育成をどのように行うかが重要であると感じている。これは自分を含めてである。自組織でNO.2の育成は本当に難しい。何故なら一歩間違えればハラスメントになりかねないからである。NO.1である自分を「立ててください」というストレート且つ幼稚な表現では伝えられないからである。NO.2にはNO.2の自覚を個人が持たなければならない。気づきが足りない人、行動に乏しい人はトレーニングが必要である。

西田文郎 NO.2の理論 最も大切な成功法則 2012

この本は非常にストレートにNO.2の心得を描いている。現代の若手世代にどれだけ理解されるかは別として、個人的には大きく頷けることがある。それは前述したように、良い組織は必ず優秀なNO.2が存在していたということを自身肌で感じることができたからである。

この本には以下のようなことが示されている。

「会社の実態はNO.2を見ればつかめる。NO.2がNO.1をナメているような組織はいつか必ず崩壊する。NO.2がNO.1を尊敬していない組織はチャンスに弱くピンチに脆い。NO.2がNO.1を立てていない組織は組織全体の指示伝達回路があちこちでショートしていると思って間違いない」

これは、NO.1を経験した人なら大きく頷けるのではないだろうか。僕は自身のNO.1としての不甲斐なさをいくつも反省してきた。どうしたら良い組織を築けるか。良い組織とは何か。現在もその探求は継続している。しかしこの本と出会い、自分の心が救われた。また自分がNO.2であった頃を振り返ると、「自分がしてきたことは正しかった」と心が和む。いつも責任を問われるのはNO.1だが、NO.2こそ資質をしっかり見直すべきだと強く感じる。

「科長(課長)は自分のやりたいことを思いっきりやってください。やりたいことが思い切りできるように、私が頑張ります。私に何でも言ってください」優秀なNO.2は、ある時点で同様のことを必ずNO.1に言っているとこの本は示している。この言葉がNO.2が優秀になる魔法の言葉なのだと。果たして自分にこの言葉が言えるだろうか。大いなる挑戦である。


3. 本気で上司に仕える

では実際どうしたら優秀なNO.2が育つのだろう。これは非常に難しい。何度も繰り返す。非常に難しい。何故ならNO.2になる世代は新人でも中堅でもなく、かなりのベテランだからである。職場によってはまだまだ若い世代がそのポストを射止めることもあるだろう。しかし、発展途上であっても育ってしまった人材を改革する事は難しい。意識改革するためのポイントが以下のように示されているので参考になる。

*トップに対して忠誠心を発揮しているか
*自分の美学は捨て切って仕事に挑んでいるか
*トップに気を使わせず、トップに気を使いきっているか
*トップが喜ぶ新しいアイデアをトップに提供できているか
*現場の意見や流れをトップにしっかり報告しているか
*組織の監視役として部下を統率する役割がしっかりできているか
*常にトップの考えを徹底して部下に伝えているか
*部下および自身の適切な時間管理を行えているか
*管理・経営・統率などの職務遂行は十分に信頼のおけるものであったか
*言動はトップに十分認められるものであったか
*法令、規則を守り、NO.2の良識を持って行動しているか
*NO.2にとって一番大切な自己犠牲能力は完璧であったか
*トップから見て評価に値する最高のNO.2であったか

あなたがNO.2なら上記の事柄できるか?あなたがNO.1ならこんなNO.2がいたらどう思うのだろうか?

岸見一郎 NHK「100分de名著」ブックス 
アドラー 人生の意味の心理学~変われない?変わりたくない?~ 2018

この本によれば、「共同体感覚が欠如しているからこそ、人を蹴落としてでも出世したいと考えたり、自分をことさらに大きく見せようとしたり、あるいは他者を支配しようと考えてしまうのです」と示している。
つまり、NO.2の位置にある人が、NO.1である上司にきっちりと自身の役割を果たせないでいるのは、共同体感覚がなく、自身の劣等感に苛まれている可能性があると考えられる。いわゆる妬みや恨みがあり、同僚や後輩に近い位置にいるようではその役割は務まらない。NO.2は嫌われる勇気が必要と思う。極端な話、NO.1から好かれる勇気を持つべきと感じる。NO.2もしくはこれに準ずる立場の人。自分を見つめなおすチャンスが来ている。

そして最後に忘れてはならないのがNO.1は「魅力あるNO.1」になるための努力をしなければならないということである。あぐらをかいて威張るだけのNO.1は不要である。その秘訣は以下の4つと示している。

*思いを語ってくれる(理念の共有による連帯)
*信頼してくれる(権限の委譲による責任感と使命感の喚起)
*情熱的に働いてくれる(感動と共感)
*自分のことを気にかけてくれる(承認欲求と自己重要感の充足)

僕はトップより優秀なNO.2である。そう自負するための努力をこれからも続けていきたい。
本気で上司や先輩のことを立てたり褒めたりする人間になる。
それが出来る人材は多くない。限られたエリートしか出来ないからである。
このことを他人事と思わない人間だけが必ず成功を手に入れる。
それは僕であり、そしてあなたかもしれない。

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