裁判の判決ばっか集めちゃいました(10月版) 傍聴小景 #43
刑事裁判の進行には大きく分けて以下の3種類あります。
つまりは、裁判の途中の様子は全然わからないけど、「判決」の部分だけ傍聴するのことができるのです。多くの裁判が判決だけなら5分~10分程度で終了します。
そこだけ見ても…とお思いかもしれませんが、どうしてその判決を下すにいたったかの理由を説明するに際し、事件の内容はおおまかに説明するので(裁判官によっては割愛しますが)、短期間で事件内容に多く触れるという意味では結構勉強になるのです。
という訳で、「なんで?」という疑問は残るものもありますが、判決のみ裁判特集です。
No.12 執行猶予を「当然」よく知っている男
業務上横領の罪名の通り、業務の最中に横領行為をした話なんですが、なんとこの被告人の職業は「弁護士」。
弁護士の業務中ということで、依頼者からの預かり金である200万円を横領したというもの。飲酒などの遊興費として使ってしまったようです。法律を扱い、多くの犯罪者も見ているはずの弁護士がなぜ?というのは判決のみなので語られませんでした。
今後、弁護士は行わず(当たり前だろ 怒!)、人からお金を預かるような仕事も行わないと証言したらしいです。弁護士しないはともかく、人からお金を預からない仕事ってどんなのか、ちょっとパッとは浮かばないのですが…。
被害金を超える供託金を払ったようで、前述の弁護士やめるという社会的制裁みたいなのも相まって執行猶予判決となりました。被害金を超える供託金って、まさか別の横領でせしめた金じゃねぇよなと思ったり。あと、社会的制裁ってのと、身から出た錆って言葉をうまく併用するのって難しいなぁなんて思っています。
裁判長は執行猶予判決を出すと執行猶予の説明をするのですが、「当然、知っていると思いますが」と頭につけてから言っていたのが少し面白かったです。犯罪をしてはいけないことも「当然知っている」中でそれを破ったので、執行猶予の説明もちゃんと聞いててくださいね。
No.13 普通にカーブを曲がれない男
被告人は深夜、片側一車線の山道を助手席に交際相手を乗せた状態で、制限30km/hのところ60km/hで走行。
走り慣れていたのか知りませんが、自身の記憶で直進と思ってたところが急カーブだったようで、そこを曲がり切れず壁面に衝突してしまい、加療186日を要するケガを同乗者に負わせてしまいました。
186日というと約半年ですね。償いとはなんぞやと、交通事故系の話のときによくしますが、交際相手に半年のケガを負わせたときにどんなケアをするのでしょうか。その人の痛みを知って、今後は交通安全に努めてもらいたいと思います。
直進だと思ったがどういう言い訳か知りませんが、制限速度を守っていれば全然回避できたと思います。いくら深夜の山道とはいえ、スリップしたわけでもないのに、カーブを曲がり切れないなんて、運転技術に難があったことも想像できますね。
YouTubeなどで、たまに「え、なんで?」と思う運転される方がいますけど、いくら自分が安全運転していても、他者はどうかわかりませんからね。意識できる方は、常にいろんな危険性を想定してもらいたいと思います。
No.14 裁判所で自撮りかます女
覚醒剤使用の前科2犯で、現在執行猶予中の被告人ですが、また使ってしまいました。
ただ使っただけでも悪質ですが、警察での再尿検査後にも使用が認められるなど、親和性は相当に重大なものとして認定。
娘のためにも辞める、友人などの監督もあるということでしたが、実刑やむなしとのことでした。
娘さんがいくつか知りませんが、執行猶予の分も含めて相当長いお勤めになってしまいますね…。
それにしてもですね、あんまこういうこと言いたくないですが、この方お綺麗な方だったんですよねぇ。
下までつきそうな真っ白いコートをふりふり言わせながら、海外旅行に出かけるんかというようなキャリーバッグを持って法廷へ。判決後そのまま、裁判所の裏へ連れて行かれたので、あの荷物は収監時の身の回りのものだったと思うのですが、やはり前科ありということで全く動じていなかったですね。この慣れは嫌だなぁ。
しかも法廷入る前には、開廷表をバックに自撮りかまそうとして、職員さんに注意される始末。警察もののドラマで、パトカーに乗る前の粋な警官の計らいとかあったりしますけど、さすがに裁判所ではそんな勝手は許されませんよ、しっかり怒られていましたね。
No.15 人に相談できない男
書店で換金目的でマンガを計12点万引きしたという事案です。
常習累犯窃盗というのは、10年以内に同種で3回以上、6ヶ月以上の懲役刑を受けている場合に適用され、基本的に問答無用で実刑です。
今回、累犯前科が3犯あり、今回は前刑釈放から僅か4ヶ月の犯行とのことでした。
これだけ聞くと、盗みが癖になっているというか、稼業になっているように思えますが、どうやら実情はほんの少しだけ違ったようです。
前刑の裁判のときに、ちゃんと仕事に就くと約束をして、仕事先を見つけた被告人。そのために、現場道具や作業着などを揃えるために換金目的の犯行を行ったようです。
仕事道具のためだって盗みはダメに決まってんじゃんと思うのは当たり前ですが、裁判長が最後に言ってました。
怒るというより、完全に諭すモードになっていました。
職場にもいました、人に言えずどんどん泥沼になっていくパターンの人。
こういう自分の身の回りの人のあるあると結びつくと、やはり裁判って他人事に思えなくなるんですよね。さすがに周りに窃盗犯はいねぇけど。
今回の記事については動画でも紹介しております。
もしよろしければ、こちらも是非ご覧ください。
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